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テーマ:病気のしくみ(154)
カテゴリ:美容と健康
こんにちは。
土日は、以前書いた原稿の中から、病気予防をテーマにお送りしています。 本日の病気のテーマは、胃の粘膜に炎症が起きる慢性胃炎と、胃壁に潰瘍ができる胃潰瘍。 まずは、病気のメカニズムから。 胃は、強い酸性の消化液を分泌して、食物を吸収しやすい粥状にしたり、殺菌を行ったりしています。 しかし胃液が、自分の胃を消化することはありません。健康な胃の粘膜は粘液を分泌し、薄いベールで被って胃そのものを守っているからです。 ところが、さまざまな原因で粘液の分泌のバランスが崩れると、胃壁が溶けてしまいます。 そのもっとも大きな原因が、ヘリコバクター・ピロリ菌の長期感染です。 ピロリ菌は、数本の尻尾を持つらせん状の細菌で、胃粘膜のひだの間に棲みついています。 毒素を分泌して胃粘膜を保護する粘液を分解し、粘膜を薄くしたり、細菌感染による免疫反応によって胃粘膜を傷つけたりするのです。 この菌は、胃潰瘍やそれまで謎とされてきた慢性胃炎の発症に大きく関係していると言われています。 1982年にピロリ菌を発見したウォレンとマーシャルは、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。 慢性胃炎になると、胃の痛みや胃もたれの状態が続き、何十年にもわたってゆっくり進行します。 初期は表層性胃炎といい、胃の粘膜が赤く充血します。 ところが表層性胃炎が何年も続くと萎縮性胃炎に変わり、胃の粘膜は萎縮して薄くなって、血管が透けて見えたり白っぽくなったりします。 胃潰瘍の症状は、胸焼けやみぞおちのあたりに痛みを感じ、ひどくなると潰瘍からの出血によって吐血や下血が見られるようになります。 胃の粘膜の上皮だけが傷ついた症状をびらん、粘膜下層までえぐれてしまった場合が胃潰瘍です。 <今日のポイント > ●ピロリ菌発見者はノーベル賞受賞 ・健康な胃の粘膜は、粘液を分泌して胃を守っている ・慢性胃炎は、何十年にもわたってゆっくり進行する ・胃潰瘍は、胃の粘膜の下層までえぐれてしまった状態 永嶋信晴著 よくわかる「病」の予防と治療を一部改訂 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年09月23日 15時03分49秒
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