マスＰ文庫

「太っちょポッポのトットさんはハトなんだ本当はね？」
「コラ！本当はね？とはどういう意味だ。本当も嘘もない本当に俺はハトなんだ。」
「トットさんに叱られちゃった。でもトットさん飛べないじゃないか、あんまり太ってて。」
「と、と、飛べないって？ちょっと位なら浮くぞ！」
トットさんは必死に羽をばたつかせ、足でピョンピョン跳ねたが、ほらちっとも飛べない。
「みんな言ってるよ、きっとあいつはハトじゃなくペンギンだろうって。」
「失敬な、俺は魚なんて食わねぇぞ。好きな食べ物はマメだし。」
「でもさぁ、その体はどう見たってペンギンだよ。だって足なんか大きなお腹で足首まで埋まっちゃってるし、羽なんて盛り上がった脇のお肉でパタパタするくらいがやっとじゃないか。」
「でも俺はハトだよ。ハトだってば．．．親父もお袋もハトだったし。」
「でもいいじゃないか、ペンギンだって鳥なんだし。別にブタだって言ってる訳じゃないよ。」
「良くない、全然良くない。クジラがけものじゃない、コウモリが鳥じゃないと言われて喜ぶと思うかぁ？」
「そりゃそうだけど。でもコウモリは鳥じゃなくけものの仲間だよ。」
「えっ？そうなの？知らなかった。まぁいい。誰が何と言おうと俺はハトなんだ。」
「じゃ何か証拠を見せてよ。」
「ようし、よく見てろよ。」
「おいおい、トットさんそんな所に行っちゃ危ないよ。」
トットさんは池に行くなり、
「よく見てろよ。俺がペンギンなら、水につかれば勝手に泳いじまうはずだぞ！」
と言っていきなり飛び込んじゃった。でもトットさん始めはもがいていたけど、だんだん慣れて来て、結構浮いたもんだから、
「まぁペンギンでもいいか。水の中って体が軽くて結構快適だぜ。」
って言ってまだ池の中で泳いでいるんだ。
トットさん、ハトじゃなくペンギンじゃなく本当はアヒルじゃないだろうか？
ところでアヒルって飛んだかなぁ？

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