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チラシの裏の幻視録

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2009年11月22日
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カテゴリ:原子力
 11月14日、平成21年度東京大学グローバルCOE「科学技術と社会安全の関係を考える市民講座」の第二回講義「科学技術と地域経済を考える」が東大武田先端知ビルで開催されました。
 「科学技術と・・・」と題に付いておりますが、この市民講座のシリーズでは科学技術の代表として主に「原子力」を中心としたプレゼンと討論が行われています。

 コーディネーターは、この手の講座やセミナー,シンポジウムではお馴染みの班目春樹先生。
 この回の講師は下記の皆様。

  ・北村俊郎氏(原産協会参事)
  ・川村雅人氏(三菱総研)
  ・森田郎氏(東大大学院)

 発表内容は、原子力発電所が地域に与えてきた影響や問題,地域による原子力施設の受容,そして住民が(企業や交付金に頼らずに)自ら農作物で地域振興を実施し、成功した自治体の活動の紹介。

 発表の後はディスカッションとなりましたが、この中で気になったお話をいくつか紹介致します。



(電力会社は地域振興に消極的では。また、地元へ寄付することがあるが、これも匿名で寄付したりと消極的では、との話の流れの中で)

森田講師:
 電力会社は非常にまじめだが、戦略が下手。対して反対派はうまい。例えば東洋町では科学的知識以前に反対派の「ガラス固化体は広島原発何万発分の放射能」の分かりやすいフレーズで(「反対」の)フィルターができてしまい、何を説明しても受け付けなくなった。

班目コーディネーター:
 地域振興について、電力会社はおっとり構えすぎではないか。
 原発立地は地域の発展に本当に役立っているのか?という社会一般の疑念が消えないと、高レベル廃棄物処分場の立地などにも不利になるのでは。自分たちに跳ね返ってくることなのに危機感が感じられない。



(会場からの、原子力設備の誘致は工場誘致とは違う、最終処分場は押し付け、との意味合いの批判的な意見を受けて)

北村講師:
 高レベル廃棄物最終処分場は違うのかも知れない。管理は墓場の管理のようなもので、原発よりも更に交付金への依存体質が強くなるのではないかと思う。

森田講師:
 最終処分場の立地は非常に悩ましい問題で、私にもわからない。
 逆に質問者にお聞きしたいのだが、現在我々は原子力で便利な生活を享受し、それによって既に放射性廃棄物が出続けている。これをどうすればよいのだろうか?
 私は元々は原子力反対派。この問題については原発への賛成、反対は関係ない。国民全員がその意識を持つことが大切ではないかと思う。



(班目コーディネーターより、「最後に一言づつ」と振られて)

川村講師:
 原子力発電所ができた土地は、統計上は人口が増え所得も上がっている。しかし、住んでいる人は良くも悪くも何も変わっていないとの話しもある。単に都会化が進んだだけなのかも知れない。
 「そこに住んでいる人は幸せなのだろうか」との視点で考えてほしい。



感想

 北村さんはかつて敦賀や東海で働かれ、今も原子力発電所の立地地域に住まれているだけあって、請負構造の問題点や地域の電力会社への依存体質も熟知されており、流石だと思いました。
 ただ、最終処分場について「墓場」を引き合いに出された点については少しばかり違和感も感じてしまいましたが・・・

 森田さんの「放射性廃棄物処分場は原発賛成、反対は関係ない。」はまさにその通り。
 なんでも反対すりゃ良いってものではないです。
 ある原子力関係者は、かつて個人のホームページ(反対派からの苦情により閉鎖済)で「ガラス固化体は出来るものならうちの庭にでも埋めてもらいたい」と書かれておりましたが、私も同じ気持ちであります。(我家の人形峠残土レンガ花壇の300m下にね。(^_^;))

 川村さんの「『そこに住んでいる人は幸せなのだろうか』との視点で・・・」は、企業や原子力発電所を誘致した地域のみならず、現代人の生活と幸福そのものについての根源的な問いかけのやうに感じました。
 物の豊かさや便利さが人々の自覚している幸福度に直結しているかと言ふと・・・ね。






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最終更新日  2009年11月22日 18時17分31秒
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