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アーチャーンの生き物日記 [全454件]
翅端まで約10mm、かなり大型の有翅虫である。しかし、体の長さはどうかと言うと、これが非常に短く約3.5mmで体長の僅か1/3程度、特に腹部が短く体全体の2/5位しかない。 どうも雄の有翅虫の様である。雌ならば腹部がもっと大きいと思う。
横から見ると、翅脈の基部が矢鱈に太く、また、翅斑(縁紋)が異常なほど大きい。写真を撮っている時は、この太い翅脈と縁紋が胴体の続きの様に見えて、随分細長い変な腹部だと思った位である。
調べてみると、こう言う翅脈上の特徴を持つのはオオアブラムシ亜科(Lachninae)の様である。余り自信がないが、大型でもあるし、一応オオアブラムシ亜科の有翅雄と言うことにしておく。
拡大してみると、体は青味を帯びており、腿節の一部と翅脈基部が飴色(赤褐色)、脚のその他の部分は黒色で、中々良い色合いをしている。 全農教の「日本原色アブラムシ図鑑」を見ると、ハネナガオオアブラムシ(Cinara longipennis)がこの様な特徴を持っている。しかし、図鑑に載っているオオアブラムシ亜科は僅かに8種、九州大学の目録を見るとオオアブラムシ亜科は51種もあり、オオアブラムシ属(Cinara)だけでも26種もあるので、そう簡単に決めつける訳には行かないであろう。
雄は晩秋にしか現れない。最近の理科の教科書は読んだことはないが、昔の教科書に書かれていたアブラムシの生活環は次の様である。春に卵から孵った雌(これを幹母と言う)は単為生殖で仔虫(無翅胎生雌)を産み、仔虫は成長してまた単為生殖で増殖し、世代を重ねる(無性世代)。これが晩秋になると雄と有性雌を生じ、有性雌は雄と交尾の後、越冬卵を産む(有性世代)(しかし、実際には多くのパターンがあり、こんなに簡単では無い。個体群により異なる複数のパターンを持つ種もある。如何に簡単でないかは、到底此処で書き切れるものでは無いし、また、私の理解にも限りがあるので、それなりの専門的な書籍(例えば、東京大学出版会の「アブラムシの生物学」等)を参照していただきたい)。
この雄には、種によって有翅形、無翅形、或いは、その両方と色々あるが、有性雌の方は私の知る限り全て無翅形である。雌の方は、有性雌を胎生で産む産雌虫が有翅形になることが多い(無翅の場合もある)。 今はワタムシ(雪虫)の飛ぶ季節である。このワタムシ(タマワタムシ亜科)の場合はどうかと言うと、この有翅虫は産性雌と呼ばれる胎生雌で、これが無翅雄と無翅有性雌の双方を胎生で産み、生まれた無翅有性雌が無翅雄と交尾して産卵する(ただ1個のみ!!)。雪虫には雄は居ないのである。
この写真の有翅虫、翅ばかり大きくて余り旨く飛べそうにも見えない。しかし、ストロボの光を何回も浴びて身の危険を感じたらしく、時々翅を拡げる動作をした。雲の多い日の早朝であり、しかも場所はかなりの日陰だったので、まだ気温が低くて飛べないだろうと思って油断していたら、何とチャンと飛んで逃げた。しかし、普通のアブラムシの有翅虫とは異なり、ウスバカゲロウの様な何とも頼りない飛び方。翅が体に比して大き過ぎる?のでこう言う飛び方になってしまうのであろう。
アゲハ類(Papilio属)の前蛹と言うのは、何とも可愛い。6cm程あった幼虫がその1/2位に縮まってしまう。何でこうも小さくなれるのか不思議である。どう見ても体積が減っている感じがするが、そんな筈はないだろう。一度体積を量ってみたくなる。
頭に近い方を拡大してみた。胸脚、腹脚共にキチンと揃えていて、大変御行儀が宜しい。
翌日は、チャンと蛹になった。5頭の内、木の枝で蛹化した4頭は写真の様に普通の緑色をしていたが、飼育箱の下に敷いていた白いコピー用紙のまくれ上がった端で蛹化した1頭だけは茶色の斑の蛹になった。 蛹の色が何によって決まるのかは色々研究されていて、昔何処かで読んだことがあるが、すっかり忘れてしまった。蛹化した場所の色で決まる、と言うような単純なものではなかった筈である。其処で一寸調べてみたら、「ミヤマカラスアゲハの本州西南低地での連続発生」と言う論文の中に「アゲハチョウやクロアゲハの蛹の多型に関与する刺激としては, 植物からの匂い, 蛹化面の幅・粗滑・曲率, 湿度, 温度, 日長など複数の要因が絡んでいるが, 背景色の影響は受けないことが明らかにされている」とあった。 クロアゲハの蛹は、ナミアゲハの蛹とは異なり、背中に突起がない・・・と言うか、ナミアゲハの蛹にのみ突起がある。
最初に示した蛹は10月2日に無事羽化したが、一寸事情があってその後の写真は撮っていない。上の蛹の写真はそれより2〜3日遅れて蛹化した個体の羽化当日に撮ったものである。クロアゲハの蛹は、羽化の前日から明らかに黒っぽくなって来る。上の写真は羽化の約5時間前で、既に真っ黒になっている。
次は羽化の約3時間前。本体と蛹殻の間に空隙を生じ、其処に空気が入って白く光っている。しかし、まだ腹部の方は白くなっていない。
上はその1時間後(羽化の約2時間前)。腹部の方にも空隙が拡がって来ている。この後、ず〜と羽化を待ったのだが変化なし、中々羽化しない。
シビレを切らして一寸他のことをしている間に羽化してしまった。何時もこうである。上の写真は丁度翅が伸びた位のところで、まだフニャフニャ。 雨模様の薄暗い日なので、ストロボを焚いたら、クロアゲハが青アゲハになってしまった。
上は一時間後に一寸無理をして自然光で撮ったもの。ブレ止め機構が無いし、レンズは100mmと焦点距離が長いので、雨模様の弱い自然光では撮り難いのである。少し逆光気味であるが、正しいクロアゲハの色が出ている。
羽化後1時間位したら時々翅を拡げるようになった。しかし、天候不順で気温が低いせいか、中々飛びだそうとはしない。 クロアゲハの雄には上の写真では見えない後翅表面の前縁に白条があるのだが(雌にはない)、このことをすっかり忘れていて、調べ損なってしまった。しかし、この個体は前翅の地色が薄いので雌であろう。
夕方近くになっても、気温が低いせいか一向に飛ぼうとしない。其処で、一寸シオンの1種に留まらせて記念写真を撮った。一応、花に留まってはいるが、吸蜜はしていない。羽化後1日位は何も摂らない様である。
写真を撮った後、雨が本格的に降り出した。次の日は一日中雨であった。実は、写真に示した個体以外にもう1頭同時に羽化したのだが、2頭揃って我が家の庭先に2日間ジッと留まっていた。その次の日もまた雨模様であった。しかし、何れも知らない間にその姿を消していた。雨の合間に何処かへ飛んでいったらしい。 飼育した5頭は何れも無事羽化した。2齢幼虫の時に初めてその存在に気が付いたので、孵化の日付が分からないが、多分8月20〜25日頃であろう。2齢から飼育環境になり、前蛹になったのは9月20〜24日、羽化は10月2〜7日である。孵化してから前蛹になるまで約1ヶ月、前蛹から羽化までは12日前後と言うことになる。ルリタテハの場合は、その多くが18日前後で前蛹となり、その後8〜9日で羽化した。クロアゲハはルリタテハより大きいせいか、生長に時間がかかる様である。 これでクロアゲハの飼育経過報告は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通り。
此の蛾、翅端まで5mmと小さいが、一寸した訳があってその名前を知っていた。ハマキモドキガ科のゴボウハマキモドキ(Tebenna micalis)である。前翅に光を反射して銀色に光る部分が幾つかあって、小さいながらも特徴のある昼行性の蛾である。
此の蛾、昨年の秋に近くにある世田谷区の家庭菜園で撮影したことがある。しかし、その時は種類を調べる時間が無く、その儘放置しておいた。今年の夏近くなって、写真の整理をしていたとき、漸く種類を調べる気になり、ゴボウハマキモドキであることが分かったのである。ハマキガ科かと思って探したのだが、ハマキモドキガ科であった。
名前の通りゴボウの葉を食べるので、ゴボウの害虫として知られているとのこと。しかし、ゴボウばかりでなく種々のキク科植物に寄生し、特にアザミに多いらしい。この辺りにはゴボウは生えていないし栽培もされてもいないが、アザミはかなり生えているので、そう言う所で発生しているのかも知れない。 ハマキガ科幼虫には名前の通り食草の葉を綴って中に潜むものが多い。しかし、図鑑に拠ると、本種の幼虫はゴボウの葉面に糸を張って葉肉を食して片面の表皮を残す、と書いてある。「モドキ」と付くからではないが、葉は巻かないらしい。
前翅の光を反射する部分の配置には個体差がある。上向きに留まった状態で、上に丸い半円状に分布する事が多い様で、世田谷区の家庭菜園で撮影した個体(未掲載)はそうなっていたが、此処に示した個体では光を反射する斑紋の数が少なく明確な半円形を成しては居ない。
Web上にはゴボウハマキモドキの写真が余り多くないので、少し多目に貼って置いた。拡大するとかなり荒れた感じに見えるが、これは荒れているのではなく、蛾が小さい(翅端まで5mm)ので鱗粉が一つひとつ見えているからである。
先ずは前蛹、上の写真の様に胸部を曲げてJの字型になっている。ルリタテハ(Kaniska canace)の幼虫は、休むときには何時も丸まっているので、前蛹も丸まるのかと思ったが、よく考えてみると、ツマグロヒョウモンやコミスジの前蛹も胸部を曲げていた。こう言う蛹がぶら下がる形をとる種類(タテハチョウ科)の前蛹は、皆、こうなのかも知れない。前蛹になった直後はかなり曲りが強いが、時間と共に段々緩くなる。 前蛹になる時刻は夕方が多い様に思える。写真の前蛹は半日以上経った次の日の昼近く、脱皮して蛹になる直前に撮ったので、曲りがかなり弱くなっている。
上の写真は、最初の前蛹の写真の約2時間後、脱皮して蛹となった直後に撮ったものである。まだフニャフニャで、気を付けないと傷つけてしまいそうな感じであった。時間が経つと出現する銀色に反射する部分も、この時点では他の部分と見分けが付かない。
次は充分時間が経ってから撮った写真、但し、別個体である。7頭を一緒に飼育していたので、どれがどれだが分からなくなってしまい、この写真の蛹も羽化の何日前であったか定かでない。しかし、何れにせよ、1〜3日以内に羽化したことだけは確かである。 キチョウやクロアゲハの蛹は、羽化が近づくと次第に色が変わり、羽化前日にはハッキリそれと分かる。しかし、ルリタテハの場合は、色が殆ど変わらない様である。何とも不確かな言い方だが、丁度この頃に個人的に些か面倒な事態が出来したのと、別に飼育していたクロアゲハの終齢幼虫の世話に気を取られ、蛹の色の変化は充分に観察していないのである。7頭の何れもが、気が付いたら羽化していた、と言う甚だ不注意な羽化のさせ方をしてしまった。
羽化の瞬間も、7頭も居ながら、全て見逃してしまった。上の写真はその中でも、まだ翅がクシャクシャの状態で気が付いたのだが、写真を撮る為の準備をしている間に、前翅の先端付近を除いて殆ど伸びてしまった。ルリタテハの場合も僅か数分で翅の伸張は終わる様である。 羽化は殆どが10〜12時の間に起こり、明るくなってから(部屋の厚いカーテンを開けてから)4〜5時間後に羽化するものと思われる。
羽化したルリタテハ。無理矢理サンザシの葉に留まらせて撮った写真である。 飼育した7頭は、何れも無事羽化した。孵化したのが恐らく8月27日、前蛹になったのは最も早い個体で9月10日、一番遅い個体が9月17日、多くは9月12〜14日、羽化はそれぞれ9月19日、9月26日、9月20〜23日である。 言い換えると、孵化後、最速15日で前蛹、24日で羽化、最遅が22日で前蛹、31日に羽化、多くは17〜19日で前蛹、25〜28日で羽化したことになる。
庭に残した数頭の幼虫は、飼育したものに較べて生長が遅かったが、その内でも比較的生長の早かった3頭は、9月19〜22日にかけて前蛹となり、何れも10月1〜3日の間に無事羽化した。ヤドリバエにほぼ確実に寄生されていると思っていたが、幸いにも大丈夫であった。しかし、生長の後れていた個体は、その後姿を消してしまった。原因は不明である。 孵化後の日数としては、24〜27日で前蛹、36〜38日で羽化したことになる。個体差が大きいが、飼育環境と比較すると、前蛹になるのが約1週間遅く、羽化は10日前後遅れたと言えるであろう。
飼育個体7頭全部、屋外でも3頭、合計10頭のルリタテハが羽化して、一見万々歳だが、よく考えてみると些か気になることがある。屋外の個体は問題ないが、飼育個体は室内で飼育して居るので、何れも長日環境で生長したことになる。蛹越冬をするアゲハ類(Papilio属)の場合、秋になって気温が下がっても長日環境で飼育すれば、越冬蛹にはならず、年内に羽化してしまう。ルリタテハの場合は成虫越冬なので、羽化してしまえばもうそれで問題は無い様に思えるかも知れない。しかし、成虫越冬をするカメムシ等では、終齢幼虫の時に臨界日長以下の日長で育てば卵巣は発達せず休眠個体になるが、臨界日長を越えた長日環境で生育すると卵巣が発達することが知られている。この現象は、成虫越冬する昆虫では一般的なのではないかと思われる。もしルリタテハでも同じ様に、長日条件で卵巣が発達してしまうのなら、その個体が今後どういう運命になるのか良く分からない。秋の内に無理矢理産卵してしまうのか、越冬に必要な栄養を卵に費やしてしまって越冬を完了出来ないのか、或いは、卵を吸収して越冬の為の栄養に転化できるのか・・・、飼育をした者としては気になるところである。 これでルリタテハの飼育経過報告?は終わりである。これまでの記事の内容と掲載日を纏めると以下の通りとなる。
この手の小さいハエの同定は生態写真からは難しいことが多い。しかし、脛節端付近の背側に剛毛が無く、一見して単眼三角域が大きいので、キモグリバエ(Chloropidae)の1種であるのは間違いない。しかし、それ以上は、現在「一寸のハエにも五分の大和魂」が故障中なので、私一人の力ではどうにもならない。 それでも「Chloropidae」で画像検索すると、Thaumatomyia notataと言うこれにそっくりなキモグリバエが見つかった。しかし、類似種の情報が全く欠けているので、一見似ているからと言ってそう簡単にThaumatomyia属の1種と決める付ける訳には行かない。 キモグリバエ科は、九州大学の目録では150種、東京都本土部昆虫目録では39種記録されており、また、Thaumatomyia属は前者で3種、後者には2種載っている。 「木潜蠅」と言うと、木の穿孔虫の様な印象を与えるが、幼虫が木や皮を食べるのは一部に過ぎず、その食性は双翅目昆虫らしく、非常に広範囲に亘る。単子葉植物の茎や花穂を食べるものがよく知られており(ムギキモグリバエ、イネキモグリバエ等)、中には虫えいを作るものもあるそうだが、他に、腐植質、キノコ、腐肉、鳥の巣(に寄生?)、蜘蛛やバッタの卵、ネアブラムシ等を食べるものもある。前述のThaumatomyia属はネアブラムシを捕食する。 尚、別のWeblogで「キタモンヒゲブトキモグリバエ」と「ヒゲブトキモグリバエ?」を紹介しているので、関心のある向きは参照されたい。
この個体は、上の写真から明らかな様に、産卵管を持っており、雌である。背中の網目模様(翅脈)を見ると、かなり規則的(下)。これは雌の特徴で、雄の方は翅を擦らせて発音する為か、網目がもっと不規則な奇妙な模様になっている。どうもこの手の虫には詳しくないので良く分からないのだが、この様な雌雄による翅脈の違いは、スズムシやマツムシでも同じであり、この仲間では普通の事らしい。
ところで、このアオマツムシ、以前紹介したウスグモスズと同じく、外来種である。しかし、ウスグモスズよりずっと古参で、北隆館の新訂圖鑑に拠れば、1917年に東京で発見されたとある。一方、Wikipediaには「日本での初記録年月日も1898年(明治31年)という説と1908(明治41年)年ごろという説があり、データの付いたタイプ標本が残っていないため判然としていない。ただし、初記録地は東京都の赤坂榎木坂である」と書かれている。何方が正しいのか判断材料に乏しい。
原産地もハッキリしない様で、北隆館の圖鑑には東洋熱帯(中国)と推定されるとあるが、Wikipediaでは「中国大陸より日本に入り帰化した外来種という説が一般的だが、原産地ははっきりせず」と書かれている。 しかし、外国での記録がないウスグモスズとは異なり、九州大学の昆虫目録には、その分布に「HONSHU,KYUSHU;China」とあり、少なくとも中国は含まれている(尚、九大目録の学名はCalyptotrypus hibinonis)。
このアオマツムシ、見付けたのは雨模様の日の昼過ぎであった。日中はそのままジッとして動かず、次の日(一日中雨)には同じセイタカアワダチソウの別の場所に居た。それからかなり経って、台風18号の通過した日の夜に、デュランタの枝にそれらしき虫が留まっているのを見付けた。暗くて分かり難かったが、体の輪郭や触角の長さから判断してアオマツムシと思われる(但し別個体の可能性が高い)。かなり活発に動いており、やはり夜行性の虫は、昼と夜で動きが随分違うことを実感した。
セイタカアワダチソウは勿論草本だが、名前の通り背が高い。アオマツムシはウスグモスズやサトクダマキモドキと同じく樹上生活者だそうである。セイタカアワダチソウを木と間違えたのだろうか。 これまで当Weblogで紹介した直翅目昆虫の多くは樹上生活者であった。私は草の根を分けて虫を探すことをしない(蚊に喰われる)ので、撮影する直翅目昆虫はどうも樹上生活者に偏る様である。
アオマツムシの雄は「リーリーリー」と大きな高い音で鳴くとのこと。今、夜になると色々な虫が庭で鳴いている。しかし、どうも直翅目昆虫に興味のない私には、カネタタキを除いてこれらの虫の音が全く区別出来ない。其処で、「虫の音WORLD」と言うサイトで虫の音を調べてみると、どうやら我が家の庭に最も沢山居り、また一番元気に鳴いているのはツヅレサセコオロギの様で、アオマツムシと思しき声も時々聞えている。それならば、庭の中を一生懸命探せばアオマツムシの雄も見つかるかも知れない。しかし、コンクリートに囲まれた庭では音が反響して何処から聞こえてくるのか甚だ分かり難い。探すのは一寸無理な様である。 最後にアオマツムシの聴器を示す(下)。余り外見はパッとしないが、中は空洞になっているはずである。2又になったサトクダマキモドキの聴器とは全然違う構造をしている。クダマキモドキは別科(キリギリス科)なので、この程度の違いは当然なのだろうか。
実は、先日の台風18号でハナモモの木が倒れてしまった。地面が柔らかく、3年前の台風でも倒れたので支えがしてあったのだが、生長が速すぎて支えきれなくなり再度倒れてしまったのである。お金をかけて直しても、また台風が来れば倒れる可能性が高く、兄と相談した結果、可哀想だが片付けてしまうことにした。デュランタにアオマツムシが来ているのを見たのはその日の夜である。同じ日にサトクダマキモドキの雌も見た。或いは、これらの樹上生活者は、ハナモモの木に棲んでいたのかも知れない。
軸の折れた葉っぱの上で脱皮したので写真が撮り難く、手の上で撮影した。体長は3cm強、生長しきった4齢幼虫よりも少し縮んで小さくなっている。脱皮する前に暫く御飯を食べなかったからであろう。 色は薄く黄緑色で、体はまだ皺クチャ、その内色も濃くなり、皺も生長に連れて伸びて行く。
次は充分に生長した終齢幼虫。体を伸ばしているので、ジッとしている時より体長はかなり長く約6.5cm。5頭を個体識別せずに一緒に飼育したので良く分からないが、最初に示した個体とは違うのではないかと思う。しかし、背部の模様等は基本的に変わるところはない。
クロアゲハの終齢幼虫は、ナミアゲハとは幾つかの点で外見が異なる。 先ず全体的な体の色が違う。ナミアゲハの終齢幼虫は黄緑色だが、クロアゲハはもっと濃い緑色をしている。また、第3胸節と第1腹節の膨らみがナミアゲハよりも顕著である。 模様も随分違う。ナミアゲハでは、第3胸節の一見眼の様な紋の間に2重の輪を連ねた形の模様があるが、この輪がクロアゲハでは形が崩れ、また、その両端が切れた様な格好になっている。もっと目立つのは、クロアゲハでは、その第1腹節後縁、第4〜5腹節、第6腹節、第8〜9腹節に輪郭の白い不規則な模様を持つ茶色の帯があることである。これらはナミアゲハではその白い前縁と、模様のない色の濃い黒っぽい、或いは、時に殆ど他の部分と区別が付かない色のもっと単純な帯になっている。
横から見ると、第1胸節〜第2腹節までの腹側と胸脚は淡褐色をしている。この部分はナミアゲハの終齢幼虫では何れも体色と同じ黄緑色である。また、ナミアゲハの腹部側面下部には、黒い縁取りの明瞭な白斑があるが、クロアゲハの終齢幼虫にはその様なものは認められない。なお、気門の色は何方も同じで淡褐色である。
頭の色もナミアゲハとは異なる。クロアゲハの頭部は、上の写真で示す通り、胸部〜第2腹節腹面や胸脚と同じ淡褐色をしているが、ナミアゲハではこの部分もやはり黄緑色である。
頭部は縫合線が白い他は一様な淡褐色をしている。ナミアゲハの終齢幼虫では、頭頂の副頭楯に接した部分が筋状に黒くなっているが、クロアゲハではその様な筋は認められない。 また、上唇を含めた口器はナミアゲハでは青灰色をしているのに対し、クロアゲハでは上の写真の通り、頭部の他の部分と同じく一様に淡褐色である。
頭部から胸部にかけた部分を上に示す。殆ど全身黄緑色をしたナミアゲハの終齢幼虫と較べると、随分色合いが異なっているのがお分かり頂けるであろう。 最後に一見眼の様に見える模様(眼状紋)を等倍接写してみた。2頭の眼状紋を撮影したが、互いによく似ている。ナミアゲハの眼状紋と比較すると、先ず、ナミアゲハのものよりも少し大きい(比率)。更に、黒い部分の輪郭がハッキリしており、黒斑全体にわたってかなり細かい縦皺があるのが分かる(下)。ナミアゲハではこの黒斑の輪郭はあまり明瞭でなく、また、皺の様なものは認められなかった。黒斑には、これを斜めによぎる裂け目状の構造があり、この裂け目はクロアゲハでは淡褐色をしているが、ナミアゲハの場合は潤んだ様な白い色をしていた。 また、この黒斑の上に縁取りのある白い斑が2つと青色の斑が1つある(北隆館の日本幼虫圖鑑には「3小白紋」とある)。これは、或いは、漫画などで黒目に光が反射している様な白い斑を書き込むのと同じ効果をあげているのかも知れない。ナミアゲハではかなり離れたところに白斑が1つあるに過ぎず、この様な効果は無いであろう。
クロアゲハとナミアゲハの各終齢幼虫の間には、一見して色や形に違いがあるのが分かるが、詳細に検討すると思ったよりも随分多くの点で異なっていた。この手の比較を他のアゲハチョウ(Papilio)属(キアゲハを除く)にも拡げてみたら面白いのではないだろうか。しかし、この辺り(東京都世田谷区西部)には他にカラスアゲハとナガサキアゲハが居るだけで、しかも繁華街に近い我が家ではこれらの幼虫すら容易には得られない。精々食草を育てて気長に御到来を待つこととしよう。 |一覧| |