「黒窓の会」。西之園萌絵を囲んで開かれるその秘密の勉強会にゲストとして招かれた犀川創平は、古い写真にまつわるミステリィを披露した。屋根飾りと本体が別々になった奇妙な石塔は、何のために作られたのだろうか。S&Mシリーズ二編を含む、趣向を凝らした十作を収録。『まどろみ消去』に続く第二短篇集。
森博嗣さんの第2短編集「地球儀のスライス」を読みましたが、久々に短編集を読んだ気がします。
今作の挿絵を担当しているのは、奥さんのささきすばるさんだそうです。
シリーズものも収録されていますが、ノンシリーズで面白かったのが冒頭の「小鳥の恩返し」ですね。
かなり童話的な話ですが、ミステリとしても十分に楽しめましたよ。
他には「素敵な日記」と「僕は秋子に借りがある」が好きですね。
お馴染み「S&M」シリーズでは「石塔の屋根飾り」と「マン島の蒸気鉄道」の2編が収録されていますが、サロン的なミステリ談義という形式が新鮮で面白かったです。
両作品とも、意外に諏訪野が活躍しますが特に「石塔の~」のラストは見事でしたねw
あと「マン島の~」で大好きな大御坊安朋が再登場し、喜多先生とのコンビで笑わせてくれたのも良かったですw
「V」シリーズ作品は「気さくなお人形、19歳」が収録されていますが「黒猫の三角」に先行して読んで良かったです。
主要キャラの小鳥遊練無と香具山紫子の個性が巧く伝わって来て「V」シリーズへの期待が高まりましたよ♪
全体的に好きな短編が多くて大満足の作品でした。
前作「まどろみ消去」もかなり好きなのですが、中々に甲乙付け難いですね。
若干、叙述トリックの多い前作の方が好みかもしれませんw
第3短編集の「今夜はパラシュート博物館へ」も楽しみですね。