あれは自殺ではない。アインシュタインの手記に残された不可解なメッセージ。謎の解明を依頼された自称作家・ザナドゥ鈴木は、アインシュタインの秘蔵手記が眠る老舗ホテル・萩屋へと向かう。そこに集まるのは遺産狙いの狡猾な人間たち。相続争いはやがて大時代的な屋敷を恐怖に陥れる奇妙な殺人事件へと発展!手記の真相と不可能犯罪に素人探偵が挑む。
佐飛通俊さんの「アインシュタイン・ゲーム」を読みました。
以前、軽い気持ちで購入したまま積んだままにしていた作品でしたが、ノベルス読書強化月間なので読んでみましたw
アインシュタインが来日時に体験した事件と現代を舞台とした事件が描かれますが、歴史ミステリではなくてスラップスティック・ミステリといった感じのドタバタ喜劇を前面に打ち出しているという感じですね。
冒頭から変人キャラが如何にも本格ミステリな舞台設定の中で動き回りますが、実際に事件が発生するまでが長くて少しだれ気味になってしまいました。
終盤の謎解きからは楽しめたのですが、それまで我慢が必要ですねw
そういう意味で不条理なドタバタの力で読者を惹き付けたい所ですが、かなり好き嫌いが分かれそうなので中々に難しいかと思います。
ただ、煩雑に感じるぺダントリーな部分もコミカルな会話のお陰で苦にならなかった点は良かったです。
ミステリとしては、根底となるトリックが使い古されたものなので微妙に感じますが、過去と現在の事件との対比は綺麗に決まっていました。
全体的に良かった点と微妙な点が半々位だったので、とりあえず他の作品も読んでみようかと思います。
今作の路線で軽めの本格ミステリを期待したいです。