碧翼のレステ第五章・8
複雑に入り組んだ道を、クレッドは迷いもせず進んでいく。「すっげーなぁ」「はぐれないでくれよ、探すのが面倒だから」感嘆の声を上げたエリオに対し、クレッドは素っ気無く言った。「僕たちでもたまに迷う者がいるからね」「へぇー、じゃあ普通は迷わねぇんだ。すっげーなあ」「……」あまりにも素直な反応にクレッドはどう答えていいかわからなくなった。「クレッド」「おっと、なんだい?」「あなた、日頃は何やってるの?」「日頃?うーんと、ほら、その」クレッドは笑ってごまかした。「いいの?あなた嫡子なんでしょ」「……親父の子供はオレだけじゃないしさ」「おじ様とうまくいってないの?」「ははは、レステちゃんは心配性だなあ。ちょっとした言葉のあやさ」「……ならいいけど」