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カテゴリ:SELECT(セレクト合戦)
【第15回セレクト 真夜中に聴きたい音楽 「オヤジ涅槃」 zouky's select 】
今回で二回目の参加になります。普段明るくポップな音楽ばかり聴いているので、真夜中というテーマは得意ではないのですが、前回同様、一枚完全燃焼、死人も出すアストロ球団精神でセレクトを心がけました。それにしても届いた皆さんのセレクトを聴いているとあっさり味のものが多いので、いかに自分が濃い口で過剰な音楽ばかりが好きなのかが自覚出来ました(笑)。 (画像は今回の私の副題「オヤジ涅槃」のイメージイラストで「スージィ甘金/ださいぜ木村くん」より) 1.村田恵里 / オペラグラスの中でだけ (CBS/SONY 07SH-1658)'85 アイドルポップの世界へジャンプ アイドルの歌うバラード系の曲に全く興味が無いので、当ブログでは明るくポップな曲ばかり取り上げている私ですが、あちこち捜し求めてコンピを聴いてますと時折予期せぬバラード系名曲に出会うことがあります。それがこの曲なのですが、ナイアガラ風音壁というほどのものでもないかもしれませんが、それに近いサウンドと大滝詠一的メロディ使いなどがあちこちで聴け、まずサウンド面が素晴らしいと思います。またメロディがそれ以上に素晴らしく、胸をえぐるように心の奥深く突き刺すメロディとそれを淡々と歌い上げる様、その対比でより感情を揺さぶられる妙味がとても感動的です。邪悪な心が洗われるような聖なる感じは真夜中に聴くに相応しいかなと思いセレクトしました。 2.SKIP MAHOANEY & THE CASUALS / WHEREVER YOU GO 「LAND OF LOVE」(A-BET 410)'76 私の好きな甘茶ソウルへジャンプ おお、なんとなく前曲とのツナギが偶然にもうまくいった気がします。カルト的人気のある甘茶ソウルグループの曲です。歌詞は他愛の無いラブソングみたいですが、この曲の持つムードはかなり俗世離れしていて、天空、神聖とでも呼びたくなるムード。三途の川を渡る時のBGMにでも如何でしょうか? 3.EBONYS / IT'S FOREVER 「THE EBONYS」(PI 32419)'73 ギャンブル&ハフプロデュースによる生粋のフィリーソウルの傑作アルバムから。「永遠」という大仰なタイトルに負けない大作バラード。ゆったりとしたテンポとファルセットコーラスをベースに、、、バリトンの絶唱はチト煩すぎますかね。そうしたヴォーカルワークよりも全体に漂うムードこそが特段に素晴らしいと思います。出だししばらくの鉄琴系の音、「パパパパパー」と煌めくコーラス、そして甘くやさしいストリングスは永遠に続くかのような悠久の時の流れを感じさせてくれます。個人的には「萩尾望都/光瀬龍の百億の昼と千億の夜」のエンディングテーマとして最適なのではないかと思ってます。アルバムバージョンは7分15秒ほどと長いのですが後半のバリトン中心の展開はちょっと飽きるので、コンピ「THE SOUND OF PHILADELPHIA '73」収録の短いバージョンを入れました。 4.SMOKE / I'M SO LONELY 「RISIN'」(J-BRIDGE 7544)'76 70年代コーラスグループ三連発となりました。約8分にもおよぶ大作。ちょっと長すぎたかな。前曲と大部似た雰囲気ですね。出だしの心洗われるような清いハープの音色と全編に流れる澄んだシンセとオルガン?の取り合わせは、この世でないどこか遠い世界を彷徨っているかのような錯覚に陥ります。涅槃とか彼岸とか、そういった俗世間離れした空間。リードはちょいDEEPだからソウルファン以外にはチト辛いかも知れないですね。バックサウンドのムードだけでも聴いてみて下さい。 5.DR. YORK / PLEASE STAY 「1990」(CECC 00232)'91 バートバカラックの手によるDRIFTERSの曲のカバーのようです。原曲や他のカバーを聴かれた方いらっしゃいますか?甘茶ソウル界の超凄センスの持ち主の放った大甘な一発で、そのアレンジはほとんど変態の領域に達してますね。メインの歌とバックの歌がバラバラなんですよ(笑)。皆さん、ついて来てくれてますか?まるで羊水とか精子とかの海をプカプカと漂っているかのような、そんなDNAに直接刺激を与えてくれるような感覚に陥ります。人生の往生はこんな曲を聴きながら迎えたいものです。 6.BRIAN ENO / GOLDEN HOURS 「ANOTHER GREEN WORLD」(ILPS 9351) '75 自分で作っておいて言うのもなんなんですがこの曲への展開には相当痺れました(笑)。馬鹿ですねえ。環境音楽の神様ブライアンイーノがそれに走り出す前に放った俗世離れも甚だしい奇跡の一曲。Robert Frippのギターも神々しいですネ。イーノのこの体温の低さは一体なんなんでしょう?また、彼の目にこの俗世は一体どのように映っているのでしょうね、、、。「ANOTHER GREEN WORLD」というアルバムタイトルも良ければ「GOLDEN HOURS」というタイトルもいいですねえ。環境音楽の傑作アルバム「MUSIC FOR AIRPORT」からも一曲入れたかったなあ。今回のテーマが真夜中に決まった際、皆さんこぞってイーノを入れ、選曲かぶりまくり、一番人気間違いなし!と思っていたのですが、全然そんなことありませんでしたね。 7.OSSIE ALL STARS (OSSIE HIBBERT) / Bubble Up Style 「Leggo Dub」(CHV-CD-1004) '78 STRICTLY ROCKERSへジャンプ 長らく世紀のレア盤としてなかなか耳にすることも難しかったレゲエの伝説の傑作ダブアルバム。音の方は「GREGORY ISAACS / MR.ISAACS」中心のダブなんですけど、はっきり言ってヴォーカル入り のグレゴリーのアルバムはこのダブアルバムのように想像力をかきたてる要素は皆無な内容で今ひとつ。このアルバムの最大の聴き所は一番最後のこの曲の何とも郷愁をそそるどこか懐かしい大甘なメロディ。素晴らしいレイドバック感。小学校のプールから帰って体がだるくなり昼寝をしていた時に流れていたBGM、あるいはつげ義春/ねじ式、うる星やつら/ビューティフルドリーマーとかの永遠に時間が止まったかのような異次元の、でもどこか懐かしい世界がここにはある。ヴォーカルが無いからこそ、この素晴らしい亜空間世界が味わえます。 8.DURUTTI COLUMN / NEVER KNOWN 「LC」(Factory FACT 44)'81 ギター&ドラム&ヴォーカルというシンプルな構成のNEW WAVEバンド。現在はなんというジャンルにカテゴライズされているのでしょう。パステルカラーが似合いそうな音世界の彼らの放った初期の特に情感深いメロディを持つ曲。歌詞は不明だが「決して知られていない」というタイトルの持つ神秘性は真夜中に聴いてこそ真価を発揮するでしょう。 9.DADAWAH / ZION LAND 「PEACE & LOVE」 (TROJAN CDTRL 400) '75 DADAWAH名義ですが実際はラスマイケルのグループ。LPでは長尺の曲が片面2曲づつの収録、また全体に漂うムードもプログレッシブロックのそれと似ていたことから当時プログレ少年だった私には親近感の持てる取り付きやすい内容でした。所謂子守唄風のナイアビンギサウンドですが、リズムは非常にゆったりとしているのでレゲエのンチャンチャリズムが苦手な人にも馴染みやすいのでは?楽器は少なくヴォーカル含めて深いエコーに包まれ実に神秘的な雰囲気。メロディも甘く優しく、まるで子守唄のように心地よく響くので就寝前にも最適。もやに包まれた謎の異世界、亜空間といった趣きで完全にマリファナをやりながらトリップするためのメディテーション音楽として作られたものでしょう。感覚が研ぎ澄まされれば相当「きそう」な内容です。そうでなくとも聴く者を未だ見ぬ桃源郷へと誘ってくれることでしょう。 10.JACKS / 君をさらって 「ジャックスの奇蹟 (JACKS SUPER SESSION)」(東芝エキスプレスEP-7726)'69 とうとう底の見えないまっ暗闇の世界まで来てしまいました。汽車の汽笛のような物悲しいハーモニカのうらぶれ感が好きな曲です。本来の歌詞は恋人との未来設計のようなものだが、実際に展開される音世界はお聴きの通りかなりディープ&ヘヴィで、亜空間殺法で異次元の世界へ放り込まれてしまう内容。 11.JOY DIVISION / THE ETERNAL 「CLOSER」(NPCR-75048/FACD25) '80 仕上げはこの曲。皆様の終着点はどちらになりましたでしょうか?「永遠」というタイトルに相応しくどこか時間軸から外れた死後の世界へでも連れていかれそうな感じがあります。このグループ、カテゴリーはNEW WAVEでいいのかなあ。NEW ORDERの前身バンドの放った死線ギリギリの一曲。ヴォーカルのイアンカーティスはこのレコーディング後間もなく自殺しました。自殺と言えば、今回のサブタイトルの「オヤジ涅槃」ですが、お若い方はご存知ないかもしれませんが、美男子系ゲイ俳優の沖雅也が自殺する際、その遺書に残された言葉が「親父、涅槃で待つ。」だったのです。 12.BILLY VAUGHAN / PEARLY SHELLS (日本ビクター JET-1485) '60 前の曲まで聴いて眠ってしまった人、天国へ行ってしまった人、亜空間へ嵌ってしまった人、エクトプラズム出てしまった人、もうすぐ夜明けですよ、戻ってきてくださいね。 ビリー・ヴォーン楽団 / 真珠貝の歌 ハワイアン/オアフ島民謡。前曲に引き続きJOY DIVISIONのDECADESへ突入と行きたかったんですが、やり過ぎもいけないと思い踏みとどまりました。この曲は確か三十数年も前の昔、昼間のどこかのラジオ番組のテーマソングとして流れていたと思います。この曲を聴くと幼い頃の自我の芽生える前の純粋無垢な自分に戻ったような感覚に陥ります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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