調査も捜査も推理もしない。ただ真相あるのみ!眉目秀麗、腕力最強、天下無敵の薔薇十字探偵・榎木津礼二郎が関わる事件は、必ず即解決するという。探偵を陥れようと、「下僕」の益田や本島らに仕掛けられた巧妙な罠。榎木津は完全粉砕できるのか?天才の行動力が炸裂する『五徳猫』『雲外鏡』『面霊気』の3編。
先日読んだ「百器徒然袋ー雨」に続いて京極夏彦さんの「~風」を読み終わりました。
前作同様にエキセントリックな薔薇十字探偵・榎木津礼二郎と下僕達が活躍するファンには堪らない作品ですw
今作は3編を通じて一連の陰謀が張り巡らされており、連作的な楽しみ方も出来るのが面白かったですね。
以下、1編毎の感想です。
「五徳猫」
どうやら「絡新婦の理」に登場した女性キャラが登場していますが、当然知りませんでしたw
でも女性キャラの少ない京極作品の中では中々に好感度が高いですね。
今回も榎木津は全開で、やたらと「にゃんこ」を連呼するのが思わず笑ってしまいましたが、特に最高なのは「化けにゃんこ」ですねww
ミステリとしても古典的ながら使い勝手の良いネタで巧くまとまっています。
あと最近文庫化した「今昔続百鬼―雲」に登場していると思われる沼上も良い味出しているので、こちらも読んでみたいですね。
「雲外鏡」
何と言うか、非常に本格ミステリテイストの強い作品でした。
怪しげな霊感探偵が登場して現場検証してみたり、語り手の「僕」が巻き込まれた事件をミステリの要素たっぷりで描いております。
最後の最後で登場して事件を木っ端微塵にする榎木津もある意味で名探偵らしいですし、霊感探偵との対決(?)も見物でしたww
「面霊気」
最終話は非常に豪華な1編でした。
これまでの事件の黒幕が登場するだけでなく、かなり意外な人物も登場します。
何となく、この方は絶対に登場しないと思っていただけに非常に意外でしたが、この登場の仕方は美味しいですねw
あと、今回は出番無しかと思った木場も元気に登場するのは嬉しかったですよw
今作も終わり方が鮮やかで読後感が非常に良いですね。
今作も十二分に堪能できましたが、やはり本編を読んでいないと分からない部分が多々あるだけに改めて「京極堂」シリーズを読み進めようと思います。
それと同時に榎木津の活躍するこのシリーズも続けて行って欲しいですね。