「ネットは新聞を殺すのか」変貌するマスメディア
青木日照 /湯川鶴章 2003/09 NTT出版 227p
★★☆☆☆
「サイバージャーナリズム論」07歌川版関連で読んでみた。湯川鶴章が共著者として名前を連ねている。この本はすでに発行後4年が経過しているので、情報もかなり古いものになっている。しかし、そのことを差しひいたとしても、タイトルが示しているように、「新聞」側の人間が危機感を感じて書いている本ということだろう。「ネット」そのものは「新聞」をどうのこうのしようとしているとは必ずしもいえないだろう。
自動車が発達すれば、馬車は減る。ケータイが発達すれば、固定電話は減る。ネットが発達すれば、旧来メディアになんらかの変化がでるのは当然のことだが、自動車は馬車を殺すために登場したのでもないし、ケータイは固定電話を殺すために登場したのでもない。それぞれに必要があり必然があって登場してきただけなのだ。別に何かを「殺す」意思を持ってきたのではないはずだ。いわゆる旧来の「新聞」人たちが危機感を持っているのはわかるが、「ネット」を凶悪な殺人者のごとくに表現するのだけはやめてほしい。表現者として卑劣だ。
昨日もNHKで関連のスペシャル番組を放映していた。私も強い関心をもって見た。しかし、視点は、あくまで旧来の「新聞」側にあって、「ネット」側にない。まだまだ、この話題は続くだろうし、本質的に大きく変貌をとげる時がくるような感じがする。