チラシの裏の幻視録

こんにちは。

こんな記事が。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060426k0000m040123000c.html
>ＪＡＬ貨物機：一機に劣化ウラン製部品　文科省が厳重注意

　今日はチェルノブイリかＢＷＲ事業者協議会（←前の職場にいた時、これの前身にちょっと携わったので思い入れが。）あたりに触れようかと思ったのですが、予定を変更してこのニュースに関係する法令を紹介します。

　まず、日本では原子炉等規制法（核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律）に下記の様に定められています。

（使用の許可）
第五十二条
　核燃料物質を使用しようとする者は、政令で定めるところにより、文部科学大臣の許可を
　受けなければならない。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
　一　製錬事業者が核燃料物質を製錬の事業の用に供する場合
　二　加工事業者が核燃料物質を加工の事業の用に供する場合
　三　原子炉設置者及び外国原子力船運航者が核燃料物質を原子炉に燃料として使用する場合
　四　再処理事業者が核燃料物質を再処理の事業の用に供する場合
　五　政令で定める種類及び数量の核燃料物質を使用する場合

　さらに、この法律の下に位置し補足する同法施行令（核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令）には下記の様に記されています。

（使用の許可を要しない核燃料物質の種類及び数量）
第三十九条
　法第五十二条第一項第五号 の政令で定める種類及び数量の核燃料物質は、次の表の上欄に
　掲げる種類及び当該種類についてそれぞれ同表の下欄に掲げる数量の核燃料物質とする。
　一　ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が天然の混合率であるウラン及びその化合物
　　　　ウランの量三百グラム以下
　二　ウラン二三五のウラン二三八に対する比率が天然の混合率に達しないウラン及びその化合物
　　　　ウランの量三百グラム以下
　三　前二号の物質の一又は二以上を含む物質で原子炉において燃料として使用できるもの
　　　　ウランの量三百グラム以下
　四　トリウム及びその化合物
　　　　トリウムの量九百グラム以下
　五　前号の物質の一又は二以上を含む物質で原子炉において燃料として使用できるもの
　　　　トリウムの量九百グラム以下

　つまり、今回の場合、規制法第五十二条第一項第五号と施行令第三十九条第一項第二号にあたるため、文部科学大臣の許可を得る必要があったわけです。しかし、一般企業はそんなもの管理するのは嫌ですので、90年代にタングステン等の代替材に順次切り替えを行なった「はず」でした。

　まだ国内に残っていたんですねぇ。

　航空機の事を少しでも知っている人なら常識なのですが、減損ウランは比重が大きいため、国内でもかつてはヘリコプターやジェット機のバランスウエイトによく使われていました。
　日本では上記の法令により「核燃料物質」という扱いなので現在は使用されていませんが、国によっては今でも様々な工業製品に使用されているようです。

　例えば、最近の主力戦車の一部（米陸軍のＭ１Ａ１ＨＡ以降等）に減損ウラン製の装甲が使われているのは有名ですね。これについては「乗員が被ばくしながら戦う悪魔の兵器」なんて言う人もいますが、これはちょっと違うかも。

　この減損ウラン、呼吸器に取り込むと確かに危険ですが、「放射性物質としての毒性よりも重金属としての化学毒性の方が大きい」という話もあります。（この辺りは諸説あり、実際のところどうなのか私にはわかりません。・・専門外なので。）


　ちなみに私は鉱物集めが趣味で、ウランの原石である「燐銅ウラン鉱」を所有しています。
　これは、工業用の原料としては全く成り立たない、純度の極めて低いものです。
　試しに職場で借りてきた線量計で測ってみましたが、ピクリとも動きませんでした。（注：実は放射線の種類も違うので当たり前です。）

　鉱物マニアとしては、方面地区のウラン残土も欲しい　なぁ・・・レンガに加工するらしいけど、一般販売してくれないでしょうかね？