最近、統計がいろいろと話題になっているのだが、最近、総務省統計局で修正エンゲル係数という数値をだしているという。検索すればでてくるのだが、これによると最近の「エンゲル係数」の上昇はなかったことになるようだ。いや、従来のエンゲル係数はたしかに上昇しているのだが、修正エンゲル係数、つまり総所得の中の消費の占める割合でとると上昇はみられない…というわけである。
https://buzzap.jp/news/20190304-fixed-engels-coefficient/
新指標をだすのはよいが、「修正エンゲル係数」というネーミングはまぎらわしいし、誘導的である。
これでは今までのエンゲル係数は時代遅れで実態にあわない、エンゲル係数が上昇したからって貧しくなったのではありませんよと言う世論誘導にも見える。昨今の統計偽装と同根ではないか。
経済統計指標のイロハとして数値は富裕層にひっぱられるとう点がある。平均を考えればわかるがとんでもなく大きい数字があれば全体の平均はかなりそれにひっぱられる。平均貯蓄がときおりニュースになるが、これも平均は全体を反映しておらず、実際に一番数が多いのは貯蓄ゼロ世帯であるというのは有名な話。
この修正エンゲル係数も総所得となればそれだけ富裕層に数値がひっぱられ、食費の占める割合が減るのは当然の話だ。収入が年収一億の人がいたって、消費を年収100万の人の100倍するわけではないのだから。
また、エンゲル係数の上昇は、食費に金をかけるようになったという人がいるが、本当なのだろうか。たしかに単独世帯や共稼ぎ世帯の増加で外食や持ち帰り用惣菜に頼る人は増えたかもしれないが、グルメブームは今や昔のはなしだし、こじゃれた店が閉店しサンドイッチ店が後にできるといった光景も身近には多いように思うのだが。