発癌性物質(NDMA)が医療用医薬品に含まれる件
発癌性物質(NDMA)が医療用医薬品に含まれているとして、自主回収する製剤が増えています。昨年のラニチジンから最近のメトホルミンまで自主回収が続いています。原因は医薬品成分に含まれるジメチルアミノメチル基が問題とされています。2019年10月薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で原因としては医薬品製剤そのものが他と反応して発がん性物質が生じる可能性を論じています。さらに2020年7月の薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会では、PTPシートに印字されたインクが原因で、NDMAが生成された可能性が論じられました。発がん性物質を医薬品から摂取してもすぐにがんになるわけではないので、「今のところ安全性に問題が生じた例はない」と宣言されていますが、これは民主党内閣の時に当時の枝野官房長官が「ただちに健康被害が出ることはない」のと同じで意味がありません。発がん性物質を取り続けていると、がんの発生率が上がります。しかし、すべての人ががんになるわけではありません。発がん物質に関して騒ぎすぎるのも問題がないとは言いませんが、「ただちに健康被害が出ることはない」といってごまかして済むものではありません。実際に健康被害が出たかどうかは発生率の変化でしか検出できないということは、自分はがんになったのは今までのみ続けてきた医薬品がある時期発がん物質を含んでいたからだという事を証明することはとても難しい事です。東北地方では甲状せんがんの全数検診による拾い出しで発生率の変化を追っていますが、厳密にいうと全数調査を他の地域で行い、発生率の対照群としなければ明確に発生率が増えたと言い切ることが出来ないからです。東京電力は発生率が増えているのは全数調査によっていままで見逃されてきたがんが発見されたことによって見かけ上増えているということの科学的な反論は難しい。個人ががんになっても発がん性物質の摂取によるかどうかの因果関係の証明はいくらでもケチをつけることが出来ます。これに関しては政治的な判断で一律治療費を無料とすることと東京電力からの特別な形で税金を取り上げて(ほかの原子力発電所を運営している電力会社からも取り上げてもいいかもしれません)、患者にいくばくかのお金を渡すことが一番いいと思っています。C型肝炎の注射の回し打ちに対する政府の対応が参考になると思います。