2023年 初夏の奈良旅 万葉植物園
2023年6月19日月曜日、奈良の旅の3日目最終日です。美味しい料理が並ぶ朝食バイキングの中から茶粥チョイスの地味な朝食を食べて、満足のホテルに別れを告げ、近鉄橿原神宮前から近鉄奈良駅に向かいます。降り立った奈良。まだ10時前の登大路は日本人は殆どいなくてハイテンションの海外のお客さんがすでにいっぱい。私たちは迷わず春日大社さまを目指します。正確には万葉植物園。実は、伊藤千代子の恩師、土屋文明先生の萬葉紀行の最後に、「防人と豆」という章があり、上総国天羽郡の防人の歌道の辺の茨の末に這ほ豆のからまる君を放れか行かむ天平勝寶七年二月九日、大伴家持が難波で諸国の防人の歌をチェックした際に選んだという。文明先生は、ここに歌われた豆とはどんな豆かと探した結果、大豆の一種であろうと大豆捜索。いろいろなタネを集めてご自分で栽培したりした様子が細かく、しかも防人たちへの思い深く書かれていて上総生まれの私と友は大感激。上総の野や海岸に蔓のある大豆を探そうと、一年前に取り組み始めました。もちろんお遊びですけど。去年の秋、早速木更津の海岸で友が小さなサヤをつけた野ダイズを発見。でも、蔓がなければ「からまる君」にならない。次に友が上総湊の野原で、蔓のある野アズキを発見。蔓があるけど文明先生のおっしゃるダイズではない。そうだ、万葉植物園に行こう!と、お水取りに合わせて奈良の旅を計画、なんと、お水取りは見学中止だったけど、まさか無いだろうと思っていたこの歌のプレートと茨とノマメが、ちゃんと万葉植物園にあったのです。しかし寒い季節、ノアズキとされていたマメは、葉も蔓も枯れて、乾いた小さなサヤがついているだけでした。そうか、多くの万葉学者、植物学者たちが出した結論は、ノアズキだったんだ!尊敬する文明先生が、探した大豆。先生が満州からきた配給の大豆から色の黒い豆を選んで疎開先で蒔いて洪水で流されてしまったのは大豆だったけど・・・。 でも、とにかく枯れたものではなく、緑の葉や蔓のあるときに(できれば花のある時に)もう一度来てみて、同じものを上総の野山で探そう、という事になり、今日のこの日、期待に胸いっぱいになりながら、やってきた万葉植物園。月曜日なのでお休みかと心配でしたが、そういえば3月に来たときも月曜日でした。 蔓のあるアズキ・ササゲ、が他の立派な有名な万葉植物の中で育っていました。 しかし、やっぱりノダイズ論も捨てきれません。天羽郡生まれの友は、自分はどんな学者よりも地元民なんだから、大豆説を支持すると言います。 (軟弱な私は、ツルのあるササゲの「十六ササゲ」のタネを買い、これが這う豆のノマメに近いのではないかと、友にも分けて、この夏栽培しました。風情が似てるかと思って。秋田の方では似たようなてんこ豆というのがあるそうです)続く。