小学四年生の芳雄の住む神降市で、連続して残酷で意味ありげな猫殺害事件が発生。芳雄は同級生と結成した探偵団で犯人捜しをはじめることにした。そんな時、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。大嘘つき？それとも何かのゲーム？数日後、芳雄たちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を？芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが…。

昨日、図書館で読んで来た麻耶雄嵩さんの「神様ゲーム」の感想です。
今作は講談社ミステリーランドから刊行された作品ですが、とても少年少女向けとは思えない摩耶テイスト全快で、同じくトラウマを与えそうな殊能将之さんの「子どもの王様」や綾辻行人さんの「びっくり館の殺人」を凌ぐ既読のミステリーランドでは最も救いのない作品になっていて素晴らしいですｗ

小学４年生の子供達が結成する探偵団や密室とミステリの要素盛り沢山ですが、そこに「神様」が絡んで来て物語後半では非常に衝撃的な展開を見せてくれました。
私はこういうのを期待していただけに素直に「ありがとう」という感じですが、ジュブナイル作品でも凄惨なカタストロフィを描く麻耶さんは素晴らしいです。
確かに賛否あるのは間違いない作品ですが、作者の特色を子供向けに出すという意味で麻耶さんならば、どうあってもブラックテイストな方向しか無いと思いますｗ

細かな部分でも子供に大人気という戦隊ヒーローの名前が度々登場していますが、終盤で驚きの展開がありますし、そもそも戦隊のロボが「ジェノサイドロボ」と「ネクロフィリアロボ」ってｗｗ
子供に意味を聞かれたら、親はどういうリアクションを取ればいいのでしょうかｗ
この作品を読んだ少年少女の感想を聞いてみたいですｗ

これで麻耶さんの作品は全て読み終わりましたが、そろそろ出るはずの新作はどうなっているのでしょうか？？
とりあえず、しばらくはアンソロジー等に収録されている作品を読んで飢えを凌ごうと思いますｗ
少し気になる部分をネタバレ有りで書いてみようと思いますが、ネタバレ部分についてコメントして下さる場合はネタバレ有りと分るようにお願いします。





（以下、作品の真相に言及しますので未読の方はご注意下さい）





ここからは作品を読んだ事を前提に書いて行きますが、この作品の最大の衝撃はラストで天誅を下されるのが僕が論理的に推理した父親ではなく、ノーマークの母親という点だと思います。
ケーキの蝋燭が妙な動きを見せるのは不可解ですが、あれは全て鈴木君が「神様」だと言う事を前提に考えて考えない事にしますｗ

当然ながら神様に過ちは無いので母親が犯人に間違いないですが、そうなると問題は密室をどうしたかという事です。
倉庫に問題が無いのは、犯人ではない父親がチェックしたので間違いは無く、そうなると捨てトリックだと思われた井戸の蓋が真相なのではないでしょうか。

ただ、そうなると母親の身長が子供並みという事になりますが、冒頭で僕が「母さんが小さい」と独白しているのを拡大解釈して肯定しようと思います（極端ですが小人症とかの可能性も捨て切れないですが）
そうすると捨てトリックが蘇るので大筋では問題ないのですが、死体の様子をチェックする様に指示したのは第三者の父親ですし、細かい問題は残ってしまいます。

とりあえず、手元に本が無いので簡単に思い出しつつ書いてみましたが、これが真相だとすると母親は小学４年生の女の子と関係を持っていたのですね・・・。
それを知った僕は神様が予言した寿命までは生きて行かなければならないと、どこまでもブラックな作品ですね。

今回は我慢出来ずに図書館で読みましたが、まだまだ深読み出来る要素があると思うので、いずれ購入できればと思います。