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2020.01.21
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社会学者ピエール・ブルデューの場または界、文化資本(人々が所有する文化的な財や能力を、蓄積、投資、増殖、相続の可能な一つの資本として分析するための概念)などと並ぶ中心的な概念。場または界(仏語champ、英語field)とは、領野とも訳され、相対的に自律的な運行の規則をもつ、個人、集団、機関などが構成するシステムを指す。そのなかでは、各構成要素の特性の差異と各要素の位置関係によって、中心と周縁、支配的位置と被支配的位置などの構造が形成され、またその構造は要素間の力関係の変化等によってつねに変動する。具体的には政治場、学問場、文学場等が想定できる。ハビトゥスはもともとはラテン語で、「存在のあり方」「様子」を意味し、マルセル・モースは「身体技法の型」という意味で用いた。ブルデューにおいては、社会構造と、そのなかで人々が構築し、産出する、認識、判断、行為との間を、媒介する概念として重要な位置をもつ。
 社会的行為の生成とそれが現出する規則性を説明する際に、クロード・レビ・ストロースの構造主義などの客観主義的社会理論は、行為を規範などの客観的に実在する構造に還元して説明する。他方、ジャン・ポール・サルトルなどの主観主義的理論は、行為を主体の意思、主体による合理的判断、主体が意識的に抱いている目的に還元して説明する。ブルデューは、この両者のいずれの議論も、行為を一つの全体としてとらえることができない、不十分なものと考えた。いずれの理論も、社会的行為のそれ自体としての意味および既成の社会的条件に対する創発性と、社会的行為が結果として秩序を維持しあるいは変更するという行為の客観的な意義あるいは機能とのかかわりを、厳密に明らかにすることができないからである。
 ある秩序のなかで一定の時間生きることによって、人はその秩序に適合的な知覚と行動の図式を体系的な性向として身体化する。これがハビトゥスであり、ハビトゥスは身体化された社会構造であるともいえる。ハビトゥスによって産出された行為は、意識的な計算や目的の自覚がなくとも、そのハビトゥスが形成された構造のなかで、客観的に意味をもつように調整される。言語を例に取れば、意味の通じる言葉を発する能力がハビトゥスであり、ハビトゥスによって産出された言葉は意味をもち、解釈可能なものとなる。
 ハビトゥスは、まず階級あるいは生活条件において類似する集団内に共有される「階級のハビトゥス」として存在する。このハビトゥスは現在の生活条件に適応するものであるとともに、客観的に可能な将来の可能性に適応するものでもある。次に、学校教育制度とのかかわりで、就学以前に家庭において形成される原初的ハビトゥスと、学校教育を通じで形成されるハビトゥスの相違と関係が問題となる。例えば、ある子どもが、学校教育が形成しようとしているハビトゥス(例えば学力)をスムーズ身に付けることができるのか、あるいはその習得が難しかったり、不適応に陥ってしまうのかは、その子どもがもっている、(出身階層によって差異化された)原初的ハビトゥスと関わる。学校教育の過程を通じて、子どもは自らの学校や勉学への関わり方の経験をハビトゥスとして身体化していき、その効果は、学校を出た後も長く持続する。また、ハビトゥスは場(界)とのかかわりにおいても形成される。例えば芸術場、文学場などある場の構成員になるには、特定のハビトゥスをもっていることが要求され、場に所属することによってまたさまざまなハビトゥスを身に付けていく。
 以上のように、ハビトゥスの概念は、人々の行為と知覚を、その人々が時間性のさまざまな次元とかかわって経験してきた社会的条件と結びつけて分析するために、大きな意義があり、社会学およびその他の学問分野において、教育や社会階層に関連する研究や、伝記研究、芸術や学問など文化的、知的生産の社会科学的な研究に大きな影響を与えている。[櫻本陽一]
『ピエール・ブルデュー著、石崎晴己訳『構造と実践』(1991・藤原書店) ▽ピエール・ブルデュー著、今村仁司ほか訳『実践感覚』1、2(2001・みすず書房) ▽Richard Shusterman ed. Bourdieu; A Critical Reader(1999, Blackwell, Oxford/Malden)』






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Last updated  2020.01.21 16:05:22
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