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分太郎の映画日記

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2007.05.16
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 たぶん市川雷蔵の代表作の一つ。村上元三の原作による本格股旅もの。
 東京・池袋の新文芸坐で開催中の「市川雷蔵変幻自在」にて鑑賞。併映は同じく股旅もの『中山七里』。

 『ひとり狼』 評価:☆☆☆☆☆

 主人公は、「凶状を重ねて、いつも誰かに命を狙われているという覚悟が身に染み渡っているような男だった。親分なしの子分なし、誰も傍に寄せ付けようとしない。一匹狼のような…」と語り手に形容される股旅者である。

 晩年の作品ということもあろうが(この映画の公開の1年3か月後に亡くなる)、主人公の市川雷蔵は終始厳しい表情で演じていて、それが作品全体を非常に引き締めていて、緊迫感あふれる傑作になっている。

 そして、非情なまでに渡世の義理だけを重んじる一匹狼の壮絶な有り様を、孫八の語りで浮かび上がらせる手法が素晴らしい(原作は未読だが、構成は同様のようだ)。主人公は他者への甘えを廃してひたすら寡黙に生きるのみなので、それを読み解いて語ってくれる同業者(というのかな)の股旅者という設定は、本作の成功の鍵であろう。

 オープニングのひたすら歩き続ける後ろ姿と、ラストの雪道の中を厳しい表情で進む姿が大変に印象的であった。

 ヒロイン役の小川真由美が好演しているが、その子ども役の少年も、武士の父親は死んだと聞かされながら、京都に出て立派に学問を修めたいという姿を健気に演じていて、非常に良かった。
 そして、語り役でありキーパーソンとなる長門勇の柔らかい演技が、一服の清涼剤のようで、こちらも大変に好印象。

 市川雷蔵の渋さと格好のよさが十分に堪能できる優れた一本だと思う。


【あらすじ】(ネタバレあり)

 ある囲炉裏ばた。中年やくざの上松の孫八(長門勇)は、男の中の男、真のやくざ者である追分の伊三蔵、またの名を人斬りの伊三について静かに語っていた。
 孫八は信州の塩尻峠で、伊三蔵(市川雷蔵)が三人のやくざ者を一瞬で斬るのを目撃する。しばらくして、孫八は伊三蔵と再会する。たまたま孫八と道連れになった、やくざになりたての半次(長谷川明男)と共に、上州の坂本宿にある一家に草鞋を脱いだが、そこに伊三蔵が客になっていたのだった。博打にも強く、油断のない身構えの伊三蔵に、半次は魅せられるが、伊三蔵を試すつもりで寝入った隙に鍔音を立てると、鋭い反応を返すのだった。
 翌春、孫八は三州のある追悼の会の賭場で、伊三蔵と再び出合った。その晩、小料理屋に入った孫八は、酌婦・お沢(岩崎加根子)が伊三蔵に絡むのを目撃する。伊三蔵のかつての女だという。その時、ある武士が伊三蔵に立ち会いを求める。翌早朝、外れの林でその武士と斬りあい、これを倒すと、木曽福島へと旅立った。
 木曽の地で、伊三蔵はかつての恋人・由乃(小川真由美)に偶然にも再会する。彼は郷士上田家の奉公人だったが、跡取娘の由乃と愛しあい、由乃が身篭ってしまい、駆け落ちしようとしていたが、身分違いの恋ということで、伊三蔵は待ち合わせ場所で、由乃の許嫁で従兄の平沢(小池朝雄)ほか家中のものに襲われ、由乃も母の説得で駆落ちを断念するのであった。何とか切り抜けた伊三蔵は、以来、腕一つで世間を渡る渡世の旅に出たのだった。伊三蔵は、表向きはやくざの出入りに加勢するために福島に姿を現したが、じつは由乃と子どもの由乃助の暮しぶりを確かめるためであった。由乃は、由之助を学者にするべく、仕立物をしながら、伊三蔵が送っていた金は受け取らず、慎ましい生活を送っていた。
 やくざの出入りでは、孫八や半次と戦うことになった伊三蔵だが、半次は峰打ち、孫八とは時間切れで刀を収めることになる。助っ人料を受け取ろるために親分の呼び出しのあった待ち合わせ場所に伊三蔵が赴くと、そこに待ち受けていたのは、いまは代官となり伊三蔵を恨む平沢たちであった。平沢は、由乃と由之助を人質にして刀を向け、伊三蔵に脇差しを捨てさせた。そして、頬や太股を傷つけなぶり殺しにしようとするが、そこに孫八が駆け付けてきて、由乃と由乃助を助け出し、伊三蔵に長脇差しを投げ与えるのであった。伊三蔵は重傷を負いながらも平沢を倒すと、「てめぇの傷はてめぇが嘗めてでも治しますよ」と由乃や孫八の手は借りずに、一人で黙って歩き去っていった。
 それ以来、孫八は伊三蔵には会っていない。しかし彼は生きていて、どこか一人旅をしているに違いないと語るのであった。


『ひとり狼』

【製作年】1968年、日本
【製作・配給】大映
【監督】池広一夫
【原作】村上元三
【脚本】直居欽哉
【撮影】今井ひろし
【音楽】渡辺岳夫
【出演】市川雷蔵(追分の伊三蔵)、長門勇(上松の孫八)、小川真由美(由乃)、長谷川明男(半次)、岩崎加根子(お沢)、小池朝雄(平沢清一郎)、丹阿弥谷津子(由乃の母:秋尾) ほか



DVD

原作本

自著
『雷蔵、雷蔵を語る』

村松友視著
『雷蔵好み』

『市川雷蔵出演映画
作品ポスター集』

山根貞男著
『完本市川雷蔵』





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最終更新日  2007.05.21 16:40:02
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