群馬県大泉町で起こった逃走事件、つまり逮捕された男が手錠のまま逃走したという事件は男の身柄確保で終わった。手錠のまま、逃走したとなると周辺に仲間がいたのかもしれないし、そんな凶悪な男なら何をやるかわからない。テレビ映像には子供たちがこわごわと集団で大人に手を引かれて歩く様子も放映され緊迫感が伝わってくる。一件落着でよかったとなるのだが、疑問もわいてくる。
そもそもいったいこの人何をやったのだろうか。改めて記事を読むと、「職務質問を受けて暴れた」ということらしい。職務質問は普通は答えるものだが、様々な事情があるときもある。建前では職務質問は任意で強制力はないということになっている。その強制力のないはずの質問を逃れようとして、警察官がそれを阻止したから「暴れた」のではないか。強制力のないはずの職務質問なら、拒否する方だって暴れる必要はないのに。職務質問の拒否で手錠で連行…というのは、それはそれで問題がないのだろうか。
こんなふうに思うのは遠く離れて事件を眺めているからで、実際にその場所の住民だったら気が気でなかっただろう。しかしそれにしても、手錠で男が逃走して、大規模に住民に警戒を読みかけ、大騒ぎで捜索して、一件落着。で、どんな凶悪犯人だったかと思ったら、職務質問の拒否で暴れたということだと、「なあに、それ」という気もする。
その男は30代のベトナム人だった。警察官は外国人だと分かったのだろうか。その男は日本語ができたのだろうか。今や外国人は珍しくなく、外国人が皆ガイジンの容姿をしているとは限らない。日本語がわからないまま、取り囲まれ、思わず逃げようとすることだってあるかもしれない。そういえば米国で飛行機の座席が足りず、降りるのを拒否した乗客がむりやり引きずりおろされている映像が公開されたことがあったが、あれもベトナム人の医師だったという。