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シェフの落書きノート

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2005.12.30
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カテゴリ:心の中の記憶
彼女『酔月 #4』から

の続きです。

前編は…。
初めてのバイト体験記
初めてのバイト体験記 #2
酔月
暴走族『酔月 #2』
ディスコ『酔月 #3』
彼女『酔月 #4』


混乱していた…。
もう、すでに事件は、起こってしまっていた。

家に帰っても、誰とも口をきくことは無かった。
オイラの部屋は、庭に作られたプレハブの6畳ひと間の離れで、母屋との間は、2メートルも離れていなかったが…。
自分から母屋に行く事は無かった。

母親に、何故そんな電話をしたのか?
なんて問いただす気もしなかった…。

その答えは、大体、予想がついていたし…

その答えを聞いた時、もっと大きな追い討ちをかけられるようなショックが、待ち受けているような気さえした。

一番、怖かったのは、その答えを聞いた時に、怒りをおさえる自信も無く、自分がどうなってしまうかわからかったから…。

生きる気力すら失おうとしていた。

それでも学校やバイトには、なんとか行った。

バイトでの忙しい時間、何もかも忘れる事ができた。
その時間は、本当に救いだった。

タケシは、何かあったと察して心配してくれた。
「話してよ…。どうしたの?何があったの?」
としつこく聞かれ…。
少し…いきさつを彼にだけ話した…。

「そっか…。ショックだよね…。でも、育ての親とか実の親とか…複雑かもしれないけど…。いるだけいいかもよー。…俺の母ちゃんは、死んじゃったし…。父ちゃん行方不明だし…」

「タケシは、ひとりだからなー。お前は偉いよ…。でもさぁ…あんな事する親だったら…いないほうがいいかもって思う時もあるよ…」

「そんな事、言っちゃ駄目だよー! いなきゃいないで寂しいもんだよー…」
タケシは、ポツンと言った。

いつも彼の目は、光っていた。
そんな彼の目を見ていると、何故か気持ちが落ち着いた。

オイラが、両親と喧嘩して
親に「出て行けー!帰ってくるな!」
と言われると…。

オイラは、無性に嬉しくなって…
「本当? 出て行っていいんだ。わかった…出て行くね!」
と言って喜んで家出をした。

お金がないと生きていけないのでバイトには行った。

そんな時でも、タケシはわかっていた。
「ねぇ…。家に帰ってないでしょ?」

「え?帰ってるよ…。なんで?」

「嘘つくなよ…。帰ってないでしょ?帰らなきゃ駄目だよー。何があっても帰らなきゃ駄目なんだから…」
タケシは、呟くようにそう言った。

透き通った目でそう言われると…
仕方がない…タケシがそう言うなら帰るか…
そんな気持ちにさせた。

あの時期、お互いがそうかもしれないが…
タケシがオイラの前にいなかったら…
自分がどうなっていたかわからないとさえ思う。

このままでは、どうしようもない…。
オイラは、ある決心をした。

夜、彼女のお父さんが帰って来ている時間を見計らって
彼女の家を訪ねた。

当然の訪問に家族は、驚いていた。
それは、当然の事ではあったのだが…。

「僕は、彼女が好きです。このままでは、どうしても納得がいきません。お付き合いを許してもらえないでしょうか?幸せにするために何でもします。学校を辞めて働いて結婚したいともとも思っています。お願いします」

玄関口で彼女の両親を前にハッキリとこう言うと…

隅で聞いていた彼女は、泣き崩れた。

彼女のお父さんは、突然来訪した変な訪問者に戸惑っていたが…。
「君は、まだ若い。うちの娘を思ってくれるのは嬉しいが、これから先、もっと良い娘さんとも出会うだろう…。だから、もっと落ち着いて、ゆっくり考えなさい…」
静かにそう言った。

「あなたのお母さんから電話を頂いて、うちの娘とは、お付き合い出来ないと言われました。うちの娘も傷ついています。そっとしておいて下さいませんか?今日のところはお引取り下さい…」
彼女のお母さんは、そう言うと…泣き崩れている彼女を促して部屋に入っていった。

完敗だった…。
成す術が無かった。

自分の何処かを嫌われて別れていくのではない…。
それなら、納得がいった。

自分と彼女のふたりで解決出来る問題ではなくなっていた。
隠れて付き合う事にも、疲れてきていた。

ちょっとした事で、彼女もビクビクしていた。
やはり堂々と付き合わなくてはと思い決心しての行動だったが…。

なんせ17歳という若さが何を言っても子供としか扱って貰えなかった。

後悔…悔いという言葉があるが…
後悔のしようも無かった。

突然の予期しない事件で破局に追い込まれ…
楽しい絶頂の時から地獄に落とされた気分だった。

彼女に対する未練が残らない訳ではなかった。

そして数ヶ月…。
疲れ果てていた。
なんの気力も起きなかった。
世の中が訳がわからないものに思えた。

そして、夏…。
友達とふたりで汐入方面へ歩いていた…

友達がオイラに声をかけた…
「将来さぁ…。何になろうと思ってる?」

「将来…? …出来れば…音楽やりたいなぁ…」
とオイラ。

「音楽って…ミュージシャンになる?」
と友達。

思い出のU.S.A 『prologue』へと続いていく。

その友達とその夏。
青森へふたりで旅行に行った。

なけなしのお金を持って…
JRの周遊券を買って…
テントや飯ごうを他の友達に借りて…

恐山までは、駅から歩いていった。
午後4時過ぎに恐山に着いた時には、帰りのバスはもうなかった。
仕方なく湖畔でキャンプをした。
怖かったが…
幽霊は出なかった。
夜…満天の空には、天の川がかかり
流れ星が数秒ごとに流れ
星座など見分けがつかない程の星の下で眠った。

陸奥湾の綺麗な海辺でキャンプした。
友達が、落ちていたガラスの破片で足を切り怪我をした…。
潜ってとった貝を浜辺で焼いて、ふたりで食べた…
最高に旨かった。

奥入瀬川をさかのぼり…
十和田湖でのキャンプ。

龍飛崎へ単線の電車で行く
途中、降り忘れたおばあちゃんがいると気づくと…
電車がいきなり元の駅へバックした。
驚いた!
電車のドアを手動で開けるのにもビックリした。

夜、龍飛の岬の高台に登った。
津軽湾にイカ釣り船が蛍の灯火よりも明るく浮かんでいた。

綺麗だった。


少しづつオイラは精気を取り戻しつつあった。

いつも、酔月にバイトに行くまでに時間があると…
必ずレコード屋さん(今は、CDショップですね)に寄っていた。

そこで気を惹く1枚のアルバムを見つけた!

『Born To Run』BRUCE SPRINGSTEEN

迷わずに買った。

アルバムに針を落とすと…
そこには、力に溢れた音が入っていた。

力強く、明日に向かって走っていく歌が、心と魂に染み込んでゆく。

救われた…そう感じた。

誰も信じられなかった弱い心が…

ゆっくりとリズムを刻み始めた。

「そんなことでは、明日は良くならないよ…。自分を信じて頑張って…!」
そんな内容の歌詞が、その1枚のアルバムに音になって刻まれていた。

ベトナム戦争が終わって数ヶ月…。
どぶ板の異様な雰囲気も少し薄らいで来た頃。

オイラは、17歳 高校3年生になっていた。

進路を決めなくてはならない…。
「音楽か絵を描きたい…」

「駄目だ!そんなので飯が食っていけるか?そんな事を勉強するのに金は出せない…。英文科とか経済とか就職に役立つ方に進め!」
そう父親は、言った。
まぁ…。親としては、最もな意見だったが…。

「英文科とか経済か…。そんなのは勉強したいとも思わない。勉強したくないものを勉強しても仕方がない。なら…調理師になる。調理師学校に行くから最初の入学金だけは出して下さい。月謝は、アルバイトして、そこから出すから…」

そうしてオイラの進路が決まった。
とにかく一刻も早く家から出たかった。

その彼女と別れてから…
新しい彼女が出来たが…
その彼女を忘れる事は出来なかった。

それから約2年の間…
苦しんだ。

絶対に後悔するような行き方だけはしたくない。

これは、その後の人生の鉄則となった。

結果がどうあろうと…

たとえ失敗であったにせよ…。
それが成功であったにせよ。
それは、過去にしか過ぎない…。

今を生きようと…。

Born To Run......

そして、そこには、いつも友達たちがいた…。

数十億の人の数十億通りの青春のドラマ…
書くことが出来る数十億のストーリーの中のひとつのドキュメント…。

きっと、心を熱くする物語が沢山眠っていることでしょう…

そして、今現在、その物語を一生懸命に刻んでいる若い人達…
頑張ってくださいね!
悔いのないように…
振り返った時に楽しい物語になっているかもしれません…。


追伸:今現在も健在なオイラの両親…。
会えば何事もなかったかの如く…
他愛もない話をしています。
あまりに強い親(強いと言うか…ちょっと変わってる…?)を持つのも考えものですよね…。
子供は、親を選べませんから…笑。


17歳十和田湖02

17歳夏
青森県十和田湖にて…
多感な時期…反抗期も手伝って…笑。



************
『初めてのバイト体験記』
『酔月』
のシリーズは完結いたしました。


思い出のU.S.Aに今号に於いてリンク致しました。
再び『思い出のU.S.A』に戻り書き進めていこうと思います。

調理師学校時代、社会人の4年間のストーリーをまだ書いてはおりませんが…
それに触れるのは、後の事と致します。

拙いブログですが…
今後とも宜しくお願い致します。







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Last updated  2023.10.15 23:04:38
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Re:Born To Run『酔月 #5』(12/30)   ぢょんぱんち さん
足を踏み出すまでには、色んな事があるんですよね。
その切っ掛けになるものはどんな時に来るか解らない訳だし、
自分がどんな方向に転がるか、若い頃は広い選択肢があるんですよね。
私は親に早く出ていけ、自立しろって散々云われました。
逆だろう?っていつも思っていました。

初めてのバイトで買ったCD、ポリスとジャーニーとブルーススプリングスティーンでした。
レコードは持っていたから、CD買い直したんです。
懐かしいですね*
(2005.12.31 01:40:04)

Re[1]:Born To Run『酔月 #5』(12/30)   aura cucina さん
ぢょんぱんちさん
>足を踏み出すまでには、色んな事があるんですよね。
>その切っ掛けになるものはどんな時に来るか解らない訳だし、自分がどんな方向に転がるか、若い頃は広い選択肢があるんですよね。
>私は親に早く出ていけ、自立しろって散々云われました。
>逆だろう?っていつも思っていました。
>初めてのバイトで買ったCD、ポリスとジャーニーとブルーススプリングスティーンでした。
>レコードは持っていたから、CD買い直したんです。
>懐かしいですね*
-----
皆、人それぞれに違った青春を送っているのいるのでしょね。
多感な時期…でも…
人それぞれに心に焼き付いている1枚1枚の映像…。
もしかしたら…そこに忘れてきたものがあるかもしれませんね…。
(2005.12.31 01:51:31)

こんにちは☆   hasunohana7777 さん
素敵なお話しですね!!
17歳の若さで彼女を本気に好きになって、
彼女のご両親に挨拶に行くってすごい!!!
何ごとにも真剣に取り組んでいたんですね。
青春時代が伝わってきました。

青森に旅行に行ったんですね。
私の母は青森出身です。
>青森県十和田湖にて…
の写真っても素敵です。若さがあふれていますね。家出もしたんですねー!!
私もお母さんと一番喧嘩したのは、
この頃だったと思います。
でも、この頃があったから、今の自分が
あるんですよね、

また青春のお話し聞かせて下さい。 (2005.12.31 02:14:31)

Re:こんにちは☆(12/30)   aura cucina さん
hasunohana7777さん
>素敵なお話しですね!!
>17歳の若さで彼女を本気に好きになって、
>彼女のご両親に挨拶に行くってすごい!!!
>何ごとにも真剣に取り組んでいたんですね。
>青春時代が伝わってきました。
----------
結構…滅茶苦茶な時でしたね。
反抗期も手伝って…笑。
こんな時があって今があるのですね~。
----------
>青森に旅行に行ったんですね。
>私の母は青森出身です。
>>青森県十和田湖にて…の写真っても素敵です。若さがあふれていますね。家出もしたんですねー!!
>私もお母さんと一番喧嘩したのは、
>この頃だったと思います。
>でも、この頃があったから、今の自分が
>あるんですよね、
>また青春のお話し聞かせて下さい。
-----
書くと本当に長くなってしまいますね。
思い出のU.S.Aの続きを書かなくちゃ…ですね。
中途半端な状態で放置してありますから…笑。
(2005.12.31 02:42:39)

Re:Born To Run『酔月 #5』(12/30)   ペリッサ さん
aura cucinaさん の回想のお話。。読めば読むほど先を読みたくなっちゃいます。真っ直ぐな青春をそのまま書いてらっしゃるからでしょうか・・・
言葉がすごく豊富で、表現されてるし。。。大尊敬です!
わたしも若いときはかなり親に反発して、子供は親を選べない~(ーー;)と思ってたけど、最近はスピリチュアルな江原さんの影響か?子供は親を選んで生まれてきたのです~って、、ちょっとそうかも。って思い始めています。。。 (2006.01.10 01:28:11)

Re[1]:Born To Run『酔月 #5』(12/30)   aura cucina さん
ペリッサさん
>aura cucinaさん の回想のお話。。読めば読むほど先を読みたくなっちゃいます。真っ直ぐな青春をそのまま書いてらっしゃるからでしょうか・・・
>言葉がすごく豊富で、表現されてるし。。。大尊敬です!
>わたしも若いときはかなり親に反発して、子供は親を選べない~(ーー;)と思ってたけど、最近はスピリチュアルな江原さんの影響か?子供は親を選んで生まれてきたのです~って、、ちょっとそうかも。って思い始めています。。。
-----
この一連のシリーズを書く時は、割とノリが良い時でないと…
あの時にタイムスリップ出来ないんです。
ですから、次号は、もう少し待っててくださいね。

そうですね…
江原さんは、結構鋭い事言いますからね。
子供は、親を選んでいるのかもしれませんね。
(2006.01.10 01:34:20)

サンタナ   3148 さん
何気なくサンタナをネットで引っ張ったら懐かしいブログに出会いました。私はいつもサンタなの2階にいて音楽が鳴り止むと喧嘩が始まった合図なので階段を走り降りて店に行きました。懐かしいです!よくタケシさんと来店いただいていたのですね。本当にあの頃は元気がありましたね。これからも楽しみにお邪魔させていただきます。 (2011.10.01 20:40:58)

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