消えた三部作,そこから・・・。
今日はかなりマニアックな私的メモです。-----“母としての想い”,をテーマに記事を書いてみたいと思ったときに,ずっと頭にあった・・・,頭にくっついて離れない“この本”のことを文字にしようと書棚に手を伸ばしたのが発端の出来事。ちょっとしたミラクルがあったので備忘録的に書き留めておきたいと思います。-----私自身,“自分が望む,母親像”っていうものを求めていくときに,現実を見始めた成人前後になって以来,現実に生きているひと・・・理想的な愛情を注がれているように思える友人やそのご家族であったり,上司であったり,先輩であったり,ふと気にかかる誰かであったりをモデルにしてきたのだけど,そういう生きたモデルがなかった時代~小・中・高校生時代~は,ひたすら,本とか,マンガとか,自分のイマジネーションの中で妄想を暴走できる余地のある活字というネタを漁りまくっていたものでした。その中で当時のファンタジーのすべてを盛り込んでいたシリーズ。筒井康孝氏の“家族八景”から始まる七瀬三部作。その完結編である“エディプスの恋人”は,あーここまでやっちゃうなーっていう,その母性愛の行き過ぎ感を含めて,かなり強烈に私の額の奥深くに刻み込まれてます。-----筒井康隆氏といえば“時をかける少女”・・・時空を越えちゃう・・・時間跳躍能力を前提としたSFファンタジーで広く知られているのかなぁ,と認識していますが,当時の私は,“萌え~”的な嗜好で“時をかける少女”を読み,そしてさらに,筒井康隆氏の脳内に興味が沸いて,かなりマイナー路線の氏の初期の作品群まで・・・読み進んでいってました。このひとの作品,めっちゃ人間くさくて・・・といってもヒューマンドラマ系じゃなくってもっと動物的って言うか本能とか本態とかって言うところで書いてるって言うか,そういうところが好きで読み漁っていたわけですが,この“七瀬ふたたびシリーズ”はテレパスだ,念動力だ,予知能力だともっと盛りだくさんな超能力が出てきたり,・・・するところから始まって,一作目の家族八景,二作目の七瀬ふたたびとリアリティのあるSF好きの読者を乗せに乗せといて・・・超,落とした三作目!三部作最後の“エディプスの恋人”にいたっては,超能力をすっ飛ばして,宇宙意識だの神だのという次元まで行っちゃって,母たる宇宙意識が息子のためにその力を行使しまくり,そこに巻き込まれて息子と恋する(させられる?)七瀬が,最後にはその宇宙意識のシナリオに自ら身を投じていく・・・(だって抗ってもしかたないから)というストーリー。母性愛が常軌を逸して,振り子が片方に振り切っちゃたらこうなるなぁとすんなり納得しちゃう私ってやばいのかな,って当時思いながら,わが子が危機に瀕したときのとっさの感情ってこうなるなぁと,自戒的に記憶に刻み付けた,そんな一冊。-----自分なりの母像の早期の道しるべとなったこの本を,久しぶりに手にとってみようと本棚の最上段をのぞいたところ,筒井康隆コーナーに,この三部作がない。。。あれれ?なんだったけ?貸したんだっけどうしたっけ?思い出せないな~と本探しをあきらめてネットであらすじを引いたところ・・・母たる宇宙意識の名前が飛び込んできました。その名は・・・ありゃりゃ・・・。この名前を意識してつけたはずはなかったのだけど,潜在意識に強く刻まれてたんでしょうね。。。同じ字を,選んでました。-----筒井氏に触発されて(そもそも兄姉がSF好きで道を切り拓いてくれていたのも大きなきっかけでしたが),“超能力”・・・もとい“超心理学”にはまった私は,図書館で超能力について調べたりそのような本を読み漁ったりして,でも,こういう能力ないほうがしあわせなのかも,と興味を失い(もとより能力があるはずもなく),ファンタジーに逃げても軽くはならない心の重荷に直面すべく“超”が抜けた“心理学”を志し,現在の自分を解釈するすべを求めてくさいふたを開けてはオーバーホールし,定期点検のやり方を刷新してはまたオーバーホールし・・・を繰り返して,出会う人に学びの機会をいただき,活字に癒され,専門性の枠組みの外,雑多な日常生活の人間関係の中で癒され,新たな視点をいただきながら,結局のところ,一瞬一瞬を生きるときの無限の選択肢,可能性が,一番ファンタスティックなのかも,と思う今を生きています。-----“エディプスの恋人”が深いなぁといまさらながら感じるのは,シナリオの中のひとつの役割であると自己認識しながらも,彼と一緒に生きたい,というその瞬間の自分自身の想い,感覚をよすがに,そのシナリオに身を投じる七瀬の生きざまを潔いと感じ,“いまを生きる”という私自身の生き方のモデルでもあります。“いまを生きよう”と感じると,自分自身の視点も受けとめ方もまた大きく変化するから,自分を取り巻く現実そのものもまた新たに学んでみたいという新鮮な気持ちが沸きます。人生は一度しかないけど,何度でも楽しめるなぁ~。噛み応えのあるわが人生に乾杯・・・って,こんなオチになると思わず書き始めた記事(*^o^*)しかもまもなく自分にとっての新しい一年が始まるカウントダウン中に書き上げたこの記事は,なんだかいまの自分の立ち位置をクリアリングしたようなものになっちゃったな~。目論んだかのごとく,新しい一年が良い感じで始まっていきます。