ワーズワスによせて
「水仙」 ウィリアム・ワーズワス谷を越え山を越えて空高く流れてゆく白い一片の雲のように、私は独り悄然としてさまよっていた。すると、全く突如として、眼の前に花の群れが、黄金色に輝く夥しい水仙の花の群れが、現れた。湖の岸辺に沿い、ゆらゆらとゆれ動き、踊っていたのだ。Daffodil_Yellow and Orange 5-7-11 posted by (C)LimeGreen夜空にかかる天の川に浮かぶ燦めく星の群れのように、水仙の花はきれめなく、入江を縁どるかのように、はてしもなく、延々と一本の線となって続いていた。一目見ただけで、ゆうに一万本はあったと思う、それが皆顔をあげ、嬉々として踊っていたのだ。Daffodils_Y and O posted by (C)LimeGreen入江の小波もそれに応じて踊ってはいたが、さすがの燦めく小波でも、陽気さにかけては水仙には及ばなかった。かくも歓喜に溢れた友だちに迎えられては、苟も詩人たる者、陽気にならざるをえなかったのだ!私は見た、眸をこらして見た、だがこの情景がどれほど豊かな恩恵を自分にもたらしたかは、その時には気づかなかった。というのは、その後、空しい思い、寂しい思いに襲われて、私が長椅子に愁然として身を横たえているとき、孤独の祝福であるわが内なる眼に、しばしば、突然この時の情景が鮮やかに蘇るからだ。そして、私の心はただひたすらに歓喜にうち慄え、水仙の花の群れと一緒になって踊り出すからだ。*「イギリス名詩選」平井正穂編 岩波書店 1990年Daffodil_Yellow_Opening posted by (C)LimeGreenI WANDERED LONELY AS A CLOUD William WordsworthI wandered lonely as a cloudThat floats on high o'er vales and hills,When all at once I saw a crowd,A host of golden daffodils;Beside the lake, beneath the trees,Fluttering and dancing in the breeze.Continuous as the stars that shineand twinkle on the Milky Way,They stretched in never-ending linealong the margin of a bay:Ten thousand saw I at a glance,tossing their heads in sprightly dance.The waves beside them danced; but theyOut-did the sparkling waves in glee:A poet could not but be gay,in such a jocund company:I gazed - and gazed - but little thoughtwhat wealth the show to me had brought:For oft, when on my couch I lieIn vacant or in pensive mood,They flash upon that inward eyeWhich is the bliss of solitude;And then my heart with pleasure fills,And dances with the daffodils.***応援のポチをしていただけると非常に嬉しいです。 * 毎日1クリック1円。クリック募金で協力する。 みちくさ桜ポストカード(私の撮影した去年の桜がポストカードのうちの1枚になっています。売り上げは100%義援金になります。) 義援金フォトブック「Pray for Japan」(私の写真は3冊のうちの”Green”に入っています。)