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2006年09月22日
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テーマ:本日の1冊(3688)
カテゴリ:ニュース
神奈川県が、2004年の12月定例県議会に「生活安全条例案」を提案したとき、県内在住の三人の憲法学者-石崎学(亜細亜大学)、北川善英(横浜国立大学)、清水雅彦(明治大学)-を呼びかけ人に、合計35名の法学者が、この条例案に反対する声明を出したことがありました。
この「生活安全条例」とは、警察庁生活安全局が雛形を作成したもので、神奈川県が議会に提案したのは、その警察の雛形を丸写ししただけのもので、しかも2004年に設置された「神奈川県安全・安心まちづくり有識者懇談会」が、たった三回、形ばかりの審議会を開いてまとめた報告書に基づいて策定されたというしろものでした。
法学者が反対した理由は、わが国憲法の精神である近代立憲主義に反する条例案だったからで、当時の反対声明は次のように述べています;


 〈報告書では「行政、県民、警察が一体となった取組み」を要請し、県条例案でも第七条をはじめ県及び県民等の相互協力を求めています。また、県条例案では、第三章で住宅、道路・公園等、商業施設等、繁華街の防犯性向上のために、第四章で学校等における児童等の安全の確保等のために、県と公安委員会が指針を策定したり、当事者が警察署長の意見を求めることを要請しています。しかし、そもそも警察権力を含む公権力と市民とは建前上緊張関係にあり、公権力の恣意的な発動により市民の基本的人権が侵害されないように、市民が公権力をチェックするために近代立憲主義が確立されましたが、県条例案にはこのような発想が希薄です。さらに、第三条で県民に自主的防犯活動を責務とし、第九条で「安全・安心まちづくり推進団体」を県が支援するということは、公権力主導で「自警団」づくりを進め、県民あげて防犯活動に動員する「総動員体制」づくり、県民が公権力の目となり耳となる「密告社会」「相互監視社会」へと地域社会を変質させる重大な危険性を有しています。
 
 また、県条例案では第二十七条で「児童等の健全育成」として、県が「児童等の規範意識を向上させ、児童等が社会の一員として健全な生活を営むことができるように、その育成に努めるものとする」としています。しかし、「個人の尊重」(憲法第十三条)を基本原理とする近代立憲主義の下では、子どもについても権利意識を育むことが重要です。それに対して、県条例案は子どもを「規範意識」の名の下に締め付けてしまい、公権力が子どもの心の中にまで介入する危険性があります。確かに、「児童等の安全の確保」自体は検討しなければならない問題ですが、学校等における安全対策に入るであろう校内等での監視カメラの設置は子どもたちを監視するものでもあります。「児童等の健全育成」と併せて考えるならば、県条例案の基本的発想は子どもたちを「少年犯罪者予備軍」と見なし、日常的に子どもを監視、さらには特定の価値観を注入しようとするものです。
 したがって、県条例案は近代立憲主義を否定する発想がある点で危険なものといえ、条例案提出の前にまずは県が近代立憲主義を学び直すことが必要と思われます〉


斎藤貴男著「ルポ 改憲潮流」(岩波新書)30ページから引用

この文章に見られるように、国家というものは権力を持って統治する側と、統治される国民とから成り立つものです。民主主義の国家においては、国民の間から代表が選ばれて権力の座につきますが、しかし、国民の代表であっても一旦権力の座につけば彼は権力者であって、恣意的に権力を乱用することも可能です。それを防ぐために、国家権力の行動規範を定めたものが憲法です。
従って、例えば「憲法は国民の思想・信条の自由を保障している」と言う場合、「首相も国民だ」などという台詞がいかに馬鹿げているか、わかるというものです。また、当ブログによくコメントしてくれる人の中には、

>ここの管理人みたいに憲法は「権力者」を縛るためにあるなどという妄想を吐くならともかく、

などと愚かな言辞を吐く輩もおりますが、こういう人たちには「近代立憲主義」とはいかなるものか、よく勉強してほしいものです。







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最終更新日  2006年09月22日 22時26分07秒


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