3329541 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

加藤浩子の La bella vita(美しき人生)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
December 31, 2017
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
今年もこのブログをご訪問くださり、ありがとうございました。
今年海外で体験した公演のベスト5をあげさせていただきます。
国内の公演については、今年分から「音楽の友」誌のコンサートベストテンに寄稿させていただくことになりましたので、そちらをご覧いただければ幸いです(1月発売の2018年2月号です)。

1 モーツァルト「皇帝ティトの慈悲」 ザルツルブルク音楽祭
2 ヴェルディ「オテッロ」ロイヤルオペラハウス カウフマン主演 パッパーノ指揮
3 リヒャルト・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」 グラインドボーン音楽祭 マイスター指揮
4 ヴェルディ「ドン・カルロス」パリ、オペラ座 ジョルダン指揮 カウフマン主演
5 バッハ「ヨハネ受難曲」 ソロモンズ・ノット・バロック・コレクティヴ アルンシュタット、バッハ教会

1については、このブログを含めていろいろ書きましたので、ここでは省略いたします。
2は、イタリア・オペラにおけるカウフマンの魅力にめざめたという点でも、画期的な公演でした。共演のアグレスタ、ウラトーニャも素晴らしかった。
3は、知らない歌手ばかりでありながら(不勉強ですみません)、グラインドボーン音楽祭のレベルの高さを改めて思い知った公演でした。
4は、初演版「ドン・カルロス」を、初演劇場であるパリ・オペラ座で、万全のキャストで上演できたという点に敬意をこめて。
5は、イギリス発の話題のグループが、アルンシュタットの小さな教会で、丁々発止の本領発揮!的な公演を聴けたということで。

そして、国内のコンサートですが、「ちらしに宣伝文を書いた」ため、「音楽の友」誌の企画に推薦できない、ダムラウ(とご主人)のリサイタルについて、以下にフェイスブックの記事をはりつけます。本当は友誌のベストテンに入れたかったのですが。

魅惑のディアナ・ワールド
魅惑の」という形容詞が、今現役の歌手で一番似合うひと。
昨夜の、ディアナ・ダムラウ(夫君のニコラ・テステもジョイント)のコンサートを聴きながら、何度もそう思いました。日本で一夜限りの特別な夜は、早々にソールドアウト。その聴衆の期待に、ダムラウは最大限に応えてくれました。
彼女が舞台に登場した時の拍手の、尋常でない熱と盛り上がりように、「この夜を待っていた」という客席の期待があらわれていました。大きな理由は、やはり2011年の震災の年に来てくれたこと、そして、それ以来6年半ぶりの来日だったことでしょう。みんな、待っていたのです。
繰り返しですが、ダムラウは、その期待に十二分に応えてくれました。とにかく、歌はべらぼうにうまいです。何より先立つのは「声」の魅力。立体的で懐が深い。そして実に幅が広い。七色。いえ千変万化。まさに魅惑の声。深くて広くて薄くて濃くて細やかで大胆。そしてもちろん、ピュアで美しい。それを保ちながら、瞬時にくるりと変わっていく。こんな声の持ち主が、現役で他にいるでしょうか。すごいテクニックです。そして、ステージマナーがまたとほうもなくチャーミング。舞台に登場する時からウキウキと役柄に入り込み、ドラマを感じ、P席も含めて全方位の客席に同じように振る舞い、歌うことの幸せを全身から放射し(その背後にはものすごい努力があることでしょうけれど)、娘のように愛らしい。曲はロッシーニ、グノー、ベッリーニ、マイアベーア、ヴェルディ。最初のロッシーニ「セビリヤの理髪師」の「今の歌声は」は、ちょっと苦しげなところもありました。ブレス音がかなり聞こえ、アジリタがちょっとすべったり(これは「椿姫」のアリアでも多少)。ただ、それを補ってあまりある「声」の無限の表現力というのはすごかった。
プログラムが進むにつれ安定していきましたが、「セビリヤ」は正直、彼女の今の声(重くなった)ではちょっと難しくなっているかもしれません。
一番安定していたのはマイアベーア(「ディノーラ」のアリア)。ベッリーニ「カプレーティとモンテッキ」や、「椿姫」第1幕のアリアもよかった。「椿姫」は6月にミュンヘンでも聴きましたが、総合的にみて、現役最高のヴィオレッタかも。最後を高音にあげなかったのは、やはり声が重くなり、高い音がきつくなっているせいでしょう。唯一ひっかかるのは、ブレス音が、たとえばデヴィーアとかバルトリ(完璧!)に比べるとかなり激しいこと。。。。。バルトリの人間技とは思えないブレスコントロールに慣れて?しまっているせいか、気になるところではあります。(ブレス音はネトレプコも結構激しい)。
衣装も素敵。マゼンタピンクの裾が広がったドレスと、黒に銀色のラメを散らしたすとんとしたドレスの2着でしたが、前半で2着披露して、この調子だと4着か!と身構えたのは誤りで(あんまり衣装をとっかえひっかえされるのは苦手なんです)、後半は再びピンクの衣装に戻り(こんなケースも珍しい。初めてかも)、そして途中で、ピンクドレスに前の黒ドレスからストールと手袋だけつけたして、お色直ししてでてきました。胸にはクリスタルなブローチも輝き、ヴィオレッタらしい華を添えてくれました。
ご主人のテステも、ロッシーニからヴェルディからワーグナーからポンキエッリまで歌いまくるサービスぶりで(「ドン・カルロス」のフェリペ2世のアリアをフランス語で歌ってくれたのはよかった)、本プログラムが終了した時点ですでに9時半。なのに続いてアンコールを3曲。アンコールの1曲めで、「春よ来い」を日本語で歌い始めた時は、ホールの空気にぱあっと桜の花びらが舞ったような華やかさが。2曲めは夫婦共演で「ポギーとベス」の二重唱、そして最後はアンコール定番の「私のお父さん」で締め。客席は総!スタンディングオベーション。終演は10時近く。ダムラウの登場時に感じた、舞台と客席の間の温かな空気は、華やかにゆっくりと沸騰し、カーテンコールで理想的な頂点に。「ディアナ・ワールド」にどっぷり浸った一夜でした。
終演後、オケ(東フィル)で舞台に乗っていた、東フィル首席クラリネット奏者のアレッサンドロに会いに楽屋に行ったら、ラッキーなことにダムラウにもあいさつすることができました。ダムラウのオペラ全曲を初めて聞いたのは2008年、ドレスデンの「リゴレット」。フローレスが公爵デビューで話題になった公演でしたが、どちらかというとダムラウのほうに釘付けになった夜でした。ドレスデンの劇場のひとが、「ドイツでナンバーワンのソプラノ」だといっていましたが、それから10年。世界のナンバーワンへと上りつつあることを確認。2011年にメトで初めてインタビューさせてもらって以来、2015年にもメトで「マノン」の後にインタビューさせてもらったり、「椿姫」をミュンヘンで2回見たり、それなりに公演や本人に接してこられたのは、本当に本当に幸運なことだ、と、輝くような笑顔に酔いながら思いました。
アレッサンドロも、彼女の素晴らしさにすっかりノックアウトされていたようで、うっとり状態。甘い音色のクラリネットと、七色のソプラノ、見事なかけあいを聴かせてくれた2人のツーショットは、幸福感に満ちていました。

来る年がみなさまにとって、素晴らしい1年となりますように。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  January 1, 2018 09:33:16 PM


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

プロフィール

CasaHIRO

CasaHIRO

フリーページ

コメント新着

バックナンバー

June , 2024

© Rakuten Group, Inc.