ココロの森

「オルタナ」の創刊号が届いた。


「オルタナ」は環境問題をテーマにしたビジネス情報誌だ。
2月28日の日記でも御紹介したが
環境問題をビジネスのネタにしただけの、実質儲け主義の塊のような
いわゆる環境「便乗」ビジネス雑誌ではない。
自社のイメージアップのために、形ばかりのエコを謳う企業を紹介するものでもない。

本当に消費者が必要としているものを作り出す生産者や企業を伝え、
企業と生活者の中間で、環境問題を考えていく姿勢が見える雑誌だ。
遺伝子組み換えをされた動植物がもたらす環境の根本的問題点等
人間が生きていく上で最も大切な「食」への提言も興味深く見逃せない。





中でも印象深かった記事が
アメリカのパタゴニア社創業者、イヴォン=シュイナード氏のインタビュー記事だ。

イヴォン氏は、売上高の1％以上を環境保全団体に寄付する企業同盟
「1％　for Planet」を設立するなど、様々な環境問題に取り組んでいる。

そのイヴォン氏の自伝的経営書の日本語版が、今月発売された。
タイトルは『社員をサーフィンに行かせよう』

　　　



パタゴニア社では、
平日だろうが昼間だろうが、いつ何時でも社員がサーフィンに行けるのだそうだ。
そのために社屋を本国でも日本でも、太平洋沿岸の街に置いたほどだ。
もちろん、サーフィンだけではなく、どんなスポーツでもＯＫ。
上司に断りを入れる必要もない。

この効用として、氏は５つのことを挙げている

第一に、責任感。
いつサーフィンに行ってもよいからといって、仕事が遅れていいわけではない。
上司にお伺いを立てず、自己責任において、仕事を処理していく能力がつくこと。

第二に、効率性。
午後からサーフィンに、あるいは明日から旅行にいきたいと思えば
テキパキと効率良く仕事が片づくし、
好きなことをしたあとは、仕事もはかどるというもの。

第三に、融通が効くこと。
サーフィンではいつよい波がくるのかわからない。
いつでもよい波が来たら出かけられるように、
常日ごろからフレキシブルな対応ができるようになること。

第四に、協調性。
誰かがふいにサーフィンに出かけても、周囲が気持ち良く送りだせる雰囲気作り。
そのためには、その人がどういう仕事をしているかを皆が知っておかねばならず、
その雰囲気は、病気や出産育児などでの長期休暇も取りやすくする。

第五に、真剣なアスリートの確保。
パタゴニア社はアウトドア製品の販売会社なので、
自然やアウトドアスポーツについて深い知識を持つアスリートの確保は必須。


これらはみな、会社が社員を信用していないと出来ないことだ。





これらが何故、環境保護につながるのか？という疑問もあるだろうが
私はおおいに納得した。

企業が社員をこれだけ信頼していれば、
社員は自分が働く企業について、誇りを持ち、
自然とその力を還元するようになるだろう。

つまり、企業と社員の間で、信頼関係が循環するわけだ。

社員から信頼される企業であるためには
その信頼に能うだけのことを常に企業側が心がけていかねばならない。
自然と無理や無駄や不正等はなくなり、
自然を愛する社員の信頼に応えるような企業活動をするようになるだろう。
そして社員も、そんな企業に応えるはずだ。


きっと、この、『循環』というのが大事なのだ。

雇う側と雇われる側のこの循環は
地球の中で様々なものを犠牲にして生き、また生かされている
自然と人間の循環にも似ている。


消費するだけの立場でもなく
生産するだけの立場でもなく
ものごとの全体を見通せること。

すべての物事が巡り巡っているのだという
あたりまえのことを
わたしたちは忘れかけている。


地球からの大いなる恵みや信頼に対し、私たちはきちんと応えられているだろうか。






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「オルタナ」は今月末までにWEB申込みすれば無料で購読できます。
是非、多くのかたに読んでいただきたい冊子です。
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