よく読まれている記事一覧 | あびの万華鏡

互助組合を退会しよう

　大阪府教職員互助組合に対する補助金を橋下知事は廃止するという。そこで僕は互助組合をやめようと思って、退会方法を問い合わせたのだが、退職しないかぎり退会できないという。　そんなバカなことがあるか。掛け金を勝手に徴収して、補助金がないなら、結局、すくなくとも互助組合の職員の給料や経費分は、会員が負担することになる。つまり、総額で見れば、会員は損することになる。そんな団体はやめたいというのに、やめられないというのは、詐欺である。　そう抗議すると、条例で決まっているというので、どの条例かと聞くと、大阪府学校職員の互助制度に関する条例だという。さっそく検索してみると、昭和二十三年十月十八日大阪府条例第百五号本府会の議決を経て、大阪府学校職員の互助制度に関する条例を、次のように定める。大阪府学校職員の互助制度に関する条例第一条　本府の経済に属する学校職員は、互助共済及び福利増進を目的とする独立の組合を組織することができる。第二条　組合は、学校職員の総意によつて結成し、運営する。第三条　組合は、第一条の目的を達成するために、次の事業を行う。一　福利、厚生、医療等に関する資金の給付貸付二　施設の設営第四条　組合は、組合員の掛金及び府の補助金で運営するものとする。府は補助金として、毎年度予算の範囲内において、組合員の掛金総額の三倍以内を補助する。第五条　知事及び大阪府教育委員会(以下「委員会」という。)は組合の業務を監督し、諸種の報告を求める。(昭二六条例四〇・一部改正)第六条　知事及び委員会は、それぞれその所属に係る職員並びに組合員を組合の業務に従事させることができる。(昭二六条例四〇・一部改正)附　則第七条　この条例は、昭和二十三年十月一日から、これを適用する。第八条　この条例は、既存の互助施設を拘束しない。　ここにはどこにも職員は必ず加入しないといけないとは書いていない。　また、府は掛け金の三倍以内の補助金を補助するとある。これを廃止するということは、０でも三倍以内だから、ＯＫだという屁理屈だろうか？　また知事は職員や組合員を業務に従事させることができるとある。　補助金なしで、掛け金が強制であれば、これらの業務についている者を養うためだけの組織になり下がってしまう。　　ここにはやめてはいけないとは書いていないし、掛け金を勝手に奪う権利など、こんな任意団体には存在しないと考えるので、僕はこれを退会するか、引き落としの口座を変更し、残高を０にする方法を追求してみたいと考える。だが、給料の振込口座から、天引きされているので、その天引きを止めることは不可能かもしれない。　だとすると、そのやり方自体がまた詐欺だ。　補助はしない。退会は許さず、お金はとる。そんなことが許されていいのだろうか。　みなで退会運動を起こし、応じなければ、天引きをやめなさいという裁判を起こせばどうだろうか。

やっぱり学校は嫌い

（某同僚へのメールより）　まだ生徒の入学を迎えていないこの数日間であびが感じたのは、教育活動の方向性を創っていくとき、学校というフィールドの中で、（急に増えてきた）若い教員たちに対する説得力を誰がもつのかということが大事だなと思いました。　たとえばＨさんのやり方は、自分だけがわかっていて、自分でささっとやってしまうというところが確かにあり、そういう人もコミで学校だからそれでいいと僕なら思いますが、若い人への説得力がこの時代の中では小さいのかなと思いました。彼の底に流れるものまでは、若者はあまり洞察せず、もっとわかりやすいものに飛びつくんだなと思います。　それは若者がそのようにしか育ってきていないという問題でもあると思うけど、そうとだけ言ってはいられないので、こちら側が説得力を持つことは重要だと思います。　ただ、あびとしては、学校の原理そのものを根本的に嫌っているので、あびが学校という現場の中で実践も含めて説得力を持つことは、まずありえないと思っています。別の場所なら、あびの姿勢が有効であり、説得力をもつことがもしかしたらあるとしても、学校は根本的に原理が違うから、とても難しいと感じています。　職員会議で、「（障害のある子が）こちらの名前だけ呼んで、なに？と聞いても何も言わないので、周囲の子も教員も対応に戸惑い、名前を呼んだ限りは何か言ってねと指導した」という報告について、　あびが「本人が社会性を身につけるには、その指導も必要だが、周囲が本人の気持ちを汲み取り、はーいと応えたり、その際軽く手を振るなどの、周囲の理解という両面から進めていくといいと思う」と意見を言ったでしょ。　それは本当は障害があろうとなかろうといつでもどこでもそうだとあびは思っている。ただ互いにそうやって生きていけばいいだけのことやと。（だから、僕はああいうことを、ふと思い付きで言っているフリをして、さりげなく若者に聞かせて、研修させてるねん。笑）　だけど、学校は、いや現代社会ぜんぶかもしれないんだけど、その前者の社会性（いやもっと硬直した規律性みたいなもの）を身につけさせることにこだわる人と、放任する人（保護者など）の極端な振り子の中にあるだけだと思う。　そして学校は社会性を身につけさせる仕事を、ハート部分とはほぼ無関係に押しつけられていて、担任や生活指導というのはその最前線でしょう。　かろうじて、障害児教育の中に、ちがう原理が逆転的発想の（？）説得力をもつ分野が「わずかに」残されているといった、そんな感じだと思います。　だから、やっぱりあびは学校が嫌いなんだとつくづくもうすでに５日間で感じました。　以上、日曜日における一週間の振り返り。　僕自身はやっぱり学校の教師は向かないと思うけど、違う原理をすこしは滲み出させて、そういうのを部分的にでも取り入れた教員が未来の学校を担ってくれたらいいと思う。　そうしておいて、自分は早く引退したい。　では、また月曜日。

母性とフリーチャイルド

　だんだん感じていることの整理が進んできた。　僕の言いたいことのひとつは、母性の強すぎるファシリテーターは、ケアすると同時にケアするという形での支配をしてしまう傾向があるから、葛藤を表出した上で超えていくという本当の意味でのワールドワークやオープンフォーラムを回避してしまう傾向があるということなんだな。　そして、そういう場の中では、僕の中のフリーチャイルドは強い抑圧を感じるために、ふだん以上にハジケてしまうんだな。すると、母性ロールはそんなフリーチャイルドを抑えて、弱い子を守らなきゃと考えるので、僕の中のフリーチャイルドはますます、そんなバカなことあるか！となるわけだ。　僕はそのコミュニティにすこし足を入れようとしはじめたときに、去年の１２月だが、そのコミュニティがひとつの劇団であり、僕はその中でピーターパンを演じることになるという夢を見たんだ。そして、そのコミュニティに近づくたびに、僕はその夢を思い出すんだ。　交流分析では、フリーチャイルドのほかに、母性、父性、合理性を立てて、そのバランスを見る。だが、もともとこれはジェンダーや家族型モデルによって影響を受けた心理的なパラダイムだな。　僕に言わせれば、その中に本当に必要なのは、フリーチャイルドだけだということになる。他はぜんぶ余計だと見える。つまりそんな風に考えるのがピーターパンだ。だが、それだけでは困ったことも起きる。ピーターパン、お前が配慮しないから、困ったことが起きるんだよ、と母性ロールに言われちゃったりするわけだ。　（つづく。次章は「長老とフリーチャイルド」です。うううう、早く書きたい。画期的な発見だ！）

純粋な子、やさしい子が非主流派としていじめられる場合

　いじめのパターンのひとつに、純粋な子、やさしい子が非主流派としていじめられるというパターンがある。　この場合、いじめている子は、やさしい子の（生育暦の中での）傷ついていなさに、傷ついているようにも見える。傷つかずにやさしい心をもったまま中学生にまでなったことが憎いというようなことだ。　教員は大人として「やさしさの連鎖」を主流派の価値観にしようと(多かれ少なかれ）操作する。すると上記の理由でいじめている子は、教員から矯正を受ける力を感じるが、自分では今ここにおける自分の中の「やさしい子が憎い」気持ちはどうしようもない。どうしようもない自分にそのような矯正力がはたらくのも、やっぱり「やさしい子」のせいなのだと感じることもありうる。　だが、いずれにしろ、教員は、その「やさしい子」をたとえ緊急避難的にでも、絶対に守らなければいけない。　ちなみに、その場合のいじめている子をそのような方向性に歩ませた一因は、もともと、担任が「やさしさの連鎖」が主流派の価値観になることを、ノーテンキに信じていたからで、その子はそのノーテンキさも憎かったのだと思う。　そして教員の見ていない場所での事態の悪化は、そのノーテンキさの「罪」を深めていき、他の子にとってもそれは「罪」に見え始める。「リアルな世界をあなたは知らない」という「罪」だ。　担任とは誰だ！？　笑

真犯人は誰か

　大掃除といっても、僕の担当は、できるだけ書類や本を捨てることだ。これが大変な作業なのだ。捨てるかどうか決めるには読まないといけないから。笑　さて、「死刑と人権」１５７号を捨てるかどうか決めるために読んだところ、玉光順正の講演記録がおもしろかったので捨てられなかった。　「例えば秋葉原の事件。実際にその事件を起こした犯人はつかまった。しかし、本当の真犯人、つまりそれはなぜ起こったのか、ということについては、まったくわからない」　「これは別にその事件だけではなくて多くがそう。本当の真犯人というのはどこにいるか」　「それはつまり、時代、社会の様々な問題とつながってくる」　学校の荒れについても同じことが言える。真犯人は誰だと特定し、決めつけてしまえるものでもないが、（たとえば、生徒、教師、親、教育委員会、文部科学省、社会全体などなど、どれも片手落ちの答かもしれないが）、少なくとも直接手を下した人に対する厳罰主義だけですませてしまうのは、むしろ犯人隠蔽の罪で問われるべきであろう。

老いとボケについて

　76歳の母親もだいぶボケてきた。どこがどのようにボケてきたか、よく見ていると、老いとボケについて新たに思うところがあった。　それは、ボケてくることによって目立つようになってきた言動の傾向性は、実は若いときから存在したということである。存在したが、ここまで極端ではなかった。　たとえば、一度自分が言ったことを何度も変更したり、完全に忘れてしまって変更のつもりではなく違う考えを言ったりすること。　母は昔から、それが通常よりはかなり多かったと思う。　たとえば、とても卑近な例を一つだけあげると、レストランで何かを注文するときに、Ａにするといっておいて、ウエイターが聞きにきて、「Ａを」と僕が代わりに言ったとたんに「やっぱりＢにする」といったり、「私はＢやで」といったりすることである。　これが一例であり、そういう傾向性全般である。もっと大事なことに関して、言葉を発するときにも同じようなことが頻繁に起こるということである。　これが50パーセント以上の確率で起こる場合は、言葉は普通の意味はもたなくなる。つまり、母がＡと言った場合、今この瞬間にＡと言ったという事実しか表しておらず、何をどこまで考えた上でのことなのかはわからないし、母の考えや意志、記憶などがＡである確率はまだ５０パーセント以下なのである。　その傾向はたぶんかなり若いときからあったのだと思う。それで幼い僕は、かなり傷ついたことと思う。それゆえに、言葉を最終判断でないのにとりあえず人に向かって発してしまう人全般に対して、僕は通常より傷ついたり、イライラしたりしやすい人間になったと思う。　「それでは言葉が意味を成さないではないか！　いったい何のために言葉が存在するんだ？」という怒りを基本的にダムに蓄積させているから、誰かがちょっとそういうことをするとすぐダムが決壊するような感じというか。　そして、ここ数日、久しぶりに一緒に葬儀のことなど、打ち合わせたり前に進めたりしていると、母のその傾向はさらにさらに拍車がかかっているのがよくわかった。もはや変更の確率は５０パーセントどころではなく、必ず４、5回は変更があると見ていい。そしてもう変わらないかと思ったら、本当にぎりぎりになってからとか、他の人にもはっきりそう伝えてしまってから、まだ変更するのである。と思ったら、また変更するのである。　そのとき、自分がさっきこう言ったのだよ、と告げると、ああ、そうかそうか、と言うときもあれば、完全に忘れていることもある。同じ事柄についてそれを４、5回繰り返したりする。　これはボケの一般的な傾向とも言えるかもしれないが、そういえば、こんなところは昔からあったと思う。そして数え１００で亡くなった祖母も、８６で亡くなった祖母も、別の意味ではもっとボケていたかもしれないが、このような「前言撤回を繰り返す」傾向は、ほとんどめだたなかったのである。　だからボケというのには、一般的に物忘れが激しくなるなどの傾向があるにしても、それぞれのボケ方を仔細に見ると、以前からの傾向が病的なまでに強調されるのだということがあるのではないかと思ったのである。　それで僕はといえば、母のこの傾向がもはやボケの域に達してしまうと、以前ほどは傷ついたり、腹がたったりしなくなった。　以前は、本人の心がけが悪い、言葉というものをないがしろにしている、人に伝えるということに関して無責任であるなどという道義的な怒りがあった。だが、今は、能力としてそうする能力がないとはっきりわかるので、仕方がないかと思う。　でも、翻ってよく考えると、以前から、通常よりはややその能力が低かったのかもしれない。若い脳のときであれば、しっかり注意していれば、幾分かはマシな状態にできたにしても、そうするためには、通常以上の努力が必要で、自分の傾向としては、そうすることに向かう脳神経回路が未発達で、ちゃんと言葉に責任をもったり、正確に言うことが、困難だったのかもしれない。道義的な問題や、生きる姿勢の問題というよりも、もうそれはそういう個性であり、仕方のないことだったのかもしれない。　だが、こんな風に言っている僕が、言葉を正確に使えなくなってくるボケを自覚したら、僕は自分で自分をどう思うだろう。自分が大切にしてきたものや、自分にその能力があると感じてきた分野で、自分が無能になっていることを自覚し始めたとき、相当落ち込むかもしれないなと想像する。　けれども、僕が今のところ自覚しているのは、数字や符号に対する勘違いや取り違え、はやとちりは以前よりもひどくなっているような気がすることである。これは子どものときからあるなあと思っていたのだが、学校で数学を勉強するなど、無理に脳神経回路を作って改善していたように思う。それがまた元の木阿弥になってきているように思うのだ。　だが、言葉に関しては今のところ、注意力や鋭さがあまり落ちていないような気がする。これもまた、ボケは苦手分野がさらに苦手になることから始まるという例のひとつではないだろうか。　今の心境としては、言葉を正確に綿密に責任をもって使うことが、もともとあまり得意でない人に対して、僕が道義的な怒りを感じたり、それに傷ついた気持ちをガンガン伝えたりしたことを、ちょっと謝りたいような心境である・・・。

『蝶を放つ』あとがきより

　私は長い間、文学とは「青春の自己探求をどこまで持続的な営為とすることができるか」が命であると考えていたような気がする。だが今は、（それも全面的に否定するわけではないが）むしろ老いていくという過程の中でこそ、その文学的営為は研ぎ澄まされていくのではないかと思うようになった。　私がこの小説「蝶を放つ」を「シニア文学」を旗印にしている鶴書院から刊行して世に問いたいと考えたゆえんである。　しかし、私はこの小説を「いかに死んでいくか」を模索中のシニアにだけ読んでほしいと考えたわけではけっしてない。　「いかに生きるか」と「いかに死んでいくか」は常に表裏一体の課題であるはずである。　私は「蝶を放つ」というモチーフを、人生のとば口で巨大な「？」を抱えて震えていた、あの五歳の私のためにこそ投げかけたとさえ言えるのだ。

街の風景

　街の風景を見ていて思うこと。いろいろなものが回転しているようにも見えるがその中で誰がどれぐらい幸福を感じているのかと想うと殆ど誰も幸福でないように見えてくる。　いろいろなお店などの仕事の現場では、安価な給料で人々が働いているのだが、おそらくその時給で月に２５日働いても、この国で結婚や子育てが安心してできるお金にはならないだろう。ただ駒鼠のようにくるくる回って暮らしていき、それをまた別の店で消費しているだけなのではないかと想えて仕方ない。　もしも病気などでぱたっと止まってしまったら、行き倒れになるか、生活保護でも受けるしかないだろう。それなら、その生活保護のコストの総量はどれくらいなのだ？　そんなことになるぐらいなら、初めからそれぞれの人の人生がそこそこに成り立つような経済社会を維持しておかないと、かえって社会的コストが高くつくではないか。　しかし、そんなことは、グローバル企業の知ったことではないのだろう。しったことではないという社会になることに開き直ったのはいつの頃からだったか。その芽は随分前からあったのかもしれないが、ますます露骨になったのは、小泉政権の頃からではないか。それをますます推し進めようとしているのが、ＴＰＰではないか。　昔、街の喫茶店には店主がいて、儲かっていてもそれほどではなくても、自分の城をもって幸せそうだった。今はスターバックスにアルバイターがいて、くるくるくるくる回っているだけに見える。夢あって何かを学んでいる学生ならまだちょっと救われる気がするけど。他のすべての店についても同じようなことを感じる。