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分太郎の映画日記

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2007.04.21
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 中国最後の秘境と呼ばれるチベットの墨脱(モォトゥオ)。そこに学校を作った老人を訪れるべく、過酷な旅に出た一行の道中記。
 東京・東中野のポレポレ東中野にて公開最終日に鑑賞。

 『赤い鞄 モォトゥオ探険隊』 評価:☆☆☆

 サブタイトルにある「探険隊」という言葉を聞くと、すぐに川口浩の顔を思い浮かべてしまうのは、世代的な悲しい性(さが)だろうか。

 しかし、この映画の前売り券のタイトルは、何と「進め!モォトゥオ探険隊」だ!
 予告編も、あの番組を思い出させる作りだったし、配給会社の担当も、始めは「川口浩探険隊」のイメージで宣伝を考えていたのだろう。
 それが方針転換して邦題は『赤い鞄』に変更されたわけだが、果たしてそれが良かったのか悪かったのか、ちょっと判断に迷うところ。
 確かに、金を払ってドキュメント風“やらせ”を見に行きたいとは普通は思わないが、映画をみると雰囲気は確かに川口浩探険隊なのだ!
 なので、そこはそれ、逆手にとって「現代に蘇る川口浩探険隊!」とかなんとかアピールすれば、(ある特定の世代の)集客はそれなりに見込めたような気もするからだ。
 ちなみに、私の鑑賞した最終回の観客数は6人だった。

 映画の舞台となるのは、広大なチベット高原の東南部に位置するモォトゥオ県。そこは、数多くの景勝地や希少動物の生息地として知られていて、中国でいまだに自動車道路の通らない唯一の県だという(映画が完成した後、2010年までに自動車道路が建設することが決まったらしい)。
 ロードムービー形式で、その豊かな自然をたっぷりと紹介しているのが本作だ。

【あらすじ】
 モォトゥオに私財をはたいて小学校を建てた老人の健康状態が思わしくなく、上海から派遣された医師を含め、地元の校長やその娘らからなる訪問隊が編成され、老人の元へ向かうことになった。主人公の上海の新聞記者も、その老人に取材すべく同行することになる。しかし、モォトゥオへの道のりは、とくに都会から来た女医と記者にとっては、想像以上の困難と危険を伴うものであった。
 雪山に雪崩と猛吹雪。熱帯帯性の森林に底無し沼。激流、断崖絶壁、はたまた落石……。次から次へと大自然の脅威にさらされる一行は、果たして無事にモォトゥオへたどり着くことができるのだろうか……。


 老人の話は実話のようで、『走進墨脱』というルポにまとめられている(らしい)。モォトゥオに暮らす子供たちが、近在の学校に通うために、数千mの危険な山を命がけで歩いて行かねばならぬことを知った老人は、自分の私財をはたいてモォトゥオに学校を作り、今はそこに暮らしているという。
 映画の趣旨は、その老人の功績を褒めたたえようという感がかなり強い。その辺に抵抗感を覚える人も多いだろう。
 まぁ実際は、その辺の趣旨が80年代風“やらせ”ドキュメントの雰囲気で包みこまれているので、その趣旨を訴えるのに成功しているとは言い難い気はするのだが。

 老人は心臓が悪く、とうに耐用年月を過ぎたペースメーカーの調子をみるために、貧乏くじを引かされて渋々来たというのが、女医の設定だ。
 この彼女、ひたすら我が儘で、差し出された靴や毛布は汚がって身に付けようとはせず(ご丁寧にアルコールで拭いて顰蹙をかう場面もある)、荷物担ぎが差し出された栄養食には手も出さず、おまけに雪山で興奮して叫びまくって雪崩は引き起こすは、底無し沼には落ちるは(お約束?)、何でも無いところで足をくじくは、吸血ヒルに恐れをなして帰ろうとするは、行程が進むに連れて一行と対立を深めていく。
 それは単純な図式にすれば、都会VS田舎ということになるのだろうが、都会流の価値観では大自然の中では生きていくことができない事実を端的に描き出してもいる。

 途中の落石など、どうみてもスタッフが石を落としているとしか思えないシーンなど、いかにも“やらせ”な演出がけっこうあって、その辺が川口浩探険隊を彷彿とさせる要因だが、雄大な自然を捉えた映像の中ではそれがだんだんと気にならなくなってくる(この辺も世代の悲しい業かな)。
 ただ、主人公が見上げると老人の顔をした雲が浮かんでいる場面(たぶん3箇所)は余計だと思う。唯一CGを使ったところだと思うのだが。

 モォトゥオの自然をスクリーンに切り取るために、ドキュメンタリーの手法が使われているが、それは役者の起用にも表れていて、出演者の大半は地元から選び、ほとんどが映画初出演という。
 その中で出色の演技を見せるのが、荷物担ぎの少年(15歳だから青年か)を演じた白馬却扎。とくにその笑顔が素敵だった。

 本作は、内蒙古(内モンゴル)自治区にある内蒙古映画撮影所で製作された。そして、監督のハスチョロー(哈斯朝魯)は、モンゴル族出身の映画監督である。
 チベットを舞台にした映画をなぜモンゴルが、という疑問は湧くが、同じ中国の辺境同士、相通じるものがあるのだろう。政治的な背景もあるような気もする。

 話の作りとしては、何度も書いたように“川口浩探険隊”臭がするし、映画の趣旨も老人万歳なので、好き嫌いははっきりする作品ではあるが、ここに写し出された自然と地元の人々の暮らしぶりの様子は、見ておいて決して損はないと思う。

赤い鞄 モォトゥオ探険隊』 心跳墨脱/Stirring Trip to Mutuo

【製作年】2003年、中国
【配給】株式会社 光文(配給協力:ポレポレ東中野)
【監督・脚本】ハスチョロー 哈斯朝魯
【脚本】ワン・シャオオウ 王曉鴎
【撮影】チェン・ホン 陳宏
【音楽】シー・チーヨウ 史志有
【出演】スン・ミン 孫敏、ボオ・ホン 博弘、パイマーチュエツァ 白馬却扎 ほか

公式サイト
http://akaikaban.blogspot.com/





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最終更新日  2007.04.23 14:48:34
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