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カテゴリ:本に読まれて
堀田善衛は、晩年にフランスバスク地方
からスペインバスク地方に入り、そこから南下して スペインに長く住んだ作家としても知られている。 マドリッドで、ゴヤの研究をしていたことは 何となく知っていたのだが、今回、4巻にわたる 「ゴヤ」を読み終えて、彼の研究が大変なもので あったことがようやく分かった。 一般的に、ゴヤはプラド美術館にある「裸のマハ」と 「着衣のマハ」の絵で知られる。 そのマハは誰がモデルであったかについても ミステリーっぽく話は楽しいのである。 一方、プラドにある「黒い絵」シリーズについては マハに比べるとそれほど知名度が高くないような気が するが、背景にある社会の移り変わりを知ると 何故こういった絵が描かれたか、納得が行く。 堀田善衛は、表面的にだけみると太陽の国で明るい スペインを、歴史的にも詳しく解説していく。 実際に、この「ゴヤ」は別名を「光と影の国の」という。 フランコ政権時代だけ、スペインの歴史はすざましい ものであったのではなかったことを教えてくれる。 また、ゴヤがそんなスペインで挫折を知らない、すごい エネルギーの画家であったことを教えてくれる。 ゴヤは、宮廷画家であり、そう金には困らなかったのだが、 晩年にいたっても、「aun aprendo」まだ学ぶぞ!と 新しいテクニックを学ぼうとする、貪婪な好奇心に支えられた 画家であり、目がほとんど見えなくなっても、2重レンズを かけて、絵を描き続けたという。 ゴヤについての関心がある、或いは、スペインについて またヨーロッパに興味がある方へ、お奨めの本である。
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Last updated
2012.04.11 03:00:24
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