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カテゴリ:物語シリーズ
専門時代の友人に会って…久々にあの頃のニックネームで呼ばれました
「ディラン君」って…>挨拶 彼はカウンターに座る… 全てを断ち切る思いを抱えた暮らしの中で 彼はたくさんの言葉に救われてきた。 傷ついた彼を抱きしめる言葉… 生きていける… 彼はそうやってなんとか暮らしてきた。 辛いのなんて誰だって同じ… むしろ彼は辛いと思う自分に甘えていたのかもしれない。 彼は眠れずに強い酒を飲んだ。 ストレスで胃は疲れ… 食事は喉を通らず… そして強いアルコールは彼の胃を激しく荒れさせる。 それでも眠れなくて… 彼はレンドルミンを飲んだ・・・ 体が悲鳴をあげているのは気づいていたし、 それでもどうにも止められない感情が… 彼をあざ笑うように流れる日常が… 彼に強い酒を飲ませつづけた… やまない雨はない… 朝は必ずやってくる… 雨がやんだ後に何が残る?? 朝がきたら何が解決するだろう?? それでも朝はやってきたし、 雨はやがてやんでいた。 そう… 朝はやってきたし… 雨はあがっていた… いつしか日常と異なる新しい日常が彼を包んでいた。 彼は穏やかな酒を飲んでいる… 薬に頼らなくても眠れた… あの人の言葉に救われた… 大切な言葉… 彼自身の言葉で救える人がいたとしたら… それはとても誇り高いこと… 言葉は時として人を傷つける… 言葉は時としてその心に深く安らぎを与える… 彼は今日は強い酒を飲んでいた… バーボン クレメンタインをストレートであおっていた。 積み上げたもの… 一度崩れた日常を再び… 長い苦しみの上に積みなおしたもの… 言葉ひとつ… それで充分なんだ… それが崩されることなんて… 彼は思う… 君の言葉はまるで大震災だね… 一瞬で何もかもを崩してしまう… 彼はおどけるように笑い… カウンターの向こうに立つバーテンダーに言った 「アースクエイク…できますか??」 ジン… ウイスキー… ぺルノ… 個性の強い酒が合わさったとき… そして…アルコールの強い酒を混ぜたとき… そこに現れる独特な苦味…甘味… 彼はアースクエイクを飲み干すと立ち上がりチェックを済ませる。 今宵の彼は深く眠れるのだろうか?? 足元はまるで大地震のようにフラフラと… 危うげな足取りでバーのドアを開けて 夜の冷たい風に吹かれながら一人で歩いて行く… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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