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分太郎の映画日記

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2007.04.24
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カテゴリ:日本映画(2007)
 榮倉奈々、谷村美月という旬の女優二人を主演に据えて、高校生時代の少女の淡い恋心と繊細な気持ちの揺れを瑞々しく映像化した作品。
 東京・渋谷のシネ・アミューズにて鑑賞。

 『檸檬のころ』 評価:☆☆☆
(恵をめぐる話の方は☆☆☆☆)


【あらすじ】
 吹奏楽部で指揮者を務める秋元加代子は、成績優秀で、高校卒業後は地元を離れ、東京の大学に進学したいと思っている。中学生時代からの同級生の西は、そんな加代子に思いを寄せながら、気持ちを伝えることができない。そして、同じ野球部の佐々木も加代子が好きだった。
 加代子は、自然体で振る舞う佐々木にだんだんと惹かれていき、野球部が夏の公式戦で負けた日、佐々木からの告白に「はい」と返事をする。付き合い始めた二人。
 しかし、学力からも経済的な事情からも、東京の大学を受けることの難しい佐々木は、徐徐に劣等感を覚え……。

 加代子のクラスメイトの恵は音楽(ロック)好きだったが、話題のあわないクラス内では孤独を囲っていた。将来の夢は音楽ライター。
 ある日、掃除当番が偶然一緒になった軽音楽部の一也と音楽談義で盛り上がり、初めて話の合う男性の出現に心はときめく。
 文化祭で新曲を披露したい一也は恵に作詞を依頼する。しかし、友人の志摩の文章が音楽雑誌に採用されたのを見てショックを受けたところに、一也に恋人がいることが発覚して……。


 原作は、若手女性作家・豊島ミホの同名短編集『檸檬のころ』所載の「雪の降る町、春に散る花」と「ラブソング」(と書きながら、原作は未読だったりする)。

 同世代の人が鑑賞するとどういう感想を抱くのかよく分からないが、高校生時代がはるか彼方に去ってしまった世代としては、ノスタルジックな雰囲気が横溢した青春映画の佳作だと思う。印象で言えば、『リンダ リンダ リンダ』をもう少し朴訥にした感じというのだろうか。

 あらすじに記したように、ストーリーは加代子と恵のパートに分かれていて、微妙には絡みあいながらも、ラスト近くを除いては大きく交わることなく、交互に描かれていく。予告編などを見ていると、またオープニング(学校内の風景を映しながら二人の女性のセリフが交わされる)を見ると、二人の友情物語のような話になっていくのかと思いきや、予想を大きく裏切る展開。この構成は秀逸だ。

 とくに恵をめぐる話は、主人公役の谷村美月の大好演もあって、素晴らしい出来だった。

 谷村美月というと『カナリア』での淡々?とした印象や海賊版撲滅キャンペーンの黒い涙を流す少女のイメージが強く、元気な役柄はたぶん初めてではないかと思うが(彼女の出演作をすべべてみてはいないと思うので)、元々“目ヂカラ”がある女優なので、こういう喜怒哀楽のはっきりした“我が道を往く”女子高校生も大変によく似合っていることを実感した。
 とくに自転車で坂を走り降りながら叫ぶシーンや、志摩相手に“のろけ”るシーンなどは、非常に素晴らしかった。

 まぁ相手役の林直次郎がセリフ棒読みなのが、ちょっと何だったが、逆に恵のひたむきさが浮き上がってくるようで、結果オーライか(歌が様にならないとならない役柄でもあることだし)。

 欲を言えば、恵の上京シーンも、一瞬でよいから入れて欲しかった気がする。

 それで、もう一方の加代子をめぐる話。

 こちらも悪くはないのだが、監督自身が述べているように、いわゆる優等生タイプの主人公をいま一つ掴みきれていないようで、どうも素直に入り込めない部分がある。

 もっとも前半の、西の打ち明けたいけど打ち明けられない気持ちや、思わず親友に“譲って”しまう心情などの描き方は、同じ男性として非常に共感できてとても良いのだが、問題は主人公の加代子の描き方。

 彼女ほどであれば、3年生になるまでに、あちこちからコクられてきただろうし、それを断り続けてきたとすれば、心の中に想い人がいて、それは西なのかと思いきや(西の視点での、それらしき中学生時代のエピソードも挿入される)、加代子はずっと佐々木が好きで西の視線が邪魔だったと言う。ここがよく分からない。
 何かの理由があって西を諦めようとしている訳でなし、優柔不断な西に愛想を尽かしたようでなし。

 そもそも何でより取りみどりの彼女が、単なるお調子者の佐々木に惹かれたのかが不明だ。柄本佑はどう見ても美男子ではないし、格好よくもない。野球部のエースとのセリフはあるが、映画では1球しか投げていないので、その魅力は描かれていない。

 そこが分からないから、ラストの電車の中での加代子の叫びが、全然胸に迫ってこないのだ。これは、恵の物語で、恵が一也に投げるセリフが非常に心に響いてくるのと違って、致命的ではなかろうか。

 せめて付き合い始めた後の、二人のラブラブシーンがもう少し描かれていればまだしもだが、自転車の二人乗りで駄菓子屋に行って、その次には(手作り弁当を渡しながらではあるが)進路の行き違いが表面化するシーンになってしまうので、彼女の“熱い想い”が感じられないのだ。
 まぁ蓼喰う虫も好き好き、恋とは理屈ではないが……。

 あと、榮倉の指揮者ぶりは全然ダメだった。

 昨日今日始めたばかりの様子がありありで、中学校から楽器演奏をしていた優等生とはとても思えない。まぁ製作者側に高校の部活の指揮者だから、という意識もあったかも知れないが、『神童』の成海璃子の素晴らしいピアノ演奏ぶりを見てしまった後では、もう少し特訓して臨んで欲しかったと思う。『神童』は天才少女という設定なので比べるのは間違っているのだろうが)

 いかんいかん、榮倉奈々にかなり厳しい感想になってしまった。
 一応フォローしておくと、榮倉は(指揮を除いて)好演していたと思う。榮倉の思いっきり首を振るシーンなどは少女の残酷さが出ていて、非常に良かった。ただ、脚本と演出の詰めが甘いというべきか。

 監督は、これが長編映画第1作となる岩田ユキ。今後に大いに期待したい。

 結構手厳しく書いてしまった気もするが、少なくとも恵の章は青春映画の傑作。余計な邪念などが入らないように、できれば映画館で観た方がよいと思う。

檸檬のころ

【製作年】2007年、日本
【配給】ゼアリズエンタープライズ
【監督・脚本】岩田ユキ
【原作】豊島ミホ
【撮影】小松原茂
【音楽】加羽沢美濃
【出演】榮倉奈々(秋元加代子)、谷村美月(白田恵)、柄本佑(佐々木)、石田法嗣(西)、林直次郎(辻本)、田島ゆみか(大住志摩) ほか

公式サイト
http://www.lemon-no-koro.com/



ナビゲーションDVD

原作本(単行本)

原作本(文庫)

お薦めDVD
『リンダ リンダ リンダ』

DVD『カナリア』





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最終更新日  2007.04.24 13:30:56
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