めんどうはごめんだ

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• 低俗番組

  ちょっと重くなったので今日は話題転換。先日フジテレビで「日本がおかしい!現役ドクター大告発!アナタの命を救う病院教えますスペシャル」という番組があったそうだ。前回この手の番組をみて内容のあまりのお粗末さにげんなりして今回はみていないのだが、「産婦人科医は日曜日にゴルフに行くために陣痛促進薬を使っている」などという発言があったらしい。そしてその根拠のひとつに平日に比べて土日の出産が少ないことを挙げていたそうだ。相変わらず低俗な下衆の勘ぐりをするものだ。少なくとも私の知っている限り日曜日にゴルフに行くために薬を使っているような産婦人科医はいない。ほとんどの産婦人科医はできれば陣痛促進剤を使わずに出産できればそれに越したことはないと思っている。産科に限らずどんな薬でもそうである。使うことに伴う危険よりも使わないで放置しておくことの危険の方が大きいときには薬を使わざるを得ないのである。なぜ土日の出産が少ないって？予定を立てて帝王切開を行う場合に敢えて人手の少ない土日に手術を行うことはしない。緊急の場合を除いてほとんどの帝王切開は平日に行われる。現在日本では約20％の出産が帝王切開である。高齢出産や多胎などハイリスク妊娠が増えてきたことや裁判増加のための防衛医療が原因だが、ともかく出産の2割は予め平日に行われるよう計画されているのである。また医学的に分娩誘発が必要な場合にも陣痛促進剤の危険を知っているからこそ人手の充分な平日に計画するのである。土日の出産が少ないのは当たり前のことだ。分娩予定日を10日、2週間と過ぎても陣痛が来ない場合には子宮内で胎児が死亡する率が上昇してくることを我々は知っているし経験もしている。目の前の患者さんをそんな目に遭わせたくないから薬を使って出産にもっていくのである。破水してから1日、2日と日が経つと胎児に細菌が侵入して重症の感染を起こすことがある。胎児を助けるためには薬を使って出産を早めないといけない場合がある。その他いろいろな場合があるが、いずれにせよ医学的に見て薬を使用する方が患者さんのメリットになると判断したときにやむなく慎重に使うのである。もし絶対に薬を使うなというのであれば、自然の出産を待つことが危険である以上帝王切開に頼らざるを得ない。ぶっちゃけ医師側の都合だけで言えば薬を使いながらハラハラするよりも、さっさと帝王切開で出産させた方がよっぽど楽なのである。しかし帝王切開で出産すると明らかに産後の回復は遅くてつらいし、次回の妊娠・出産にリスクが生じるなど患者さんに対するデメリットが大きいのでできれば経腟分娩させてあげたいと思っているのが普通の産婦人科医である。もし患者さんがこんなクソ番組を信じて陣痛促進剤を使用できなくなればむしろ我々は楽になるぐらいだ。

  2006.12.17

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• 若かった頃　その2

  やっかい払いされるようにして高校を卒業した私は大学を受験せずに家を飛び出した。2年ほどアルバイトをして生活していた。最初は「何にも縛られず自由に生きる」などと偉そうなことを考えていたが、精神的には全く未熟でいきあたりばったりだった。生活は徐々に乱れて、いろんなことにただ振り回されているだけだった。気がついたら最低の人間になっていた。恥の多い2年間の無茶苦茶な生活（酒やクスリでかなり体が悪くもなっていたのだが）から逃げるように実家に戻り、しばらく身の振り方を考えているうちにとにかく大学をめざすことにした。めざしたというより、受験勉強に逃げ込んだと言った方があたっている。時間稼ぎができるような気がした。何に対して時間を稼ぐのかわからなかったが・・・・とにかく「社会に縛られず自由に生きる」ということに対して白旗を上げたのだった。それだけの中身が伴わなかった情けない自分の敗北を認めた以上、世の中との折り合いをつけていくしかないと思った。（続く）

  2006.12.15

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• 若かった頃　その１

  変な夢を見た。自分がいつの間にやら高校生に戻っている。遅刻や出席日数不足で落第寸前。教室に入ると自分の席がどこかもわからない。そして明日から期末試験という危機的状況。近くにいる女の子に「試験範囲ってどこだっけ？」と必死に聞いている。「この問題集のここからここまでやっときなよ」などと言われて、げっ、そんなにできるわけないだろうとあせりまくり。べっとり汗をかいて目が覚める。なんかこの手の夢を年に何回かは見る。未だに高校の時成績不振で卒業がヤバかった頃のいやな思い出がしっかりと頭に残っているらしい。「もう一度高校をやり直さないとお前の医師免許は無効だ」といわれて高校に通うハメになるような夢も見ることあるし。よっぽど高校の時は勉強してなかったんだと今さらながらに思う。進学校だったので勉強するのが当たり前みたいな雰囲気がイヤでしょうがなかった。高校生ぐらいになると多少知恵がついてきて、単純に親や教師のいうとおりに勉強することに疑問を持つようになる。世の中の矛盾も見えてくる。大人が汚く見えてくる。そんな時期にあって勉強することに意義が見出せなかった。（続く）

  2006.12.14

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• 裁判社会を憂う

  1才7ヶ月の幼児がベンチから転倒しツツジの枯れ枝で頭部に損傷を負い死亡した事件で、枯れ枝がある植え込みの前のベンチに背もたれが無かったことが原因だとして公園管理者の市を訴えていた裁判の二審判決で市側が逆転無罪となった。亡くなったお子さんは誠に気の毒だが、市側に責任があるとするのは最初から無理な話だと思っていた。1才7ヶ月の子供ということを考えれば一番の責任者はそばにいた保護者である。おそらく保護者も注意はしていたのだろうが、一瞬目を離したスキにベンチから落ちたのだとう思う。ずいぶんと自分を責めたことだろうが、責任を公園の管理者に持っていくことでいくらかでも心の重荷を減らそうという気持ちが働いたのだろうか。しかし自分の思い通りの判決が出なかった場合には、より自分を責めざるを得なくなるのではないか。客観的に見て保護者を責めるのはかわいそうすぎるし、さりとて市にそこまで責任を求めるのも無理がある。誰か悪者がいて起こったわけでは無いのだ。こういう事件では「誰が悪かったんだ？」という考え方が根本的に間違っているような気がする。唯一悪かったのは「運」なのだ。ちょっと目を離したスキに転倒することも偶然なら、落ちた先に枯れ枝があって頭にささるのはあり得ないぐらい低い確率の偶然である。なんでもかんでも裁判にするという風潮はどこかで歯止めがかからなければ実に殺伐とした世の中になる。サッカーの試合中に落雷で亡くなったことで試合の管理者を訴えたり、肺ガンで亡くなったのはタバコ会社の責任だと訴えたり、「ちょっとそりゃおかしいだろ？」という裁判が多すぎないだろうか？コーヒーで火傷したのは熱いコーヒーを出した店の責任として訴えて何百万ドルもの賠償金を手にしたという末期的な国と段々似てきているような気がする。日本は今後弁護士数を増やして司法をより身近なものにしていくそうだ。気が重いことだ。

  2006.12.13

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• 医師不足の一因

  地方病院から大学病院へと医師が呼び戻されている。実際うちの病院もただでさえ医師が足りないのに、大学病院へ一人呼び戻されてしまった。これマスコミでもいろいろ報道されているけど、実際に大学病院に勤めた医者じゃないとわからないことがあるので事情を書いておきます。大学病院というのは特殊なところで、何が特殊かというともちろん難病などの患者さんが多いということもあるけど、それよりもとにかく看護師が徹底して働かないということが最も大きな特徴です。おそらく大学病院勤務経験のある医師のほぼ全員が思っていることでしょう。普通の病院なら看護師がやる仕事（朝夕の点滴まわり、静脈注射、検査箋書き、薬のアレルギーテスト等々）を研修医がやらなくてはいけない。これがかなりの仕事量になる。ところが研修制度が変わってから大学病院で研修を受ける医師が半分以下に減ったため外の病院から医師を呼び戻さないと仕事が回らなくなったというのが実情です。その結果地方病院の医師が不足してきています。この実情を知っていれば解決策は自ずと明らかですね。大学病院の看護師も普通の病院と同じように仕事をしてくれればいいだけの話です。わざわざ外の病院の医師を呼び戻さなくても仕事は回ります。なぜここのところをマスコミは突っ込まないのか不思議です。大学の医局も外の病院から医師を奪うようなことをせずに解決する努力をするべきです。看護師と交渉すべきなのです。朝9時に申し送りを終えたと思ったら10時には休憩室に入ってしまい病棟に出てこないような甘ったれた仕事をさせるべきでは無いのです。「看護師を悪者にしない」・・・これもマスコミの内の暗黙の了解なのかも知れません。

  2006.12.12

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• 日本の汚点

  イラク情勢が悪化している。何の大儀も無い戦争で国家体制をぶっつぶした後に宗教・民族対立が顕在化するのは目に見えていたことである。道理の通らないことをすると後々大きな矛盾が出てくるのは当然である。テレビなどではニュースキャスター達が訳知り顔に「今後アメリカはどう対応していくのでしょうか。」などと言っているが、お前らそんな人ごとみたいなこと言っていいのか？アメリカのイラクへの先制攻撃に対して真っ先に支持を表明したのは他ならない小泉元総理だぞ。日本国民全員が責任の一端をかみしめるべきではないのか？ ところがどうだ。政府の中枢の一人ともいうべき久間防衛庁長官が、イラク戦争に関連し、「政府としてアメリカの先制攻撃を支持すると公式に言ったわけではない。小泉元首相がコメントとして言ったということは聞いているが、政府の立場として、戦争を具体的に支持する法律を作ったわけでもないし、自衛隊もそれに基づいて出て行ったわけでもない」などと寝ぼけたことを言っている。アホか？こいつは。小泉の支持表明により「ああ、これで日本もテロの標的になるな。」と嘆息したのは私だけではあるまい。私ら下っ端の国民ですらその程度の覚悟はするのだ。お前らのような政府の中枢部の人間が「いや、あれは公式の発言じゃなかったから」などと言って今さら撤回して済む問題かよ。私は小泉が行った支持表明は、日本の戦後の歴史の中で最大の汚点だと思っているし、今後何をもってしても取り返しのつかないことだと思う。あの表明により日本は自らの道徳観を捨てたのだ。憲法改正論議の根拠も国連常任理事国入りの資格も自ら捨てたのである。「だってアメリカには逆らえないだろう？」という意見もあるだろう。ならばアメリカが与えて下さった憲法第九条を盾にとって「私は総理大臣として日本の憲法を遵守する義務がある。九条の精神から先制武力攻撃にはどうしても賛成しかねる。戦争終結後の復興支援に対しては自衛隊派遣も含めてあるゆる協力を惜しまない。」と言えば良かったのである。

  2006.12.09

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• 閣僚の資産公開

  阿部新内閣の閣僚の資産が先月公開されている。私は何の興味もないのだが、いつからこんな悪趣味な習慣ができたのだろう。人の財布の中をのぞくようなものではないか。目的は何なのか？金持ちは悪いヤツで貧乏ならいい人ってこと？資産を形成する要因は様々だ。単に多い少ないで良い人間かどうかなんて決められるわけがないだろう。別に閣僚が大金持ちでも貧乏でもどうでもいいことである。政治家として国民の期待に応えるような仕事をしてくれるのならそれでいい。もちろん裏金で肥え太っているようなヤツなら困るがそれは資産の多寡でわかるはずもない。また清貧なだけで何ら実のある仕事をしない政治家など我々は必要としない。新聞もそんなくだらないことを書き立てる紙面があるのなら、新閣僚の今までの国会での発言とか政治的経歴とか功罪をわかりやすく書くべきだろう。実際の政治にはきれいごとだけでは済まされない問題がいっぱいあることは容易に想像がつく。清濁併せのんだ上で国民のためになることをしてほしいと願う。誤解を恐れずに言えば、多少の汚いことを通過してでも結果として国民の利益にかなう仕事をしてくれる政治家であれば、多くの国民はマスコミのように重箱のスミをつついてやり玉に挙げるようなことはしないと思うのだが。とにかく資産公開などにビクビクせずに本来の仕事で我々の期待に応えてほしいものだ。

  2006.12.06

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• 待ち時間と診察時間

  外来にやってくる患者さんの数は日によってずいぶん異なる。原則予約制ではあるが予約なしにやってくる患者さんが多いので数が読めない。まあ、急に調子が悪くなることも多いのでそのへんはやむを得ないところだ。レストランなどであれば予約で満席になった段階で予約してない客は断れるのだが病院はそうもいかない。必然的に予約していた患者さんにも待ち時間が発生する。しかしこれは自分もいつ急に調子悪くなるかもわからないのでいってみればお互い様のことである。しかし「予約していたのに何で1時間も待たされるの？」というクレームは必ず出てくる。また熱などがあって予約なしで来た人の中には「つらいから来たのになんで待たされるの？」と文句を言う人もいる。「待ち時間を短くする」ということと「一人一人を丁寧にゆっくり診察する」ということを同時に実現することは不可能だ。医師数、看護師数、その他スタッフの数には限りがあり、仕事の処理能力には自ずと限界がある。しかし現実にはみな待ち時間が長くなると文句を言い、そのくせ自分だけは丁寧に診察してもらいたいと思うものである。「もう、どないせえっちゅうねん？」というのが本音だが、ひたすら顔には出さず平身低頭である。たまに「先生、本当にお忙しくて大変ですね。」と労をねぎらって下さる患者さんがいるとホント女神に見える。今日は単なるグチでした。失礼。

  2006.12.04

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• テクノロジーの進歩

  テレビは今や液晶だのプラズマだのが主流で、ハイビジョンや地デジとやらでわけがわからない（テレビはあまり見ないので (^ ^);）。そして大型電器店に行ってテレビ売り場を見ていると、画像が恐ろしくきめ細かくきれいになっている。ところが放映されている番組は素人のど自慢だの、しょうもないバラエティ番組だので「こんなもんきれいな画像で見る価値なんか全然ないやん」って感じの番組ばかりである。せっかくの高性能画面がのど自慢のおっさんの顔のシミを見せるために使われているのではアホみたいだ。テクノロジーの進歩はこちらが要求してもいないものを次々と商品として売り出してくる。パソコンにしても毎月のように高性能の機種が登場するが、年賀はがき印刷程度で終わってしまう人も多いのでは？ワープロと住所録の管理程度なら昔の98シリーズで十分である。iPOD（実は自分も持っているのだが）はあの小さい器械にCDが百枚以上入れられる。便利ではあるが無けりゃ無いでどうってことはない。聴きたいCDをその都度出してくればいいからだ。そもそもCDからして無くてもいい。アナログレコードの方が今でも好きだ。音がいいし、個性的なLPジャケットが楽しみのひとつでもある。ゲームはしょっちゅう新機種が出て、それに合わせて多くのソフトが発売される。技術の進歩に伴いその内容が耽溺性の高いものになり、いわば麻薬のような状態になり抜け出せない人間も多い。PS3の発売日には何時間も前からいい年した人間が並んでいる。新幹線はグングン速くなって今や東京までの出張は日帰りが十分可能である。以前は日帰りできなかったので宿泊代ももらえてゆっくりとホテルでくつろげたのにせわしないことである。そりゃ江戸時代に比べればずいぶんと便利な時代になったけど、もう何年も前から必要な物や技術は飽和状態で新しい需要なんか本当は無いのかもしれない。なんか今では苦労の末の技術革新が間違った方向に費やされている気がする。時代が進んできているようで、実は人間の中身の方は退化してきているような気さえする。どう表現していいかわからないが、器だけ立派になっているがその内容物は腐りかけてきているというか。まあ、こんなことを考えるのは年寄りの証拠だろうけど。

  2006.12.02

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• 学納金返還訴訟その２

  この件についてネットで見てまわりましたが、大方の人の意見は原告側に同調しているようですね。「ぼったくりなんだから入学金も授業料も返せ」という意見が多いようです。ちょっと意外。まあ、授業料に関してはわからないでないですが。私にはおそらく原告の大半を占めるであろう第一志望の国公立を合格した人間が弱者とは思えないんですよね。私立大学の入学金は平均28万円。まあ高いとこも安いとこもあるのでしょうが、必死でやった受験勉強の結果に対する保険と考えればそう納得できない金額では無いと思います。ましてや前納した人は、もし第一志望に落っこちてもすべり止めの私立に4年間通えるだけの経済的基盤があったということでしょう。本当にお金に困っている人であれば、すべり止めであれ私立に行くことは考えず国公立だけに絞ってひたすら努力して勉強していると思います。そんな人たちから見れば「お前ら保険掛けといて受かっちゃえば掛け金返せかよ。いい気なもんだ。」という感じでしょう。また第一志望に落ちてやむなく私立に進む人間や学力及ばす最初から私立に絞って受験した人間にしてみれば、国公立大学合格者がウダウダ言っているのをいい気分では見ていないような気がします。「お前ら俺たちよりいいとこ行けるんだから俺たちの行く大学にケチつけるなよ」という気持ちがあっても不思議ではない。新聞の論調は「受験者＝弱者　私立大学＝強者」という相変わらずの無思考な紋切り型の批判に終始しています。まあマスコミは最初から話にならんのですが。原告の中にもいろんな事情の方がいて、一概には言えないのでしょうが「お前らムシがよすぎるだろ？」というのが私の素直な感想です。ひねくれているのかな？

  2006.11.30

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• 解決しない靖国問題

  阿部新総理ははたして靖国参拝を行うのかどうかということがテレビで論議されていた。靖国神社は本来政治問題にすべきものでは無いと思うし、中国や韓国から外交上のカードにされてしまった時点でもう解決不可能なような気がする。総理大臣は大声あげて「私は何が何でも行く」などと公言する必要は無い。参拝したければすればいいし、神社への参拝など個人的な問題だからマスコミもいちいち騒がなければいい。マスコミが騒ぐから中国や韓国も国民の手前静観していられなくなるのだろう。靖国神社に祀られているA級戦犯を分祀せよとの意見がある。難しい問題なのであまり深いことは言えないが、「A級戦犯は戦争責任を負うべき悪いヤツだから分祀してしまえば中国・韓国から文句を言われることなく参拝できる」という意見には反対である。小学生の時何人かグループでいたずらをしていて担任のN先生にみつかり呼び出された。その時仲間の一人F君が「○○君がやろうって言ったからやったんです。」とN先生に訴えた。N先生はF君に思い切りビンタを食らわした。そして一言。「先生は人に責任を押しつけるような卑怯なヤツが一番きらいだ。」A級戦犯の分祀を主張する人たちはF君と同じ事を言っているような気がする。

  2006.11.28

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• 学納金返還訴訟

  第一志望校に合格したすべり止め大学入学辞退者が、前納した入学金や授業料を返還せよと裁判を起こしていたが、最高裁では入学金はそのままで授業料は返還せよとの判決が出たらしい。入学金の返還を認めなかった点で判決はまあ妥当かなと思う。しかし何だか潔くない訴訟のような気がする。だっておそらく案内に「一旦納付した入学金や授業料は返還しません。」とか書いてあるんだろう？それを承知の上で、第一志望の大学が不合格だったらすべり止めの大学に拾ってもらおうというすがる気持ちでお金を払ったんじゃないのか？第一志望合格がわかるまでは強気になれずお金を払ったものの、合格とわかったとたん「もうお前らのところになんか用はないわ。金返せ。」ってちょっと根性悪くないか？そんなにお金が惜しいのなら第一志望を蹴ってでもそのすべり止め大学に入学して授業を受けて元を取ればいいだけの話だと思うけどな。掛け捨ての生命保険に入って、保険期間が終了した後で「無事だったからお金がもらえず掛け金が惜しくなった」っていう主張にとれるのだが。

  2006.11.27

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• ネイティブアメリカンの悲劇

  Black Elk Speaksという本を読んだ。代表的な平原インディアンであるSioux族が白人との戦いに破れて部族が崩壊するさまがSioux族の聖人Black Elkによって語られている。かつてはバッファローを追いかけ自由に平原を走り回っていたインディアン達が最後はreservation（居留地）に閉じこめられ屈辱的な生活を強いられている。「俺たちは白人と戦いたかったわけではない。ただそっとしておいてほしかっただけだ。」という最後の言葉が印象的である。研究者によると白人とインディアンの間にかわされた条約（多くは彼らをせまい居留地に閉じこめるかわりに食料などの配給を行うというもの）は500ぐらいあったらしいが、最後まで守られた条約は一つもなく全て白人側が勝手に破っている。さらに遠隔の地への移動を強制したり、必要物資をピンハネしてしまってインディアンを飢えさせたりしている。腹に据えかねたインディアンが白人を襲撃すると、白人はその部族を全滅させる。アメリカ建国の歴史とは虐殺の歴史だったのだ。その他の文献も読んでみると、インディアン虐殺のエピソードはイヤというほどある。全く無抵抗の女子供を全員殺してしまうような話もある。古いハリウッド映画では野蛮なインディアンを白人の騎兵隊が退治するというような構図のものが多いが、どう考えても野蛮なのは白人の方である。なぜこんなことがまかり通ってきたのだろうか？当時は白人の感覚では未開の先住民を駆逐することに何の罪の意識も無かったのだろうが、おそらく通信技術が未発達ということも原因としてあるだろう。これほどまで野蛮なことがなされていてもそれを世界に知らせる方法が無かったのだ。今でこそどこかの国である部族が虐殺さているなどという情報は世界同時に配信され、国際世論というものが形成される。ソンミ村大虐殺事件などは世界から非難を浴びた。インディアンが虐殺されていた1800年代ではその事実が世界に知れたのはもっと後なのだろう。今そんなことが行われている国があれば、アメリカなど一番乗りで正義面して非難し出すのではないだろうか。

  2006.11.26

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• 高校とは一体？

  文科省の統計によると中学卒業生の97％が高校に進学し、毎年全高校生の2．6％が中途退学しているそうである。毎年38人に1人が退学する勘定になる。ということは高校3年間のあいだに13人に1人ぐらい退学してしまうということか。かなりの数字である。高校は義務教育ではないからそもそも97％という進学率が高すぎるのかもしれない。しかし街角で売っている就職情報雑誌を見ていると、ほとんどの求人は高卒資格が必要となっている。高卒でないと普通の人間と見られないかのごとくであり、これでは高校進学率が97％というのもうなずける。高校生になったはいいが毎日の勉強に意味を見出せず結局学業不振という理由で辞める生徒が多いらしい。私自身高校3年の時全く勉強する気がなく正に学業不振で卒業が危うい状態だったから、退学者の気持ちはよくわかる。自分に正直になれば、元来勉強が趣味という人間でなければ毎日の授業に耐えられるものではない。「我慢するのが修行だ。苦しい勉強に耐えてこそ人間が成長する。」という意見もあるだろう。しかし目的もなくイヤなことに耐えろといわれても困るというのが高校生当時の私の心境だった。高校で習う勉強の内容はかなりレベルが高い。数学であれば因数分解にはじまり微積分まで、高校卒業後ほとんどの人間が必要としないものばかりだ。その一方で分数の計算すらできない大学生がかなりいるという。世界史の教科書を紐解いてみると、一般人としての教養とよぶにはあまりに内容が詳細で、とても覚えきれるものではない。その一方でかつて日本がアメリカと戦争したことすら知らない大学生がいる。そして一部の予備校化した高校による必修科目履修漏れ問題・・・・・単なる大学入試の準備のためにだけ勉強しているか、ただ高卒資格をとるためだけに通っている人間が大半で、そのどちらにも割り切って入り込めない者が退学していくということだろう。高校教育の形骸化と言ってしまえばそれまでかもしれないが、97％の日本人が通過しなければならない高校って一体何なのだろう。

  2006.11.25

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• 産婦人科医が減少する理由

  最近マスコミが産婦人科医が減少して大変だと騒いでいる。しかしその原因の多くはマスコミが医療不信を煽り裁判を増加させてきたことにある。火をつけておいて火事だ火事だと騒いでいるようなものである。警察権力の介入が火に油を注いでいる。結果として若い医師が産婦人科を目指さなくなり残った我々の仕事がますますきつくなってきているのである。長くなったので詳しくはこちらを。産婦人科医の仕事の現状を日記風に書いてみました。

  2006.11.23

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• ブログの役割？

  ブログなどというものは一昔前には想像もつかなかったが、実に不思議なものである。インターネット上に公開されているということは世界中の人間が見る可能性があるということだが、そこに書かれていることは実に個人的な事柄やこのブログみたいにたわごとにような内容も多い。これってみんな何のためにやっているのかな？少なくとも何か発信したいことがあるからやっているのだが、自分の正体を完全に明かしてしまうと仕事関係や家族のしがらみから書きにくいこともある。その点ブログは任意に自分の情報を設定できる。適度な匿名性がありがたい。書き込みながらどの程度のことまで書けるのかと自問自答していますので今のところ無難な内容しか書いていませんが、ぼちぼちと本音をだせればいいなと思っています。以前探偵ナイトスクープという番組で、昼間公園でくつろいでいる年配の方々にレポーターがインタービューして回って、「今まで誰にも言ってないことで、今なら言えるということを顔は写しませんからしゃべっていただけませんか？」という質問をむけると、「実はこれ家族誰も知らんことですが・・・」といった感じで始まり、ええ！？というほど驚くような自分の過去の話を淡々と述べておられる方が何人もいて驚いたものだ。（しかし音声は変えてなかったから見内にはかなりバレてるような気もするが・・・）ブログもそういう場所になりうるのかもしれない。

  2006.11.22

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• 代理母

  今日サンデープロジェクトで代理母出産の是非について議論があった。代理母とは病気のため子宮を摘出した女性にとっては子供を授かる唯一の手段であるが、日本ではまだ一般的に受け入れられた方法では無い。学会の勧告を無視した形で代理母出産を行った根津医師の弁では「目の前にいる患者さんのためにやっていること」ということである。子供に恵まれた人間が恵まれない人に対して「そこまでして子供を得ようとするのはどうかな」などとは決して言えないのは事実である。臓器移植の問題もよく倫理面で何かと議論になる。不妊に対する生殖補助医療と移植の問題とのちがいは「移植を待っている人は移植を受けなければ生き延びられないが、不妊の人は子供を授からなくとも健康に生きていくことができる」という点にある。現実に生涯子供なしで終える夫婦はいくらでもいる。その方達がみな不幸かというとそんなことは無く、子供がいないぶん二人での時間を大切に過ごされており仲睦まじい夫婦も多い。そう考えると自分たち以外の第三者の体に妊娠というリスクを負わせて子供を得ることの是非についてはいろんな意見があろう。アメリカは代理母に関しては商業ベースで行われており、現実に日本人も渡米し代理母出産を依頼している。代理母となった人間には報酬が与えられる。surrogate mother（代理母）で検索すれば、代理母斡旋のホームページがいくつもみつかる。代理母候補者が写真入りでカタログのように並んでいるページもある。やはりお金ほしさに代理母となる人もいることだろう。ここまで来るとさすがに私も抵抗を感じるのだが・・・・中には依頼した夫婦が代理母妊娠中に離婚してしまい子供の引き取り手が無くなってしまう例や、代理母が出産後子供を手放したがらず法的にもめる例もあるらしい。いろんなケースを想定しておかないと子供が悲劇に会う可能性が大いにあるところも代理母出産の問題点である。とはいえ技術が確立され夫婦と代理母役の人間が合意すれば実行可能となっている現在、国や行政は後追い的に法整備を急ぐしかないだろう。長期的視野に立ってみると代理母に頼らざるを得ない状況を少なくしていくことも考えるべきではないだろうか。子供をほしい女性に子宮が無いという状況が起こる原因は、結婚年齢＞子宮に病気ができる年齢　となってしまったからだ。若い人が結婚しやすい社会環境を整えていくことが必要だろうし、子宮癌の原因であるヒトパピローマウィルスが若者の間に蔓延していることを防ぐ必要もある。実際日本では20代の女性の子宮頚癌が増えてきているのである。これらを放置したままで代理母がポピュラーな方法になることはあまり好ましいことでは無い。

  2006.11.19

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• くすぶり続ける未履修問題

  必修科目未履修問題がくすぶり続けている。要するに大学入試に必要が無い世界史が必修になっていて、しかも内容が多くて真面目にやってたんでは受験対策に支障がでるから「日本史を学ぶ過程で世界史の知識も自然に入ってくるから勉強したことにする」とかいう滅茶苦茶な理屈で通してきたことが今になって発覚したということらしい。しかし私たちが中学～高校生の頃はもちろん未履修問題など無かったし、「受験科目以外の教科を露骨に手を抜くヤツは卑怯だ」という認識が生徒の方にも教師の方にもあったような記憶がある。それが今や教師が率先して卑怯なことをやってるというのだからこれは開いた口がふさがらんわな。私の住んでいる県では2年前に高校入試において学区制が廃止され全県一区制となった。その理由の一つに当県から東大への進学率が下がってきているので、高校入試の段階から競争原理を取り入れて優秀な生徒を伸ばして行かなければならないと県のおえらいさんの言葉が新聞に載っていたのを見て「バカじゃないか？」と思った。東大信仰を恥ずかしげもなく晒しているところが田舎者の証明である。広い視野をもって高校教育の理想を考えるべき県の教育担当者が東大進学率などという世俗的な数字に振り回されてどないするんや？生徒集めに必死な二流予備校の経営者と同じレベルだ。第一優秀な人間が東京に行ってしまっては県の損失ではないか。しかし県のおえらいさんがこんなアホなことを考えているということは県内の進学校といわれる高校に相当のプレッシャーがかかっていることは想像に難くない。優秀な大学への進学率を上げることが至上命題であれば受験に必要ない科目は単なる重荷ということだろう。そう考えてみると未履修問題は上に立つ人間からしてモラルが崩れてしまっていることを象徴しているように思える。そりゃ今の若者がなってないとか言ったところで何の重みもないよな。

  2006.11.18

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• カゼの季節です

  寒くなりカゼの患者さんが外来に来ることが多くなった。まあ、仕事なので適当にカゼ薬を出してはいるが、「薬を飲んで早く治そう」なんてことは全くの間違いで、カゼ薬がカゼを早く治すなんてデータは全然無い。いっとき症状を和らげるだけのことである。最近はウソをつくのもイヤなので「飲んだから早く治るってことはありませんからね。しっかりと睡眠と休養をとることが一番大事ですから。」と本当のことを話すようにしている。患者さんは妊婦が多いので「薬は最少限にしましょう」というと割と理解してくれる。しかし妊婦だから薬は最少限にというのもヘンな話だ。妊婦であるなしにかかわらず薬は元来必要最少限の量だけ処方すべきものである。しかし一般的にカゼ薬に限らず、本当は必要ないのに処方されている薬というのは実に多い。高令の方の中にはいろんな病院でもらった薬を大きな缶なんかに入れていて、「先生、こんなにようけ薬ありますんやで。これ全部飲んでたらお腹ふくれてしもてご飯なんか食べられませんわ。結局これしか飲んでませんのや。」というので聞いてみると、薬がこれだけ多くて胃が荒れるだろうという考えの下にほぼ自動的に入っている胃薬のみを飲んでいたという笑えない話もある。かと思えば患者の方が薬をもらわないと納得しないという場合もある。これは特に小児科に来る患者の親に多いような気がする。カゼに対して「薬」を飲ませることで子供にいいことをしてあげているという安心感を得たいという心理が親にあるのかもしれない。小児科のドクター曰く「しょうがないから害の無い薬を出してるけど、本当に薬が必要な患者は1割もないだろうなー。」要するに親が安心するための意味しかないから害が無いことだけがカゼ薬にとって必要にして十分な条件というわけである。アーサー・ヘイリーの「Strong Medicine」にも同じ事が書かれている。この小説が書かれたのは1984年だから20年以上経った今も大して状況が変わっていないということか。じゃあ自分はカゼひいたらどうするかって？一番早く治す方法はとにかく寝ることだからひたすら寝る、と言いたいところだけど当直や呼び出しで起こされることが多くて結局長引くんだけど・・・。夜中に起こされるとカゼの治りは確実に遅くなるね。ギリギリの人数でやっているうちの病院では休むこともできず、熱のある状態で仕事するのはつらいから解熱剤の座薬をぶち込んで仕事してるのが現状です。結局薬に頼ってるやん？(^ ^);

  2006.11.16

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• 性教育って？

  仕事柄中学校や高校から性教育の依頼が来ることが多い。若者の間で性感染症が流行っていることは事実だし、ティーンエイジャーの人工妊娠中絶もずいぶんと増えたので確かに今ほど性教育が必要な時代もないだろう。しかし、「性教育」って言ってしまった時点でもう失敗って感じがする。性のことについて教育できるやつなんかいるのかよ？と思うからである。大人から子供に向かって上からの目線で性のことを話しても聞き入れてくれないだろう。大人達が性に事に関していっぱい失敗しているのに何がえらそうに言えようか？子供達は大人の汚いところに敏感である。例えば人工妊娠中絶に関して言えば、ティーンエイジャーの中絶が増えたといってもまだまだ圧倒的に35才以上の中絶数の方が圧倒的に多い。大人が若者の妊娠を「だらしない」とは決して言えないのである。ここ数年性教育バッシングなるものがあって「中学生や高校生に避妊の知識など教える必要はない」とヒステリックにわめく連中がいるが、なにをかいわんやという気がする。「避妊の知識を教えることはセックスを奨励することになる」というのはいわゆる下衆の勘ぐりというものだ。実際は若者に避妊の知識を教えるとむしろセックスに関して慎重になる。性感染症に関してもしかり。確かに今若者の性感染症は増えてきたが、未だに風俗で性感染症をもらってきて奥さんにうつしてしまうという大人は後を絶たないし、最近はデリヘルで本番なしだから大丈夫と思っていたら女性の喉に淋菌がいてしっかりうつされる中年男性も多い。ネット上ではアダルト関係の宣伝やスパムメールの嵐である。仕事の関係上メールアドレスを公開しているが、アダルト系のスパムメールが1日に150通ぐらいは来る。このブログでもアクセス記録をクリックしてみるとアダルト系の宣伝がたくさん紛れている。ご苦労さんなことだがこれら全て大人の仕業で、ネットに慣れている若者からしたら大人がさぞかしアホに見えるのではないだろうか。まあ、この仕事をしていると大人が子供にむかって「性教育」をするなんていうことがおこがましく感じられる。

  2006.11.14

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  東京でのライブ

  まあ、このブログは誰に知らせるわけでもなくひっそりと始めているわけなんですが、そのうち立ち寄ってくれる人がいて何か意見でも聞かせてくれればいいかなって感じです。あんまり大上段に構えてやるのもイヤだし。しかしうちの息子にもみつかった（というかわざとアクセス記録に残しておいたんだけど）ことだし、ぼちぼち自分のことも書くとしましょう。実は今月の1日忙しい仕事の合間を縫って東京まで行ってライブハウスで演奏してきたんですよ。昔から無趣味な人間で、唯一の趣味といえばバンドでギターを弾くことぐらいなんですが、下手の横好きも30年以上やってればいろいろとまわりが支えてくれるということを今回はしみじみと実感しました。ちなみに私は田舎に住んでいて、地元ではよくライブをやっていたりするのですが東京に行ってまでライブすることがあるとは思いませんでした。なんといっても遠いし、それに東京といえば日本の首都、いっぱいうまいバンドがいるだろうにそんなとこにわざわざ田舎のアマチュアバンドが行くことなんて考えてなかったしね。それで実際やってみるといい具合にみなテンションが上がって、ここ最近では最高のライブができたんじゃないかとメンバー全員喜んでいるわけです。やってる曲はみなオリジナルで、いきなり東京のお客さんになじみの曲があるはずもないのですが、ほんまみなさん盛り上げて下さいました。この場を借りてお礼申し上げます。今回のライブの話は、東京の音楽業界の方がうちのバンドのドラマーと知り合いで、以前我々のライブを遠路はるばる聴き来てくれた時に「1回東京でライブしてみないか」と声をかけてくれたのがきっかけだったわけです。その方のご尽力のおかげでトントン拍子に日程やライブハウスが決まり、今回の遠征となったわけです。行くにあたってはバンドのメンバー全員が乗れる高級ワゴン車をタダで貸してくれる人が出現したり、当日は東京在住の昔の知人が大勢来てくれたりと、実に恵まれたバンドやなーと思いました。ライブハウスのマスターからはチャージバックまでいただきまして本当にありがとうございます。

  2006.11.12

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• 教師の質の低下？

  朝出がけにテレビを見ていたら、教育問題にからんで例のごとく学校批判を垂れているのだが、保護者からの意見として「教師の質の低下」を指摘する意見が多かったとのことだ。もっともらしい意見だが、ちょっと待てよという感じである。その前に保護者の質はどうなってるんだ？と聞きたい。テレビではその後VTRで小学校低学年の授業風景を流していた。それを見ていると若い先生が教科書を読み上げている間に走り回るやつやら、イスの上でごそごそと落ち着かないやつやら、叫び出すやつやらで授業の体をなしていないのである。（これ、どっかで見たような風景だなーと思ったら、そうだうちの病院の小児科待合室とよく似ているではないか。）そしてもっともらしいツラした先生の指導役みたいなおばさんが出てきて、「授業での指導法が悪いからこうなる。子供達に魅力のある授業をしないとついてこない。」てな感じのことを若い先生に言うわけだ。しかしちょっと待てよ、悪いのは好き勝手やってるチビどもの方だろ？なんであんなチビどもに媚びを売る必要があるんだ？我々が小学生の時なら授業中騒いだり立ってうろついたりしたら即ゲンコツかビンタが飛んできたぞ。大体授業を静かに聞けないような子に育てた親の責任はどうなる？あれは教師の問題でも何でもなく親のしつけの問題だろう。教師も授業中騒ぐヤツがいたらぶん殴るなり外に放り出すなりすればいいのに。しかしまともに授業を聞けないような子供の親に限って、やれ体罰だの何だのと学校に怒鳴り込みに来るんだから本当にどうしようもない。教師の質を言う前に保護者をなんとかしろよと朝から腹が立った次第。小児科の待合室でも子供が騒いだりうろついたり物を倒したりしても怒る親がいないからね。みんなが集まるところでの公衆道徳なんて親からして気にしていないんだから、学校で授業が成り立つはずもないだろう。

  2006.11.10

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• 憲法改正論議

  阿部新総理誕生以来憲法改正論議がさかんである。当然第九条の改正が焦点となるのだろう。私は第九条の改正については必ずしも反対ではない。日本が自主独立の精神を表明するためには最終的に改正が必要だとは思う。武力を持つにあたって最も必要なことはその国の道徳観だろう。自己中心的で思慮の浅い国が武力を持てば世界は無茶苦茶になる。その意味では今の日本が憲法改正に踏み切ることは危険である。無謀なアメリカのイラク攻撃に際して真っ先に支持表明し、百歩譲って先制攻撃の唯一の理由であった大量破壊兵器すら無かったことが明らかになっても支持表明に対して何ら反省の弁が述べられていない。そんなアメリカの提灯持ちをやっている道徳観の無い国が正式に武力を持ったところでろくな使われ方はしないだろう。「悪いことは悪い」と言えて初めて武力を持つ資格があるはずだ。国連の常任理事国入りも同じ事だ。今日本が常任理事国になったところでアメリカの票が一票増えるだけのことだ。憲法は英語でいうとConstitution。これには屋台骨という意味合いも含まれている。憲法は正にその国の屋台骨であり、目先のことにとらわれて簡単に変えていいはずもない。50年、100年といった長いスパンを見据えて議論すべきものだ。今北朝鮮が仮想敵国になっていることが憲法改正の追風になっているが、「目の前にヤバい国があるからケンカに備えましょう」といって屋台骨をあっさり変えてしまっていいのかどうかよく考える必要がある。この先国際情勢はいくらでも変わってくるのである。軍隊を正式に持ったとして本当に正しく使われるのか？ちゃんとコントロールしていくだけのビジョンがあるのか？今の日本にそれだけのビジョンがあるようには思えない。

  2006.11.09

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• 今時の医学生気質

  今週は医学部の学生がうちの病院に見学に来ている。あまりの忙しさに驚いているようだが、勉強熱心らしく積極的に質問してくる。仕事が一段落して夜酒を呑みながら話をしていたのだが、今の学生は産婦人科、小児科、外科などいつ呼び出されるかわからないような勤務のきつい科に進むことを敬遠しているとのことだ。彼は外科系を目指しているといってくれたことが救いであった。まあ、やっている自分自身が「いつまで続けられるだろう」と思っているぐらいなので、学生達の気持ちは理解できないことも無い。しかし、「仕事がきついのはイヤだ」という人間ばっかりが医大生になるもの困ったものではないだろうか。青くさいことを言うようだが、人の命をあずかる仕事がきつくないはずはないだろう。楽して儲かる仕事をのぞんでいるのであれば最初から医学部など目指さないことだ。私などは手塚治虫の漫画で育った世代であり、医師になるにあたってはブラックジャックの影響がものすごく強い。自分の手を動かして病気を治す外科医にあこがれたものである。あの漫画を読んでいると命を救うということが本当にカッコよく思えたし、医学部の同期の中にはブラックジャックに感動して医学部を目指したというやつはざらにいた。余談だが以前ラジオでロボット工学の技師が「今日本でロボット工学を専門にしている連中はほぼ全員鉄腕アトムの影響でこの道を目指しているんですよ。」と言っていたのが印象に残っている。ほんま手塚治虫って何人の人生を変えたかわからんね。偉大や。今の医大生はどういった理由で医学を志すのだろうか？いろいろあっていいと思うが、あまり「収入のいい専門職」と割り切った人ばかりというのもお寒い気がする。

  2006.11.08

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• フセイン元大統領に死刑判決

  イラクでフセイン元大統領に死刑判決が言い渡された。独裁者として多くの政敵や反逆者を粛正してきたことだろうし、死刑はやむを得ないのだろう。もしイラク人の半数以上が死刑判決に満足しているならそれでよしということかと思う。しかし、それにしてもである。そもそもフセインが独裁者の座から引きずり降ろされた原因は米軍の先制攻撃による。先制攻撃の理由はフセインが大量破壊兵器を隠し持っているから危険きわまりないということであったはずだ。しかし戦争終了後どこを探しても大量破壊兵器はみつからず、米国の主張が誤りであったことが今ではハッキリしている。間違った理由でイラクを破壊した罪は一体どうなるのだろうか？大義の無い攻撃により何千何万というイラク兵や民間人が犠牲になっているのである。今回のフセインの死刑判決の理由はフセイン暗殺を企てたシーア派住民148人の虐殺を命じたことらしい。公平にというなら間違った理由で何万人もの人間を殺したブッシュこそ真っ先に死刑になるべきではないのか？過激なこと言っているように思われるかもしれないが、至極まっとうに考えればそういうことになる。大量破壊兵器がでっち上げだったことがばれてしまってからは、ブッシュは「独裁者であるフセインを倒したのはイラクにとっていいことだった」と攻撃の理由をすり替えてしまった。今回の死刑判決もその流れの中でのことであり、しかもアメリカの中間選挙の直前の判決である。イラクの国内裁判で裁いたことにはなっているが、アメリカの思惑が露骨に表れている。こうなった以上何が何でもフセインに極悪人の烙印が押されなければブッシュは格好がつかないのである。しかし日本としてはイラク情勢を傍観するわけにはいかない。なぜならアメリカの先制攻撃に対して真っ先に支持表明したのは小泉元総理だからである。アメリカが冒した人道上の罪の片棒を担いでいる立場であることは私も含めて日本人は忘れてはいけない。しかし、敗戦確実な日本に大量破壊兵器である原爆を落とし、何十万もの民間人を殺傷したアメリカが東京裁判で日本を断罪することにより自らの人道上の罪は全く棚上げにしてしまった60年前の構図とそっくりであると感じているのは私だけではあるまい。

  2006.11.06

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• 小学生に英語？

  小学生に英語を必修科目として教えるという話があるらしい。バカげた話である。小学生に最も必要なのはしっかりした日本語教育だろう。ろくに自国語を身につけていない小学生に英語を教える必要がどこにあるというのだ。中教審の連中は今の高校生や大学生の日本語能力を知っているのだろうか？まともな文章を書けない人間が大勢いる。看護学校の学生に試験を行うことがあるが、記述問題になると文章がデタラメな回答が多いことにいつも驚かされる。「てにをは」がおかしかったり、主語が何か全くわからなかったり、文としての脈絡が無かったりと採点に困る文章に出くわすことが多い。みな高校を卒業してきた生徒達である。携帯のメールで極短い文章しか作れないことや、マークシート方式の試験に慣れてきたせいでしっかりした文章を作る機会が無かったのだろう。英語といえども日本語と同じ「言語」であることには変わりがない。まず自国語で文章をしっかり組み立てたり自国語で自分の考えをまとめたりする能力が無いと英語が身に付くはずもない。小学生の頃から英語になじませて国際感覚を云々などというヤツがいるが、本当に国際感覚と言うのなら自分の考えをはっきりと相手に示す態度や異国の文化を理解する力などを培うことが必要で、それさえあれば英語能力などはただの手段であり後からついてくるものだ。海外旅行で役立つかもしれない程度の小手先の英語を小学生に教えることが一体何になるというのだ。英語を教えるヒマがあったら、少しでも本を読む習慣を身につけさせてやる方がよっぽどいい。よく「文法主体の英語教育のせいで長年英語を習っている割には英語を喋れない人間が多い。文法などに縛られること無くまず慣れていくことが大切で、そのためには小学生から英語になじませるべき。」などと言われる。これもとんでもない話である。文法などに縛られずに語学を習得できるのはあくまでnative speakerのみである。語学としての系統が日本語と全く異なる英語をわれわれが習得するためには、文法を理解し基本文型を暗唱し単語を地道に増やしていくこと以外に近道は無い。また「英語の読むことはできても会話ができないのが今の日本の英語教育の欠点」という連中もいる。これも大間違いだ。英語を習得する一番の目的は、外人に道を聞かれたとき答えるためでもなく、海外旅行に行ってショッピングをするためでもない。世界共通語としての英語で書かれている情報が読めるようになることが目的だと私は思っている。特に今のようなインターネット時代では英語の情報が群を抜いて多く、英語を読めないことは大きなハンディになる。その意味では英語を「読む」能力が最も重要なのである。私自身読むのは比較的得意だが、会話はあまり得意ではない。会話も流暢にできればそれに越したことは無いが、読む能力の方が日常重宝する。会話する機会などめったにないのである。今の中学生の英語の教科書をみると、われわれの頃と異なり会話主体の省略形だらけのくだけた表現が多い。くだけた表現は便利だろうし最終的には習得すべきだろうが、最初の段階では文法的にきっちりした文章で教えてやるべきではないかと私などは思ってしまう。

  2006.11.04

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• 立ち去っていく医師達

  産婦人科医が医療現場から立ち去ろうとしている。今日の新聞記事にもあった。産婦人科医をやめた女性医師の言葉が全てを言い表している。「忙しくても収入が悪くてもやっていける。でも寝ずに働いて、患者から暴言を浴びせられたり、訴えられたりするプレッシャーの中では、何のためにやっているのか分からなくなる」正にこれだと思う。マスコミも医療関係以外の人間も大きく誤解していることは、予想外の悪い結果が出たときには必ずそこに医療ミスがあり、逆に医療ミスが無ければ必ず予想外の悪い結果は出ないはずだと思いこんでいることである。人間の体のことはわかってないことの方が多い。医学が進歩したというが、予測不可能なことがいくらもあるのである。医師の判断とはその時点で10中7～8程度の確率で正しいという程度のものである。あたることが多いがはずれることも決してめずらしくない。時間とともに変化する容態に応じて判断を軌道修正していきながら患者の不利益を最小限にして治療効果を上げるというのが普通行われる医療行為だろう。しかし経過が急激に変化した場合には予想外の悪い結果が起こることは避けられない。それらを全て医療ミスとよんでしまうから話がややこしくなり、そういった記事を鵜呑みにした一般の人たちは、何か予想外のことが起こると「医療ミスではないか」と疑い医師を責める。最近はあろうことか司法までが介入してきて、真面目な医師が患者を救おうと努力したにもかかわらず救えなかったからといって逮捕する始末である。とんでもないことだ。こんなことを許していたら医療は完全に崩壊してしまう。いや現に崩壊が始まっている。一部の地域でお産する場所が無くなってきているが、今後はもっともっとそういった地域が増えるだろう。なんでもかんでも医師を悪者にするのは簡単だが、それは結局患者側に大きな不利益をもたらすのである。

  2006.10.31

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• 必修科目未履修問題

  全国の高校で社会の必修科目を履修していなかったことが次々に明らかになっている。最初にみつかって問題になった富山のなんとか高校はさぞかしホッとしていることだろう。しかし、それにしても今日までに全国で400校以上が明らかになっているというのは驚きである。もう30年前になるが自分が高校生の頃を振り返ってみると、一応進学校として名の通った学校だったが受験のために必修科目をやらないなんてことは無かった。理系クラスなのに3年生にもなって社会が確か世界史、日本史、政治経済と3科目も並行して授業があったのを憶えている。受験前ということを考えればずいぶんと非効率なことをやっていたものだ。ゆとり教育云々というが、ある意味当時の方が教師にも気持ちにゆとりがあったからこそ受験前というのに関係のない必修科目の授業ができたのかもしれない。大体ゆとり教育と称して週5日制にしたことが大間違いだったのである。器の小さくなったのに相応して詰め込む内容が減っていなければむしろゆとりは無くなる。結局受験に関係ない社会の科目が割愛されたということだろう。本当のゆとりは勉強を無理なく理解させることで生まれると考えるべきで、授業時間を減らすことでは絶対に生まれない。学力低下とか今になって騒いでいるが当然の帰結である。今からでも土曜半ドンの週6日制に戻すべきである。それにしても割愛された教科の担当教師はどんな思いだったんだろう？「お前らいらんわ」とか学校から言われて泣き寝入りしていたのかねー。これこそいじめの構図に通じるような気がするが。

  2006.10.30

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• いじめ

  中学生がいじめを苦に自殺するという痛ましい報道が続いている。本当になんとかならなかったものかと思う。親御さんの悲しみは察するにあまりある。こういう事件が起こるたびにマスコミは「学校はいじめの事実をつかんでいなかったのか？」などと言って学校や教師を批判する。しかしいじめの責任は学校にあるのだろうか？悪いのはいじめを行っていた生徒であり、またそんな生徒を育ててきた親にこそ責任があるのではないか。何か事が起こればなんでもかんでも学校に責任を持ってこられたのでは教師もたまったものではないだろう。いじめとは陰湿な行為であり、通常教師の陰に隠れてこそこそと行われている。もしいじめられている側が教師に救いを求めたりすると、チクッたということでさらにいじめられる。それがわかっているから教師にも言えない。そもそも教師が把握できる性格のものではないはずだ。極論を言えば本当に悪いヤツを追求したいのならいじめを行っていた生徒達を調べ上げて実名で親とともに報道すればよい。そうすれば各家庭で「いじめはよくないことだ」ということを必死で教えるようになるだろう。ただ、いじめというものはそう簡単に無くなるものではない。これは誰しもわかっているだろうし、子供の頃軽い気持ちからいじめる側に回ってしまった苦い経験をお持ちの人も多いだろう。子供というものは純真なぶん非常に残酷にもなりうるのである。そう考えるとしつけや教育でいじめが根絶されるとも考えにくい。もちろんその努力は続けて行かなくてはならないが。誰もがいじめの被害者になりうることを考えると、常日頃からいじめへの対処法を教えておく方がはるかに重要だし、自殺という悲劇を防ぐためにも有効ではないかと思う。例えば登校しないのが最も手軽な対処法である。死ぬほどイヤな思いをしてまで行くだけの価値が学校には無いということを普段から親や教師が教えておくことだ。少子化のせいでどこの学校も生徒数が減ってきている。気軽に転校を考えても受け入れてくれる学校はいくらもあるだろう。いじめと対決するのではなくてそこから立ち去ってしまうという考えでもいいのではないか。

  2006.10.29

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• マスコミの横暴

  奈良県で脳内出血を起こした妊婦が受け入れ先病院が無いために亡くなられた。お気の毒なことだと思う。医学的に詳細な情報が入ってこないのでいろいろ推察する他はないが、それにしてもこのような事例のマスコミ報道をみていると実に一方的である。基本に「これほどの悲劇が起こったのだから誰かに責任が無いといけない。」という前提があるのだろう。お決まりの医師批判、病院批判である。一体いつになったらそのようなステレオタイプの報道から卒業するつもりなのだろう。詳細をろくに知りもしないで安易に医師批判につながる報道を垂れ流してきたことこそが正に産婦人科医師不足を招いてきたのに、性懲りもなくまた繰り返しである。自分は最も安全な位置にいて、医師側を責めることで大衆に迎合しなおかつ正義の味方面もできるのだからマスコミというのは本当にお気楽な商売である。「医師はCTを撮るべきだったのに撮らなかった」・・・これが批判の一つに上がっているが自分がもし担当医で子癇発作を疑っているのならCT撮影のために患者を動かすことは不利と判断するだろう。第一CTを撮っていたら助かったかのような報道をしていること自体がおかしいではないか。CTはあくまで診断のための補助手段である。最初の病院で仮にCTを撮っていて脳内出血とわかったところで脳外科医がいなくて何もできない状況だっただろうし、結局は転院先を必死で探すことになるだろう。結果において何ら変わるところは無いのである。家族の「CTさえ撮ってくれれば」という思いは充分に理解できるが、公正たるべきマスコミがその気持ちに便乗していかにもなご批判を垂れるのはプロの仕事ではないだろう。転院先として問い合わせがあった県立病院がNICUが1床空いていたのに受け入れを断ったことも批判的に報道されているが、県立病院にはまもなく未熟児を出産しそうな妊婦がすでに入院していたのである。その未熟児のために空けてあるNICUを今回の患者さんのために塞がれると、入院していた妊婦をどこかに搬送しなくてはならないのだ。すでに入院している患者の治療を優先するのは医師としては当然の判断である。こんなことすら批判的に報道されるようではまともな仕事はできない。今回の騒動で来年の産婦人科志望者がさらに減少することは確実である。残された数少ない産婦人科医は過剰労働からミスを冒す危険にさらされ、もしもミスでもあればさらにマスコミにたたかれますます産婦人科医のなり手が少なくなる。この悪循環をどこかで止めなければと思いながら現場の医師は目の前の症例と戦うのに必死で社会に対して声を上げるヒマもなく、限界が来ると戦線離脱していくのである。

  2006.10.28

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• 不動産屋の不思議

  不動産屋にはそうそうお世話になることは無いが、自分が住んでいるマンションの契約についてはつきあわざるを得ない。今契約更新の時期がきたので新たに書類を書かされている。この賃貸契約書をみていて不思議に思うのは、借り主本人である私の印鑑は三文判でOKなのに、保証人の印鑑は実印が必要であるということだ。いざというときに金を払ってくれる保証人だけは実印が必要というわけか。そういえば入居時にも保証人に関する提出書類の方が私本人に関する書類よりずっと多かったように記憶している。ハナから借り主本人が信用されていないようにも思える。面と向かって話をしている本人より、見ず知らずの保証人の方を最初からアテにしているというのがどうもなじめない。もう一つなじめないのは「契約更新料」と称してお金を徴収することが平然と行われている点である。貸し主にしてみれば最悪の事態は空き部屋になって賃貸料が稼げなくなることである。長年家賃を滞納することもなく住み続けている善良な借り主は歓迎されこそすれ忌み嫌われる存在では無いはずである。なのになぜ契約更新料のような正に坊主丸儲けのようなお金を徴収して借り主を苦しめる必要があるのだろうか。どこのマンションもそんなもんなのだろうが腑に落ちない。

  2006.10.27

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