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カテゴリ:BLACKLIGHT 再起
時を同じくして、バフタールでも問題が起きている。
「連絡はまだ来ねぇのか!?」イラついた怒号が広がっている。 バフタール王が待ちかねている連絡は、予定を超えてだいぶ遅れている。 そこへようやく連絡が届けられる。 だがその結果、余計に怒らせることになる。 その経緯は、バフタール船が海上で襲われ、その廃船を見つけたという。 どこの誰にやられたのかを判断するに値する手掛かりを得たと。 実物が一緒に届けられており、それを広げると見たことのある旗だ。 「これは・・・、あからさますぎる気がします。そもそも・・・」 「言うな。わかっている。だが、問いただす必要はあるだろ」 「呼び出して来るとは限らないのでは?」 「これを機に進められることもある。まずはこっちに来るかどうかだ」 その呼び出しは壁を越えて届けられる。 いきなり矢文が送りつけられ、辺りは騒然とする。 最速で城内に送られ、こちらも恐々としている。 「レイトの出動と説明を要求」はまさに濡れ衣としか言えない。 拒否の主張が多数占める中、レイトだけははっきりと「要求に従う」と言う。 「今は同盟関係が続いている。これをどんな理由であれ、壊すわけにはいかない。 少なくとも出向いていけば、手荒な真似をすることはないだろう」 レイトはゲイドモールにも意見を求めるが、「それも一理あります」と尊重する。 そうなると流れは定められ、レイトは話を進めていく。 「護衛に割くほど人員は余ってない。が、ちょうどいい奴がいる」 と言って、ひとりで準備を始めようとする。 家臣たちは慌てて止めようとするが、レイトはすれ違いざまに小声で指示する。 「留守を頼む。これ以上、状況が悪くならないようにこらえておいてくれ」 レイトは国境に向かう途中、ナキュアに立ち寄る。 「出迎え、ご苦労。また引っ張り出して悪いな」 ヨーディは上官の目があるため、ぎこちなく畏まっている。 少し進んで、上官が見えなくなったところまで来ると、ようやく解放される。 「はあぁっ、いつ噴き出すかひやひやした」 「ったく、すこしは慣れろよ。この先、大丈夫か?おまえ」 レイトは不安を口にしながら、口元は緩んでいる。 久々に気が緩んでいることに気付いて、ひとり噛みしめている。 このわずかな時間をレイトは無意識に求めていたのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020/03/29 12:00:12 AM
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