シラスウナギ漁、出足は少なめ
環境省の絶滅危惧種に指定されたニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の採捕が和歌山県内の河口域で始まった。全国的に漁獲量が激減しており、県内でも過去2年間は不漁。漁師らは漁獲の回復を期待している。漁期は4月末まで。 シラスウナギは養殖のために採捕する。漁をするには県への事前の届け出が必要で、今季は漁業組合などの21団体132人が許可を得て、採捕している。全体の9割近くは田辺市以南の紀南地方の漁師。 今季の漁は、水産資源保護のため例年より10日遅い1月11日に解禁された。漁獲量はまだ低調で、県西牟婁振興局企画産業課によると1月中に田辺西牟婁地方では約8グラム(約50匹)。昨年同期の200グラムと比べると大幅に少ない。県東牟婁振興局企画産業課によると、新宮東牟婁地方では約80グラム(約500匹)だという。 約40年前から続ける田辺市新庄町の鈴木真二さん(78)も解禁日からこれまで10回以上近くの河口で漁をした。夜間に河口に入り、水面にランプを照らし、寄ってきた稚魚をたもですくう作業を続けている。 漁獲量は1日約70匹の時もあったが、ほとんどがまったくなかったり、数匹だったりしている。しかし体長は約7センチで例年より大きく、「大きい時は数も多い。河口に近づくのが遅れているだけだと思う。今後に期待したい」と話している。 県によると、漁期中の県内全体の漁獲量は2010年は53・3キロだったが、11年は11・3キロ、12年は12・4キロにとどまった。全国的にも不漁が続いており、水産庁などによると年間の漁獲は10トン弱で、ピーク時の1960年代の約230トンから大幅に減少している。 稚魚を仕入れる紀南の養殖業者も「年々稚魚は減っている。ことし、確保できるかどうか心配だ」と話している。