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SAROMAN BLUE 鈴木健司

SAROMAN BLUE 鈴木健司

10えちごくびき野完走記~第2章~

3つ目峠の入口まではさほどの距離ではない。

ジャブジャブとペットボトルがリズム良く音をたてている。

次の10キロ区間のラップの予定もキロ8分の120分だ。

50キロのエイドが15分の休みとして、

55キロのラップは55分くらいのはずだ。

道の先を左にランナーの姿が消えていく。

3つ目の入口だ!

3つ目の下りくびき野の峠は5つあるが、

僕のポイントは1つ目と3つ目だった。

それはやはり距離的に長いと言うこと。

傾斜だけで言えば4つ目はかなりの峠だが、

2キロしかないので20分弱我慢すれば着いてしまう。

3つ目はエイドでカラダも休まり、挑むには問題ないと考えていた。

その為か、左折して峠に入ってもあまりキツくない。

単純に回復したからなのか?

走れるところも多く、時折歩きを入れる程度になった。

歩く時にはペットボトルの

エレクトロライトショッツを飲みながら呼吸を整えた。

後から確認すると、

この3つ目も距離が長いと言う程のものではなかった。


下りに入ると55キロ。


55キロ  6時間23分01秒  53分18秒


想定内のラップだ。

通常サロマ湖などでは、休憩時間は10分に決めている。

50分以内でのラップに収まるようにしている。

それは関門なども厳しいからだ。

しかし今回の目標は12時間30分。

50キロを7分イーブンの5時間50分で来ているのだから、

この先はまだまだ余裕があるのだ。

その分補給と休憩の時間を増やし、カラダ的に回復を図る。


55キロ過ぎのエイドではトイレ大&小に立ち寄る。

結果的にはガス抜き的な立ち寄りになった。

さあカラダの回復も確認できて、登りも順調!


ここからの下りをどう走ろうか?

5キロの間でNEWTONの違和感は消えている。

今回の下りは野辺山の50キロへ向けての下りとは違う!

厳しい登りは先にはない。

体力を温存する必要もない。

それはこの3つ目を降りた先には、また長居してしまう大きいエイドがあるからだ。

と言うことで、これからの下りは攻める走りを心掛けた!


イメージはいつもの

『腰から前へ&真下に降ろす』が基本だ。

さらにプラスしたのが、

NEWTONを生かし、蹴らずに跳ねる走り方!

回転数(ケイデンス)を上げると心拍数も上がる。

なのでリズムはそのままにストライドを伸ばす。

意識的には滞空時間を長くする。

その着地も腰を入れ、真下に降ろし、脚全体で吸収させる。

決してふくらはぎに負担を掛けていないし、

かかとから着地しない。そんなイメージだ。


みるみる加速する!

周りのランナーを抜く時には、明らかに姿勢の違いを感じる。

少し後傾でブレーキを掛ける人と、やや前傾の僕。

3つ目を越えて3つ目を下り切り、一度平坦な道を進む。

下りは勢いで下れるが、平坦になるの登りに感じる。

そこは一旦、小休止。

再び、骨盤の前傾だけで倒れていく。

57キロのエイドまで、やや下りになり、また加速する。

2年前は左に見ながら通り抜け、

往復2キロのホタルロードを走ったが、

今回のコース変更により左のエイドにすぐ立ち寄ることができた。


気分的に得した気分!


そしてなめこ汁を頂きながら、イスに座って休んだ。


外は大雨になってきた!

テントの中に避難するランナー。

座っていると温かいおしぼりを首に当ててくれる。

カラダがジワジワと温まっていく。

さらに肩のマッサージまで加わり、ありがたい!

両サイドにはお客さん!

ご家族が応援で回ってくれている高橋さん!

娘さん達もかなり成長していてビックリ!

怪我から2年振りの復帰レースと言うことだが、いつもの安定した走りが素晴らしい!

もう一人が浦安ランナーズのみゆきさん!

ご主人とも一緒に参加されている。

25キロでご主人にお会いして、その時は後方にいた奥様が今は先行している。

エイドに向けて降りてくるご主人が見えて、到着し挨拶を交わしてから、4つ目へとスタートを切った。

57キロエイド


雨は大粒で激しい!

僕は雨具も、ビニールも、ファイントラックも着ていなかったが、

TYRのシャツの下に肩バランスアンダーを着ていたので、ウエアが重くなるなど不快感はなかった。

78キロで冷えたカラダを、着替えに寄ってリフレッシュさせれば良い。


4つ目の峠にはすぐに到着する。

エイドからの勢いで、100メートルくらいは頑張ったが、かなり急な2キロの峠道なので、すぐに歩きに切り替える。

4つ目登り


ここは歩いて登る予定だった。

峠の頂上にエイドがある。そして60キロだ!

なので、無理はしない。

逆に60キロから先は8キロくらいは下りが続く。

3つ目の下り方からすると、タイム的にはかなり稼げそうだ!

下りを飛ばす為にも登りでは体力を温存した。

11時間40分でゴールされた女性歩いていると女性の方が『あの有名な方ですよね?』と。

『アート鈴木です!こんにちは!』

ブログを観て頂いているようで、嬉しかった。

一緒に峠の頂上まで歩きながら、おしゃべり!

ご迷惑でなかったかな?

この先のコースのことなど話してエイドに到着する。

こちらは12時間30分の目標を伝え、お互いに完走を誓って別れた。

ゴール後お会いするとなんと11時間40分でゴールされていた!

いつ抜かれたかな?


60キロ  7時間05分48秒  42分46秒


座ってなめこ汁&登り坂歩きが入っても42分ならば御の字だ!


さあここからの下り。

4年前のくびき野では妻HANAがこの下りでかっ飛ばした!

登りに体力を使っていた僕は着いて行けず、恐る恐るブレーキを掛けながら下っていた。


しかし今回の僕は違う!

足元にはNEWTON!そして、もう猫背ではない!

走り方が変わったのだ!

野辺山の経験を生かし、この下りはガツガツ行くつもりだ!

前には直江さんの姿が!いつ抜かれたかな?

脚に来ているようだったが、声を掛けて先を急いだ!


5つ目の峠までの10キロちょっとは、歩いた登りの分を取り戻すイメージだ。

下り出すと、グングンスピードに乗っていく!

しかし心拍数は140台をキープ。これが重要だ!

いつもならば下りが得意なランナーに抜かれることの方が多いのだが、

今回は抜かす専門だ!

斜度がキツいほど、骨盤だけで加速する。


徐々に緩やかな下りになると、やはりスピードは落ちてくる。

それでも下りを鼻歌を歌いながら、景色を眺めて走っていく余裕があった。

前半の15キロから20キロように、無理はしていない。

心拍数も落ち着いている。


給水に到着すると、ショッツを流し込み、オーツープラスダイレクトストロングを注入!

お腹は空いていないが、固形物を頂きスタートする。

目指すは虫川大杉駅。

ここまでが下り坂。

その先は第2関門まで平坦となる。


65キロ  7時間35分26秒   29分38秒


下りを生かしたいいペースだ!

無理なくこのラップが刻めていた。

やはり計画通り、登りの体力温存が功を奏した!

サロマ湖の平坦はこのラップは刻めない。

野辺山でもまだ先に馬越峠が控えているから、飛ばせないのだ。

くびき野だから刻めるラップだ!

そしてこの先は5つ目の峠を越えるが、基本的に平坦!

ラップは40分以内ならば問題ない!

虫川大杉

ようやく虫川大杉を過ぎ、駅のエイドに到着する。

雨が再び強まってくるが、寒くはない。

動けているカラダにはちょうどいいかな。

ここではへろへろの応援部隊が待っている。

ここまでへろへろのメンバーには会っていない。

おそらく楽しみながら時間一杯で帰ってくるだろう!

駅を出発し線路沿いを走る。


右手に国道253号が走り、その先の交差点を渡るコースだ。

6年前か?この付近の誘導員の中学生が大きなフキを傘がわりにして立っていた。

今年はその姿はないが、時折強く降る雨が思い出させる。


下りも終わり、交差点の信号を渡るとまもなく68.9キロの第2関門となる。

周辺には民家からの応援や中学生がたくさんハイタッチで迎えてくれる。

例年ここからラスト30キロは、キロ8分をキープ!

と言うイメージしかないが、今年もそれを維持する!

ギリギリではないが、キツくてもキロ8分をキープしながら走っているのだから、

できないことはない!


とりあえず、暖かい麦茶を頂き、ストレッチ。

その後、エイド裏にある老人ホームにトイレを借りに行った。


すると、雨で涼しい中雨宿りしながら応援してくれる、おじいちゃんやおばあちゃんがいた。

『いらっしゃ~い!ゆっくり休んでね。』

『あまりゆっくりできないんです!今日埼玉まで帰らないと!トイレ借りま~す!』

と中へ。出てくると、

『帰れなかったら、戻っておいでね~!(笑)』

『その時は走って来ま~す!ありがとうございま~す!』

と、元気な声援を頂きあとにした。


エイドではナンバーを確認しながら名前を呼んでくれる。

その心使いが嬉しい!

名残惜しくも、70キロへ向けてスタート!

『ありがとうございました!行ってきます!』


エイドを出発すると、5つ目のフェイクの登りがある。

そして70キロ。


70キロ  8時間11分33秒   36分06秒


トイレ休憩&補給でこのラップは、かなり上出来!


5つ目の峠は、緩やかなヘアピンカーブを登っていくが、距離にして73キロ付近。

その先に下りもまた始まるので、75キロも40分以内ならば、完璧だ!


70キロで8時間。約4時間で30キロを走れば、12時間前半!

やはり8分を刻めれば、12時間切りを見えてくる。

まずは欲張らずに、5つ目をクリアしよう!

5つ目登り


5つ目に掛かると、緩やかと言っても峠道。

呼吸も上がってくる。

ここは無理せず、速歩きで前へと進む。

72キロの峠頂上手前のエイドでも名前を呼んでいるが、雨でパンフレットが張り付いてしまい、

『お名前は?』『鈴木です!』『はい、鈴木さん頑張って~!』

と、エイド全体で盛り上げてくれた。

『これで峠は終わりですからね~!』

の言葉でランナーを送り出してくれる。


少し先の頂上を目指し走り出す。

さあ、くびき野メインディッシュは終了!

ここからは粘りの走りをしなくてはいけない!

今回の登りで温存、下りでペースアップはもうできない。(75キロまで)

如何に平坦で頑張れるかだ!


しかしこの5キロ先には78.2キロの着替えポイントがある。

うどんなども食べられるので、そこまで約35分頑張ればいい!

下りに入ると最後の貯金を積むために加速する!

40分よりも速くラップを刻める感覚があった。


75キロ  8時間48分46秒  37分12秒


5つ目下り下りでは5分前半のタイムで走れている。

田園地帯が広がり始めた平坦でもキロ6分は維持できていた。

しかし、平坦では継続の距離が短くなり始めた。

これはいつも後半の走り方として、やっているような感じだ。

走るペースは6分を切るが、300メートルしか続かない。

そして電柱1本分を歩き、また走り出す!

その間隔が短くなりつつあった。


78.2キロ手前の最後のエイドに立ち寄る。

ここには給水のみ。

暖かい麦茶で一息つく。

ボランティアの方と会話を交わし、また2年後も来ます!と言っておいた。


78.2キロ吉川区総合事務所いよいよ2つ目の着替えポイントだ。

前にも記したように、50キロでは補給とシューズ交換がメイン!

78.2キロが後半の寒さ対策の予定だ。

吉川区エイドは坂の上にある。ここは歩いてエイドに到着した!

『ゼッケン1224番は、埼玉からご参加の鈴木さんです!』

さて、荷物を受け取って後半の着替えをしよう!



ブルーの袋を持った中学生の列に自分の番号はない・・・。

あれ?『1224ですけど!』『預けてます?』『はい』『ちょっと待っていてくださいね!』

しばらく荷物の列を探してもらうが、ないようだ・・・。

こりゃないと思った方がいいかな?

ストレッチしながら、雨を凌ぎ待っていると。

『ごめんなさい、ゼッケン順に並べてるんですが、ないようです。こちらではわからないです!すいません!』

『了解しました!』

とりあえず審判の方の所に向かい、事情を話す。

『無いことは了解したので、ゴールでちゃんと貰えるように連絡してもらえますか?お願いします!』

とんだハプニングだ!


雨対策のモンベルジャケット&ファイントラック&XFIT長袖2枚

そしてスペシャルドリンク&ショッツなど補給が受け取れない。

幸い、50キロでショッツもフラスクをピックアップしていたので、

ダイレクトに入れたベリーバナナが多めに残っていた。

スペシャルドリンクが摂れないのはショックだったが、

早めに切り上げたと思って、前向きに考えた。




すると、2年前に3つ目の峠の手前でお会いした平林さんがいる。

『鈴木さん、やっちゃいました!50キロでチップ付け替えるのを忘れてしまって!』

(審判の方に相談し、各チェックポイントを確認して貰い、完走は認められたようです!)

お互いハプニングに見舞われたが、僕は着替えがないので先を急いだ。

うどんを頂き、パワーをつける!

吉川区総合事務所


ウエアに関しては、TYRシャツの中に、肩バランスシャツを着ている。

さらにアームウォーマーは、5キロ付近でポーチに外しておいた。

そこで、雨は降り続いているのでアームウォーマーを引き上げ寒さ対策とする。

シャツはアンダーシャツのお陰で、張り付かず快適だ!


まずはゆっくりと吉川区総合事務所をスタートした。

角にテントを張って応援しているご家族がいたので、

『雨宿りさせてください!(笑)』と言ったら、

『どうぞどうぞ!座って座って!』と手厚いお言葉を頂いた!

『いやいや大丈夫です!ありがとうございます!行ってきます!』

『頑張ってくださ~い!』の声援を背にスタートした。


すると、今度はおばあちゃんがこちら側。

お孫さんが反対車線で応援してくれている。

おばあちゃんが『飴ですよ。どうぞ!』と差し出してくれたミルクキャンディを、

ありがたく頂き走り続けた。


過去のくびき野

これから85キロの柿崎区までは、過去4回走り抜けた。

1回目こそ無難に走ったが

過去3回はすべてキロ5分かそれ以内で走っている。

6年前は妻HANAに吉川区78キロで

先に行ってもらい、絶対に間に合わせるから!と、着替え。

しかし85キロ柿崎区の関門時間を勘違いし、

キロ7分のつもりが、キロ5分じゃないと間に合わないってことに!

80キロ過ぎから慌てて猛ダッシュした!

辛くも関門を突破し、制限時間3分前にゴールした。

4年前も85キロまでのラップは36分59秒で刻んでいる。

そして2年前は皆さん知っての通り、関門の柿崎区を81キロだと勘違いし、

キロ4分でダッシュするも、信号に捕まり、2分オーバーと言う結果だ。



この区間はゆっくり走れたことがない!

と言うことは、今年このまだ体力も気力もある段階で、キロ8分で走る理由はない!

毎回厳しくもキロ5分前後で走っているのだから、そのペースで走れるはずだ!


80キロ   9時間29分52秒   41分06秒


荷物捜索とトイレ休憩を含めて、このタイムならば、キロ7分くらいでは走れている。

80キロ9時間30分と言うことは、2時間30分で20キロを走れば、12時間切りが可能だ!

2時間30分で20キロと言うと、8分で10キロ80分だから、7分30秒だ!

う~ん、どうだろう?ここからの頑張り次第だ!


まずは1キロごとになった表示を確認しながら、ペースを確認!

平坦でもキロ6分ペースで行けそうな気分であったが、この辺りから徐々に足取りが重くなっていく。

80キロ過ぎ

走り出すと200メートルくらいはペースアップするが、再び歩き出す。

1キロのラップは6分から7分へと下降し始めた。

やはり下りを利用していた走りだったことは、明白だ!

ごまかしは効かない!

脚力のある者だけが、淡々と走り続けることができるのだ。

それでもまだまだ12時間切りを諦めない!

我慢しながらゆっくりと走るのは、僕のリズムではない。

走って歩いて、走って歩いてでペースを回復させるのだ!



85キロを目指して

82キロのエイド。

ここに立ち寄るのは初めて!

カラダの疲労も溜まり、滞在時間が長くなる。

次は85キロの第3関門だ!

長い直線に入ると、遥か先に北陸道の高架が見えてきた。

あの先だ!

2年前のイメージを持って、ガンガン攻める!

しかし、まだ時間には余裕があると言う

心のゆとりが僕を歩かせてしまう。



国道8号線に掛かる信号前方に、チームアルバトロスの小関さんを発見!

なんとか北陸道の高架下で追い付いて、会話を交わす。

この時点で12時間を切るには厳しいラップまで落ちていた。

そしてあの交差点に到着した。

2年前は、目の前で歩行者信号が点滅してストップ!

今年は、奇しくも目の前で青になった・・・。

こんなもんなんでしょうね。



信号を渡りあと300メートル!

猛ダッシュした2年前が懐かしい。

しかし今は走れない。呼吸を上げながら、頑張るが失速。

よくやく300メートルを登り切った!

コースを左折すると、柿崎区総合事務所が見えてくる!


あれだ!

2年前、16時57分を示したデジタル時計は見当たらなかった。

関門閉鎖の様子はない。

建物の柱に85キロの表示があった。


85キロ  10時間12分07秒   42分14秒

85キロ柿崎区総合事務所

ようやく到着した85キロだった。

雨がまた強く降り出した。

とにかく座りたかったので

広場にあったコンクリートブロックに腰を降ろした。

ここまでの大きな疲労感は、このレース中初めて。

78.2キロで休んでいないせいもあるかもしれない。

スペシャルドリンクを飲んでいたら変わっていたかも?

などと考えても仕方がないのだが、ここはゆっくりと休みたかった。

暖かい味噌汁を頂きながら、雨に打たれる。



ふと、ここまで順調に走れた自分に、よく頑張った!と言いたくなったが、まだレースは終わっていない!

まだまだ目標の12時間30分以内は、達成できていない!

この15キロを3時間!

そこまで掛からずに、ゴールできる計算だ!

エネルギー注入!重くなった腰を上げ、スタートする。

5分くらいの休憩だったと思うが、かなり休んだ感じだ。

この先はいよいよ日本海!

晴れていれば、日本海に沈む夕日が見れた時間帯か?

いや、晴れていればここまで速く走れてはいないだろう。


1キロごとの表示になると良いことと、そうでないことがある。

まずはペースを掴みやすい点は良い点だ!

確認しながら、目標に向けて維持する!

反面ペースが落ちてきた時に、まだ1キロ進んでないの?と、

表示がないことに苛立ちを覚えてしまうことだ。

この良い点、悪い点を考える時点で、カラダに余裕はない。

悪い点しか思い付かない状況にある。


86キロ日本海88キロ思い出の場所


それでも86キロで日本海が目に入ってくると、まだまだ頑張るぞ!と、気持ちも盛り上がってくる。

相変わらず、走ったり歩いたりの繰り返しだが、7分くらいのペースでは刻めていた。


海岸線に出るのは何キロだったかな?

4年前の記憶を辿りながら、懐かしい景色を走る。

海から1本離れた道は、風の影響はないが、細かいアップダウンがある。

92キロの海賊汁の先にも大きな登りがあるので、走れるところは走らなくては!


90キロ   10時間49分07秒  37分00秒


なんとかペースは保っている。

ラスト20キロもキロ8分アベレージで走らなくてはいけないと、考えていた。

最後までどれだけ粘れるか?

日本海
80キロ以降でもこのペースならば、

他の大会でも関門を気にする必要はないのだ!

残り10キロ。7分ペースで、

12時間切り・・・難しくなった。


そして気分的には、ようやく海岸線に到着した!

雨が一層強くなり、風も吹き付けていた。

日本海は荒れてはいなかったが、

薄暗いグレーの空模様を写していた。


次のエイドは、待ちに待った海賊汁だ!


再び海岸線から1本入った道に戻ると、すぐにエイドが見えてきた!

ラスト8キロになる、海賊汁!

今までは56分を残して出発するようにしていた。

ギリギリであっても、必ず食べたい海賊汁だ。

92.2キロ海賊汁


ここでも雨に打たれながら、温かい海賊汁を啜る。

味噌と磯の香りがカラダを満たしていく。

雨が降っているが、気温はさほど低くないので、アームウォーマーだけでも十分だ。

おかわりもしたかったが、ここは時間を短縮する為にも1杯で切り上げた。


出発しようとすると、エイドに寄らず猛ダッシュで走る平林さんの姿が!

『参考記録になってしまうかもしれないけど、12時間切れそうなので頑張ります!』

あっという間に消えていった。

あのペースならば十分間に合うだろう。


一方こちらはキロ7分を切るくらいで走り出した。

住宅地の坂住宅街に入ると、雨の中また軒先や、雨に濡れながら応援をしてくれる。

この応援は回りが暗くなってからも続く。

参加したランナーはこの声を押されて、諦めずにゴールを目指す!

順調に脚を進めていたが、トラブル発生!

92キロを出発してまもなくして、

右足の薬指の辺りが『ブチッ!』と聞こえた!

突然立ち止まることはなく、違和感を覚えペースダウン。

踏み込むと、ピキッ!と痛みが走る!

走りながら右足の指をグーパーグーパーするが、ちゃんと動くし痛みもない。

しかし伸ばし切った時に違和感が出てしまう。


痛みの感覚が短くなり始め、歩く回数が増えてきた。

100メートル走り、100メートル歩くぐらいの間隔になっている。

冷えによる痙攣か?負荷による故障か?

動けてはいたので、大事には至らなかったが、急激に落ちていった。


95キロ  11時間35分29秒  46分21秒

ラスト5キロ
この5キロは海賊汁があったにしても、掛かり過ぎだ!

ラスト5キロは田園の中を走る平坦なコースなので、

イメージとしてはラストスパートを含めてキロ6分くらいで行きたいと思っていた。

しかし違和感は取れず、走れない。

ストレッチをしてみても変わらなかった。

もう休み休み行くしかない。


1キロ1キロが長かった。



次のエイドは?と先を見るが、サーチライトだけが明るく行く先を示している。

もう5キロないんだ!

45分我慢すればいい!

雨足も弱まらず、僕のペースと反比例してますます激しくなってくる。

ラスト3キロ辺りはすっかり暗くなり、

前後のランナーの姿も確認しにくい。

ラスト3キロのエイドに到着するも、

ゴールの僅かなアナウンスが聞こえてくるが、

遥か遠くのような気がした。

温かい麦茶で、少しの休息。ラスト3キロ!

くびき野は実質99.4キロとなっている。

ちょっとだけ短いのだ。


ゴールのユートピアくびき希望館に向けて、長い直線道路に入ると約2キロだ。

6年前に妻HANAが先行した時に、

脚が痛くもないのに一緒にゴールするために待っていてくれた場所を過ぎる。

当時本人は周りのランナーに『あと2キロだから頑張れ!』とか声を掛けられ、

苦笑いするしかなかったらしい・・・。

ラスト1キロ前後にランナーの姿は見えず、なんとか走り進む。

この付近から、氷のキャンドルライトが灯されて、

ランナーをゴールへ導くが、この雨で水が溜まり消えてしまったようだ。

大会ボランティアの方々が、残念そうに消えた氷を田んぼに投げている。

もうすぐゴールだ!

ラスト1キロの表示からゴールまでが近い!

ゴール写真にあわせて周りと距離をとる。

右に曲がると300メートルでゴールだ!

4年振りに自分の脚で帰ってくることができた!

2年前のメインのゴールと反対側から戻ってくると言う悔しさは忘れない。

それを思い出すとやはりゴールできることが嬉しかった!



余韻に浸っていると、クリニックにも参加頂いた実力者の山口さんが、仲間の方とやって来た!

『やっと捕まえた~!』

と、ハイタッチを交わし先へ行ってもらった。


そしてくびき野通算4回目のゴール!

ゴール前ゴール後


100キロ  12時間14分53秒  40分36秒


くびき野自己ベストを1時間以上縮めての目標達成だ!

ゴールのポーズは、『右手を4にして高く掲げた』!

サロマ湖同様完走回数を表した。両手Vサインよりはいいかな?と。


抜かされた山口さんには『12時間30分ギリギリじゃないじゃないですか!』と突っ込まれた(笑)

すると有美さんがすぐに見つけてくれて、ガッツポーズで記念撮影!


ゴール後なんと10時間18分で完走した有美さん!女子で12位らしい!

そして12時間01分でゴールした恭子さん!

有里さんは途中リタイアしてしまったようで

3人にすぐに会うことができた!

そしてふみえさんはこの後12時間40分で完走された。

安田さん、直江さんも無事ゴールまで戻ってきた!

残るはトミーご夫妻!

奥様は翌週の四万十川を前に慎重な走りで、完走は心配ない。

一方ご主人は、先月初フルで1ヶ月空かずにウルトラデビュー!

完走は厳しいかなと思われた。


僕はその日の電車でさいたま市まで帰らなくてはいけなかったのと、

雨を凌ぐ雨具がなく、寒くて仕方なかったので、建物の中に移動。

トミーご夫妻お風呂に入ると、眠さに耐えられないと思ったので、

タオルで雨と汗を拭き取り18時30分には準備完了!

電車の時間もあり13時間の制限時間を待たずに出発することに・・・。

トミーのご主人はどうだろうか?

直江津駅に向かうバスがまもなく出発!と言う頃、メールが!

トミーご主人完走!の文字が!

スゴい!このコースと経験値からしても、素晴らしい結果だ!

そして旦那様を迎えるこの奥様の2ショットが、今回最高に嬉しかった!

出発するバスに有美さんと有里さんが乗り込んで来て、報告をしてくれた!

また東京での打ち上げの約束をして!


10えちごくびき野100キロマラソン完走記~プロローグ~

10えちごくびき野100キロマラソン完走記~第1章~


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