ダイキン工業(株) 【東証1部:6367】 - 中国で成長・拡大し続ける
1994年、中国市場に世界で初めて業務用空調を持ち込んだダイキン工業(株)【東証1部:6367】。現在、ダイキン中国グループとして、大金(中国)投資有限公司を中心に中国に10生産拠点を構えるほか、販売拠点も北京、広州、上海など30を超える規模となっている。2008年度の売上高もダイキン中国グループ全体で日本円にして約1,500億円(約100億元)を超える見込みだ。中国で成長・拡大し続けるダイキン工業の戦略を、大金空調(上海)有限公司・副総経理で、大金(中国)投資有限公司・事業戦略部長の光安俊二氏に伺った。高い技術力と業務用分野の強みを活かし、業務用空調市場に特化し上海市場に絞って中国進出――光安さんの経歴と御社のグローバル展開の歴史をお聞かせ下さい。 私は1982年にダイキン工業に入社しました。最初は工場の生産技術を中心とする製造プロセスの仕事に約15年間従事。次いで工場の企画部門に在籍した後、約6年前にここ中国の大金空調(上海)有限公司に配属になりました。 ダイキン工業が本格的にグローバル展開を始めてから10年以上が経ちますが、工場の企画部門にいた頃からグローバル展開に関連する仕事には携わっていました。今、ダイキン工業は欧州、タイを中心とするアセアン、中国の3拠点を中心に、グローバル規模で生産・販売を行っています。最近は、米国展開にも積極的に取り組んでいます。他の業種や企業も同様ですが、弊社でもこのところ海外事業比率が高まっており、グローバル事業拡大の重要度が益々高まっています。 現在、ダイキン中国グループは、大金(中国)投資有限公司を中心に中国国内に全部で10生産拠点があります。販売拠点も北京、広州、上海など30を超えています。ダイキン中国グループ全体としては1万人を超える組織になってきています。売上高もグループ全体で、2008年度は100億元を超える見込みです。日本円にして約1,500億円の規模です。 そうなると、中国拠点全体を取りまとめる本部的な機能も必要になってきます。そこで、その全体運営を行うのが私の現在の役割です。具体的には、事業全般に関する諸問題の解決や方針の決定といったことを行っています。――現在の御社の中国でのビジネスの状況について教えて下さい。 弊社は1994年に中国に本格参入、1995年に製造を開始したわけですが、弊社の中国進出は同業他社に比べて後発でした。当時、すでに一般家庭用ルームエアコン市場は約400社がひしめく過当競争状態にありました。そこで弊社は、まずは業務用空調市場に特化し、新しい空調文化を創造する事からスタートすることにしました。 また、現在は一般家庭用ルームエアコンも手掛けているのですが、中国における一般家庭向けのブランド戦略としては、弊社の強みである"先進的で高度な技術力"を強くアピールし、"高級家電"というイメージで展開。それによって他社との差別化を図りました。そのため、中国でしか販売していない商品なども開発し、生産、販売を行っています。 業務用空調に関しては、設計士などの技術者に協力してもらい、年間何百回もの技術セミナーを開催し、弊社の技術力の高さを理解していただくよう努めています。こういった技術セミナーを中国で開催したのは弊社が初めてです。 さらに北京、上海、広州、南京に『ソリューションプラザ』を立ち上げ、弊社独自の展示文化を創ってきました。ソリューションプラザは、従来のショールームとは異なり、弊社の製品の技術について細かく説明できる場所という位置づけです。現在、同プラザでは、空調技術に関する常設展示を行っているほか、営業担当者や技術者など弊社の従業員とお客様がフェイス・トゥー・フェイスで向き合い、直接、提案を行ったり、お客様の疑問や相談にお答えしたりできるようになっています。特に、上海のソリューションプラザには、上海近郊はもちろん、日本や欧州などからもお客様が来場されており、その数はすでに2万5,000 人を超えています。――御社が中国に進出された頃の中国における業務用空調市場の様子はいかがでしたか。 当時の中国にはそもそも空調に対する認識がほとんどありませんでした。「冷えさえすればよい」「暖まりさえすればよい」という考え方だったのです。商品に関しては、業務用空調として大空間用セントラルエアコンと、一般家庭用ルームエアコンの、大きく分けてその2種類しかありませんでした。需要も当時、年間 200万~300万台程度。現在、中国のルームエアコンの市場規模が年間2,500万台と言われていますから、この10年間で10倍になっている計算です。ちなみに日本の市場規模が年間700万台ですから、台数ベースで3倍以上の規模ということになります。しかしながら、金額ベースでは日本と変わらないので、単価の安い市場であるということが言えます。とはいえ、これはルームエアコンに限ったことではなく、家電製品全般に当てはまることだと思います。2003~2004年の上海の建設ラッシュ時に業務用空調市場を飛躍的に拡大――中国進出された頃、すでに一般家庭用ルームエアコン市場は約400社がひしめく過当競争状態にあったということですが、御社が業務用空調に特化されたのはなぜでしょう。 まず「いかに弊社の高い技術力が生かせる商品と、サービスを訴求できるか」がビジネスの成否を分けるポイントになると考えました。そこで目を付けたのが、日本でも他社に比べて強かった業務用空調だったのです。 中国に参入した当初、中国には業務用空調というものは存在しておらず、初めて持ち込んだのが弊社ということになります。そのため、中国で業務用空調を認知していただくまでには、約5年近くかかりました。しかしながら、今では日本での強みを中国に上手く移転できたと思っています。 最初は室内機・室外機1対1のペア型業務用エアコンから始め、生産と販売を連動させ展開していきました。現在、主力であるビル用マルチエアコンは 2000年にスタートしているのですが、起爆剤となったのは2003~2004年の建築ラッシュの頃です。そのときに飛躍的に業務用空調というものの認知が進みました。生産拠点、販売拠点もその頃に飛躍的に増設しました。サービス会社も創設し、販売部門を大金(中国)投資有限公司に集約しました。 そのピークから約5年経ちましたが、上海の建築ラッシュは一段落し、現在はその周辺地域への展開の時代へと突入しています。北京、広州は上海に少し遅れて、建築ラッシュを迎えました。北京に関しても、最近ようやく北京市内のラッシュのピークが過ぎたところです。――御社のブランド戦略について詳しくお聞かせ下さい。 企業ブランドに直結する要素は、商品の機能や性能における優位性と、お客様に対するコミュニケーション戦略の2つだと考えています。弊社の場合、TV広告を行っているというわけでもないのに、お客様の認知度が自然と高まっていったのはこの2つの要素が上手に相まっていったからだと思います。 家庭用ルームエアコンと業務用空調の決定的な違いは、業務用空調の場合、製品を作って市場に流すだけでは売れないということです。工場を出た段階ではいわば半製品のようなもので、お客様に対する提案活動が不可欠なのです。そのため、弊社では、早い時期から営業推進部隊を作って積極的に提案活動を行ってきました。現在では1,000人を超える営業部隊が活動しています。 例えば、この部屋の空間と同じものはこの建物の中には2つとありません。現在、弊社では、どんな内装にも合うように、1,000機種ものバリエーションを用意し、タイプと能力の2つを軸にマトリックスを作ってお客様に提案、最適な空調を提供しています。一般家庭用エアコンの場合、単に設置するだけですが、業務用空調は究極の個別最適商品なのです。 実は、私自身、中国に来るまで業務用空調がこのようなソリューションビジネスになるとは思ってもみませんでした。とはいえ、弊社も最初からこういったビジネスモデルを持ち込めていたわけではなく、事業展開を行う中、徐々にこのような形になっていったということです。 日本経済新聞 - 08.06.06関連サイトダイキン工業株式会社ダイキン工業 - Wikipedia株価Yahoo!ファイナンス - 6367.t6367 ダイキン工業(株) ダイキン NIKKEI NET 株価サーチ株価 6367:ダイキン工業 - Infoseek マネー株価ジャッジ | ダイキン工業 (6367)6367ダイキン工業|株式投資顧問会社|イーキャピタル