紹介文
失われた家を求め、映画出演を決めた家族を描いた「家族シネマ」、同棲中の部屋を飛び出した登校拒在日韓国人否の過去を持つ女を描いた「真夏」、転校生といじめを題材にした「潮合い」―心に傷を負った人間が強く生きようとする姿を描き、家族が価値あるものかを現代に問う名作。芥川賞に輝く表題作含むベストセラー。
映画の紹介文
柳美里原作の同名小説を映像化した、家族の崩壊をテーマにしたブラック・コメディ。20年もの間別居を続けてきたひとつの家族が、‘家族シネマ’に出演することになる。
日韓合作で映画にもなっているようですが
映画と小説の紹介文にかなりの違いが。
小説の映画化はえてしてかなり違うものになるものですが。
この小説を読み終わった後、このDVDの紹介文
“ブラックコメディー”にはかなりの違和感。
たとえ“ブラック”でもコメディーではないですよ、この小説。
伊丹十三が映画にすれば”お葬式”みたいなコメディーになるかもしれないけど。
鷺沢さんも“寂しさ”がベースになっている作家だと思うのですが
彼女の場合
やさしいあきらめがある。
でも柳美里の場合、
陰湿で容赦のない孤独と憎しみが行間から
にじみ出てくる感じがして
ホラーより怖い。
映画にも出演している梁石日の作品にも通じるものがあるような。
ほとんど私小説っていう作風もほとんど嫌悪感を感じます。
だけどつい読んでしまう、
怖いもの見たさ??
誰でも持っている人間の暗の部分のみリアルに書いているがための
近親憎悪?
”家族シネマ”は設定に無理があるけれどそれはさほど重要じゃないくらい
全員の憎しみがひしひしとにじみ出てくるようで
怖いし、醜い。
それになぜに仕事を頼みに行ったお尻の写真ばかり集めてる
老人と深い関係に??
気持ち悪!!
そう、柳美里の作品は
生理的に気持ち悪い。
好きではないけれど、読ませるものは有る。
それがなんだかは、作品では教えてはくれないけれど。
って言うか本人にも意図していないことなのかもしれないけれど。
他の短編も同じように陰湿で暗くてどうしようもない憎しみのお話。
たとえ舞台が真夏のうだるような暑い日
でも。
最後の短編、”潮合い”はいじめっ子が転校生をいじめて怪我させる話
だけれど人を憎む気持ち、というか
”うざい””むかつく”という感情が
的確に描写されていると思います。
とても救いのない。
やっぱり、
この作品はキライです。
あまりに現実だから。
お話の中くらい人はやさしく、あたたかいものであって欲しいのに。
なのに、いつまでも無視してはいられない”そこにある”
存在感のある本です。