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加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

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July 4, 2015
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 6月半ばから出かけた「バッハへの旅」も、22日で終了。
 その後イタリアへオペラツアーをかねて行き、2日前に帰国しました。
 旅行中は何かと忙しく、隙間時間も仕事に追われていたため、鑑賞公演の感想ブログもアップできず。これから少しずつアップしていきます。
 
 まずは、 「バッハへの旅」の途中で見た、ドレスデン国立歌劇場(日本での名称。正式名称はザクセン州立歌劇場)の「フィガロの結婚」(新制作)の感想から。
 
  ドレスデン国立歌劇場は、ドイツのオペラハウスのなかでは一番好きかもしれません。外見も神殿のように立派だし、中もシックでゴージャス。規模も1300席と快適。何より音響がいいのが嬉しいのです。
 公演も、とかく過激な演出が話題になるドイツのオペラハウスでは、(観光客も多いせいか)音楽と演出のバランスがとれたものが多いように思います。演出もまあ、おおむねそう過激ではないし、音楽面ではとにかくオーケストラが素晴らしい。歌手のレベルも、専属も含めてかなりのものと感じます。
 
 今回の「フィガロ」、音楽的には満足度の高い公演でした。一番の立役者は、オマール・マイアー=ヴェルバの指揮。1981年イスラエル生まれ、まだ30代の若い指揮者ですが、ヨーロッパではよく出ています。ベルリンやスカラ座でバレンボイムのアシスタントを務めたキャリアも。音色(ドレスデン国立歌劇場のオケといえばドイツっぽいと言われますが、これほどピリオド風の音色になるとは)もスピード感、テンポ感もピリオド風の、風通しのいい、生気あふれる演奏。通奏低音(チェンバロとフォルテピアノ)も自分で担当し、自在な即興演奏(モーツァルトの「レクイエム」の旋律を混ぜたり)で聴衆を沸かせていました。最後の幕では、アコーディオンを手にして「ばら色の人生」を奏でる一幕も。ヴェルバは作曲家でもあるそうなので、即興的なことはお得意なのかもしれません。
 専属アンサンブル歌手もまじえた主役陣も、一定のレベルをキープ。とりわけケルビーノ役のクリスティーナ・ボックは、艶と深みのある個性的な声、伸びもあり、今後のレパートリーの拡大が楽しみに感じられる歌手でした。伯爵役のクリストフ・ポールもうまかった。
 
 問題は、やはり演出でした。
 ヨハンネス・エラートによるプロダクションは、バロック時代のイタリアの伝統的喜劇、コンメディアデラルテの舞台から始めて、幕ごとに時代を下っていく設定。第2、第3幕はロココ時代、第4幕は20世紀の後半(ほぼ同時代)、場末のミュージカルのような雰囲気です。それはいいのですが、第4幕ではレチタティーヴォセッコをすべてせりふに変え、しかもせりふの内容もかなり手を入れている。音楽も、慣習的なカットも含めてかなりカットしていました。結果、ドラマのスピード感は増しましたが、うーん、こんなに台本や音楽に手を入れていいものでしょうか。ドイツではこの手の演出はかなり一般的だともききますが、個人的にはまだまだ抵抗があります。
 案の定、カーテンコールでは演出家にかなりのブーイングが出ていました。自由に意思表示するドイツの観客、私は嫌いではありません。 





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最終更新日  July 4, 2015 11:12:26 PM


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