私は薔薇で強くなった

庭の薔薇はほとんど無農薬で育てていた。
友達の影響もあるし、自分がアレルギー体質でもあったし、
レイチェルカーソンの「沈黙の春」を読んで
恐いなあと思ったこともあるし。
病気をさせないためには、毎日の点検と自然薬はもちろんのこと、
丈夫に育てることが秘訣。

毎日の点検とは、虫を発見したら即退治（潰す：苦笑）、
虫を退治するためのトラップを用意する、病気らしい症状を
発見したら早めに対処する、などなど。朝から毎日大仕事。

しかし・・・大問題があった。私はイモムシが大嫌い！
そして、気づいたのは、蝶の羽根をムシったら青虫の形だということ。
ガーデニングを始めるずっと前、子供の頃のトラウマが原因だった。
蝶が飛んでくると泣き叫び、どんなに小さくてもイモムシを見ると
体が震え、目に涙をためる。テレビでも雑誌でも同じ反応。

ガーデニングと虫は切っても切れない関係。
最初はこわごわ虫を取り除いていた。潰すなんて無理。
あまりにも効率が悪く、リハビリを開始！
NHK「趣味の園芸」の「園芸と害虫」という本を買い
目を見開いて青虫を見る日々。
まずは敵を知ることから始めようと思ったからだ。
あいつらが何が好きで、どんなところにいるのか、
どんな形をしているのか、どうやって駆除できるのか、
知る必要があった。
恐くて園芸雑誌のページをめくることができないほど大嫌いな
あいつらを直視するのだから、そうとうな恐怖の連続。
私のその姿をはたで見ている知り合いは大笑いしていたが
私は必死！！

植物の成長と陽気の暖かさと比例して虫の種類もサイズも
大きくなっていった。
いちいち悲鳴を上げる暇もないし嫌いとも言ってられない。
「口をきけない植物を守るのは私しかいないんだ」

無農薬の植物は美味しいらしい。
つぎつぎに虫はやってくる。
そうして大好きな薔薇を守るために、私は虫を潰せるように
なっていた（大きいのは無理）。
好きってことは何事も人を成長させる（大袈裟か・笑）。

沈黙の春改版 ( 著者：レイチェル・ルイス・カーソン / 青樹簗一 | 出版社：新潮社 )