カテゴリ:ほん
昨年は太宰治生誕100周年ということで、『ヴィヨンの妻』が映画化されたりいろいろと話題になっていましたね。
年末には、愛人太田静子が暮らしていた神奈川の大雄山荘が火事で焼け落ちてしまうという悲しいできごともありました。 そんな中、暮れから読んでいたのが松本侑子さんの『恋の蛍:山崎富栄と太宰治』 三鷹の玉川上水で太宰とともに入水自殺を図った山崎富栄の生涯を綴った本です。 表紙に富栄の写真があるのですが、たいへん理知的でクールな印象です。だれかに似ているなぁ・・・そう、若かりしころの山口百恵さんのような感じ。 太宰にのめりこみ、それまで培ってきた美容師としての腕も捨て、蓄えたお金も・・・そして命さえも太宰に捧げてしまう・・・とてもそんな情熱的な人には見えません。 そんな富栄がどんな経緯で命を絶つことになったのか、その相手である太宰はもちろん、娘を心の底から愛していた父晴弘の心情も交えつつ、物語は展開します。 富栄の燃え上がるような愛情、作家としての太宰の苦悩、娘を救ってやれなかった晴弘の後悔、そんな思いがずっしりと重く心に響いてきます。 今年1冊めを飾るにふさわしいたいへん読み応えのある本でした 恋の蛍(松本侑子著)光文社 2009.10 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|