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カテゴリ:本に読まれて
ナタリア ジンズブルグを読みながらロベルト ロンギ
(美術史家)のカラヴァッジョを読み、レオナルド シャーシャ の「La scomparsa di Majorana」を読み終えた。 シャーシャはシチリアの作家。とても格調高い文章で ときおり様々な作家の文が引用されたりすることも時折 あって、勉強にもなる。 ちょうどカラヴァッジョの絵のひとつで、シーズン柄 「キリストの生誕」が1969年にパレルモのある教会から 盗まれた事件を扱った彼の「una storia semplice」 (邦訳では小さなマフィアの話)を読んだばかりだった。 今回の話はやはり有名なミステリーになる、エットレ マイオラナというほとんど天才と言われた物理学者が 1938年に失踪した事件を扱っている。 マイオラナはノーヴェル物理学賞を受賞したエンリコ フェルミの弟子であった人で、当時ローマのパニスペルナ 通りにあった物理研究所に勤めていた。 この物理研究所研究員は別名ragazzi di via Panispernaつまり パニスペルナ通りの若者たちと呼ばれ、息子曰く 映画にもなっているそうだ。 研究所の中心人物はもちろんフェルミ氏だったが、彼の 奥さんがユダヤ人だったためにフェルミ氏は後にイタリア を逃れることになる。 現在でもミステリーのままになっているマイオラナ氏の 失踪事件は、シャーシャの本ではおそらく原子爆弾の制作 が見えてきたことから手をひいてしまおうとしたのでは ないかという予想になっている。 失踪後、いくつかの説があるが、自殺、ナポリ近郊の 僧院に引きこもる説、ドイツから南アメリカに逃亡説、 ロシア逃亡説など、現在でもときどき話題になる話のひとつ。 邦題ではマヨラナの失踪、消えた若き天才物理学者の謎と いうタイトルで本が出ているようだから興味がある方は 探してみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.12.20 21:01:21
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