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カテゴリ:バック・ヤード
<1>よりつづく 初めてこの本の存在を知ってから、あれほど熱望したのに、いざ手に取ってみれば、拍子抜けするほどコンパクトな、そしてクリアな感じのする小さな本だった。その解説本が「チベットの『死の修行』」 として出版されているこを知って、ひととおり目を通してみたが、なかなかその内奥を知ることはあたわなかった。 であるなら、元本はさらに難解であるだろうと、すでに探すことさえ諦めていたあとに、この本が手元にやってきたことを考えると、何であれ、当ブログにおいてはかなり縁の深い象徴的な一冊と言えるだろう。この本について、なにか気の利いたことを書いておきたいのだが、それほど読みこめたわけではない。 「ブログに挑戦してみよう!」という本になかには、ブログの作り方のコツが書いてある。 達人たちのアドバイスに従って、あまりテーマを決めこまず、薄口の独り言を、気楽に、ムキにならずに続けていくことにしよう。 このセンスで、この「吉祥秘密集会成就法清浄瑜伽次第」をもうすこし手元で楽しんでみるの悪くない。ツォンカパはめんどくさそうだ、どうせラマの潅頂を受けなかったら、いくら文献を読んでもしかたない、どうせそのうち飽きてしまう、次の楽しそうなテーマが始まった、などなど、いつでも放り投げてしまうにぴったりな言い訳はいっぱいある。それでもやっぱり、等身大の自分で、マイペースでいこうじゃないか。 全96ページのうち、本文は62ページまで、それ以後、訳注・索引が78ページまで、それ以降は、チベット文字によるテキストとして図版が掲載されている。忘れていたが、巻頭には曼荼羅や交合仏像など画像が10枚弱ほどついている。 本論は49章に分かれており、最初のころは、それほど難しくない。修行にあたって、場所を選定し、探求心を起こし、さまざまな障害を減らしていく。そして自らをリードしてくれるマンダラとの一体感を強め、ひとつひとつのシンボルを確認していく。ここまでが大体10章前後あたりまで。この後、30章あたりまで、簡単に言ってしまえば「般若心経」のような世界がつづき、40章あたりまでは、いわゆるチベット密教たるタントリックな世界が現出する。 それ以降、終章あたりまでは、いわゆる悟りの世界と、悟り以後の世界のことか・・・・。 目次をざっとみただけでの見込みだが、この経典を起承転結にわけてしまえば、つまりは、チベット密教たるタントラ部分である「転」の部分がもっともキモであろう。哲学的な「承」部分は、おなじ仏教であるかぎり、それほど敬遠しなくてもいいだろう。しかし、あえていうなら、チベット密教であるがゆえに、「起」の部分にもその特徴がある。 「結」の部分だが、悟りの部分は、どの宗教だろうと、どの聖人であろうと、いきつく世界はみな同じ、という思い込みで行けば、すでに想像し得る世界であるとも言える。しかし、そこはそこ、チベット密教ならではの悟境というものもあるかもしれない。 つまり、この本の何を読めばいいのか、ということになれば、この「転」の部分であろう。タントラのタントラである部分。ここさえつかめればそれでいいのだ。ところがどっこい、ここは、ラマの指導なしには入り込めない世界と来ている。だから、遠巻きにして背伸びしながら覗いてみては、大体のところを察してみる、ということになろう。 しかしまぁ、当ブログとて、いままで伊達にチベット文献を読みこんでいたわけではない。この「転」の部分だって、実は他の文献からすでに読み込み済みのゾーンもかなりありそうなのだ。ただ惜しむらくは、それらがバラバラで一貫性と納得性に欠けているところである。 つまり、すでにこの本の全体を類推することさえすでにできる立場にある当ブログにおいて、この49章のコンパクトな経典の意味するところは、混沌とした知識と情報と体験の記憶、これら全体に、ひとつのシステム的な一貫性をもたせ、トータルな円環性を持たせてくれる、ということではないのだろうか。 そういうものと期待して、まずはもうすこし、この小さな経典を手元においておくことにする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.02.07 13:14:37
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