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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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January 16, 2015
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 新国立劇場の、2015−16シーズンラインナップが発表になりました。

 具体的な内容は劇場のサイトにアップされていますが、ここではオペラ部門の演目について、個人的な注目点を交えながらご紹介しようと思います。

 一見したかぎりでは、芸術監督の飯守マエストロの「色」がはっきり打ち出され、納得のいく、そしてキャスト面でも相当に充実した内容だと感じました。主役級の招聘キャストも、世界の一流劇場で活躍している面々が大半で、相当に魅力的です。とりわけ(予想されたことですが)ドイツものは世界最高レベルの顔ぶれが揃っているといってもいいのではないでしょうか。

  一シーズンにオペラ10本、うち新制作3本というラインナップは、ここ数年通りです。開幕が「ラインの黄金」なのはまさに飯守カラー。これから「指環」が1作ずつ登場するのでしょう。シーズンの最後から2本目にも、再演ですがやはりワーグナーの「ローエングリン」が登場。この2本は飯守マエストロがタクトを執り、「ライン」はラジライネンやグールド(なんとローゲ役ですが、マエストロは「適役」だと自信たっぷりでした)、日本人では安藤赴美子さんがフライアを歌うのが目を引きます。「ローエングリン」はやはりというか、天下無敵のローエングリン王子、フォークトの再登場。これは大騒ぎになりそうです(とくに女性ファンが)。

 ただ、飯守マエストロの痛恨事は、新制作なのに予算の関係で、プロダクションレンタルになってしまったこと(故ゲッツ・フリードリヒによるフィンランド歌劇場のプロダクション)。「劇場の経済的な破綻を避けるため」とまでおっしゃっていたので、苦渋の決断だったことがうかがえました。

 新制作=プロダクションレンタルというパターンは、2つめの新制作である「イェヌーファ」も同じです。こちらはベルリンドイツオペラのプロダクション(ロイ演出)。でも面白そうですし、何より新国にヤナーチェク作品が登場するのは初めてですから、それだけでも快挙です。飯守マエストロのおつしゃるとおり、ヤナーチェクは今やメジャーなオペラハウスではレパートリーですし。そして彼の作品で最初にどれか、ということになれば、以前二期会でも上演された「イエヌーファ」でしょう。指揮にはチェコ人のトマーシュ・ハヌス、歌手は新国「アラベッラ」が魅力的だったミヒャエラ・カウネ、なつかしい名前!のジェニファー・ラーモア、新国「サロメ」のヘロディアスなどでおなじみのベテラン、ハンナ・シュヴァルツなど。大半はベルリンドイツオペラで本作を歌っているメンバーだそうです。

 もうひとつの、そしてこちらは純粋に「新しく制作」するプロダクションは、「ウェルテル」。これまた待望のフランスものです。そう、フランスものも長い間欠けていたのでした。五十嵐監督時代にサッバティーニ!(あのころ「サバさま」人気でした)の主演で上演されて以来。フランスものやロシア・東欧ものと、欠けていたところが新制作に入ってきたのは嬉しい限りです。

 「ウェルテル」はキャストも贅沢で、指揮はなんとあのマルコ・アルミリアート。最近はメトのライブビューイングでおなじみですね。演出はベテランのニコラ・ジョエル。最近はパリ・オペラ座の監督をやってました。きれいだけど一癖あるプロダクションを作るひとだという印象です。歌手は若手中心ですが、タイトルロールにアメリカの若手、甘い声のマイケル・ファビアーノというのがなかなか魅力的。これがロールデビューだそうで、大抜擢でしょう。 飯守さんのたってのリクエストのようです。シャルロットのエレーナ・マクシモワも新鮮。アルベールは新国でおなじみのエレート、そしてソフィーに砂川涼子さんというのも楽しみです。

  再演演目も充実。ドル箱の11月「トスカ」はスペインのテノール、デ=レオン(2013スカラ座来日公演、演奏会形式「アイーダ」のラダメス役)、イタリアのベテラン・バリトン、フロンターリが出演。これもドル箱、1月の「魔笛」は指揮(パーテルノストロ)を除いてオールジャパンキャスト、佐藤美枝子さんの夜の女王が期待大です。12月の「ファルスタッフ」は、タイトルロールにスカラ座来日公演「リゴレット」でタイトルロールを歌ったガクニーゼ、フォードにやはりスカラ座来日公演「ファルスタッフ」で同役を歌ったカヴァレッティ(スカラ座来日メンバーが多いというのはそこで決まったのでしょうか?とこれは憶測。)。クイックリー夫人のザレンパはちょっとなつかしい名前、アリーチェのミコライは新国の常連ですね。指揮が売れっ子オペラ指揮者のイヴ・アベルだというのも楽しみです。

 キャストの豪華さでいえば、3月「サロメ」は注目。カミッラ・ニールンドのタイトルロールは贅沢です。ヘロデにクリスティアン・フランツというのも。ヘロディアス役のロザリンド・プロウライトもなつかしい名前!(1980年代にベローナで歌った「トロヴァトーレ」の映像は愛聴盤でした。) 

 とはいえ、今回のシーズンを通じて個人的に一番楽しみなキャストといえば、4月の再演「 アンドレア・シェニエ」を振るイタリア人指揮者、ヤデル・ビニャミーニです。

 この名前、見つけたときは驚きました。まだまだ無名だからです。なにしろイタリアでも、2013年のパルマ「シモン・ボッカネグラ」で注目されたばかり。それは聴きそびれたのですが、昨年秋のパルマ「運命の力」の指揮がとてもよく、これから要チェックの名前だと思いました。その後偶然、ミラノで「レクイエム」も聴けて。(ヴェルディ交響楽団)。イタリアの若手三羽がらす=マリオッティ、バッティストーニ、ルスティオーニに続いて出てくるだろうと想像していたのです(あとイタリアの若手で注目しているのは、オーレンの弟子のチャンパです。彼のほうがパリのオペラ座でダムラウ主演「椿姫」を指揮したりと、ビニャミーニより先に世に出ていますが)。

 もちろんフォークトだニールンドだと、定評のある一流の歌手を日本で聴けるのは嬉しいですよ。でも個人的にわくわくするのは、これから出てくるだろう、というアーティストをちゃんと聴けることなのですね。今回のキャストでは、なのでビニャミーニ。飯守マエストロ、「カリスマ性がある」とおっしゃっていましたので、お聴きになっているでしょう。

 「シェニエ」、歌手はこれもかなりおなじみ、カルロ・ヴェントレとヴィットリオ・ヴィッテッリ、そして前回のスカラ座来日公演でバレンボイム指揮「アイーダ」に出ていたホセ・シーリ。上江隼人さんがルーシェ役というのも頼もしいかぎりです。 

 シーズンの最後は日本オペラの定番「夕鶴」。これは名作だと思っていますし、日本人が初めて見るオペラには、実は一番いいんじゃないかと思っています。何より日本語がきれいだし(演劇台本をそのまま使っていることもあり)、音楽もわかりやすいし、コンパクトな物語だけれど「人間性」と「経済」の対立というテーマはとても普遍的(それこそ「指環」のテーマでもあるわけで)。今の日本に、必要な物語ではないかと思っています。

 劇場のサイトにアップされている新シーズンラインナップです。

 http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/150116_006190.html 

  

 






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最終更新日  January 16, 2015 06:08:35 PM


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