「リサ・ランドール 異次元は存在する」
リサ・ランドール /若田光一 2007/05 日本放送出版協会 全集・双書 93p
★★★★☆
コンパクトな対談集。質問するのは宇宙飛行士・若田光一。応えるのはリサ・ランドール、1963年生まれ、「ワープする宇宙~5次元時空の謎を解く」の著者。ハーバード大学学物理学教授。
異次元や5次元の世界は、SFのお手の物で、すでに定番。最近は「すぴりちゅある」な世界でも思わせぶりに「5次元話」がささやかれる。4.2次元だの4.5次元だのと表現する人たちもいる。
たしか大槻義彦教授などは、「馬鹿も休み休み言いたまえ」といっていた。
オカルト連中も含めて「異次元」「別次元」などという言葉が使われるが、科学的には全くナンセンスなのだ。「1次元、2次元があるのだから、5次元、6次元があってもおかしくない」とよくいわれるが、これは数学と物理を混同しているのだ。
確かに数学では、1次元から無限次元まで設置するが、これはあくまで数学的な処理技術の問題である。
現実世界に、1次元の生命、2次元の生命などない。細長いアメーバや細菌類、ヒラメのような平面的生物があるが、だからといってそれらは1次元、2次元の生命体では決してない。それらはあくまでも3次元の物体である。「『神秘と超能力』の嘘」大槻義彦p131
ところがどっこい、世の中の流れは、21世紀になって、にわかに5次元を認める方向に動いている。
リサ・ランドール。美しい女性が物理をやって、数式を使わずやさしく物理学の最先端を教えてくれるなんて、なんて素敵な時代に私達は遭遇したのだろうか。
6次元など7次元だの、8次元だの9次元だの・・・・は分らないが、少なくとも、ちかぢか5次元の存在は証明されるかもしれないぞ、と予感をさせる一冊。