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カテゴリ:W
恒例にしているので、仮面ライダーWの総括をしようと思います。
1話の時点で私の好みのテーストであるという事は書きまして、最初から期待の方が上になるライダーを観るのはいつ以来だろうかというような扱いをしましたが、その時点の期待を大きく上回る作品でした。 良かった作品というのは、総括しようと思うと逆に難しいというか、褒める事の羅列になってしまい、とっちらかった形になってしまうというか、ライダーに関しては、ここ2作品批判的な所がはっきりしていたため、総括としては書きやすかったなぁと思ったり。 今回のライダーの特徴はいくつもあるとは思いますが、ハードボイルド探偵という伝統的な手法をライダーに持ち込んだ事、2人で1人の仮面ライダーという形で相棒である事を強調した事、風都という架空の都市を作る事によって、舞台を有効に使ったという事、かなりざっくりと分けるとこういう風に分ける事ができるかと(特徴の分け方はそれぞれ思う所はあるでしょうが) まずハードボイルド探偵のフォーマットをライダーに持ち込んだ事について。 メインのプロデューサーの塚田Pはデカレンジャーで似たような事を成功させていたために、始まる前から一定の水準は超えてくれるだろうと期待していました。 個人の趣味としてもハードボイルドはあまり触れてはいませんが、探偵もの推理小説は好きだからそれだけで楽しみだったというのもありますが。 探偵という設定によって、基本的には依頼を受けそれを解決するという話の流れが毎回のお決まりになりましたし、2話完ものとしてすっきりとした作りが出来たというのは大きいと思います。 他の作品と比較するのはどうかと思いますが、平成ライダーの大半が大きな謎を放り込んで、その謎を引っ張る事によって物語の興味を抱かせようというやり方でありながら、最終的に多くの伏線を放り投げっぱなしになってしまった事を、非常にいらつかされたために、1つのエピソードで事件を解決し、その中に少しづつ園咲家という存在の伏線を過不足なく織り込んでいたWは非常に安心して楽しめる構造をしていました。 探偵ものということで、警察や情報屋を準レギュラーという形にして、メインを張るわけではないんだけども、サブキャラとして存在感を出すように配置されていたのも、最初からサブキャラとしっかりとしている分、すっきりしていて良かったですかね。 そして、2人で1人のWという相棒としての存在の大きさが常に強調されてきた事は、最終回直前のフィリップ消滅に至るまでに涙をさそったわけですが、この相棒の役回りが、外回りの担当でハードボイルドを気取っていながら情に簡単に流されてしまう優しさの持ち主なハーフボイルドの翔太郎。 最初のうちは外に出ないで安楽椅子探偵の変化版ともいえる知性担当で、記憶がない事もあり人の感情については欠如しているものが多かったフィリップ。 相棒として互いに補完しあっている関係は初期設定からしてよかったですね。 また2人で1人という事で真ん中から半分で別々の色になっているキカイダー?っていうインパクトの強い変身後の姿も、最初は突飛でしたし、またフォームチェンジも最初から左3種類、右3種類の3×3の9フォームあるという事で、上手く話の中で使いこなせるのか危惧していたものも、全てのフォームにおいて、一定以上の活躍はありましたし、きちんと用途別に使われていたのは嬉しいものでしたね。 基本フォーム以外にもファングジョーカーはフィリップの体で戦うという事で話に幅が作れるようになりましたし、エクストリームは・・・まぁフォームとしての思い入れは私個人は少ないのですが、フィリップ消滅のシーンは2人で1つになっているからこそできたものですので。 個人的にはこれが一番大きかったのかなというのが風都という架空の都市を設定したという事かなと思っています。 正義と悪、どうしても真正面からこのことについて扱おうとすると正義というものが胡散臭くなってしまうのが現在だと思います。 しかし、ヒーローもので正義というものを取っ払ってしまう事は出来ない事ですし、じゃあ正義ってなんだよと言われた時にしっかりとした答えを、少なくともその作品世界においての正義というものを用意しないといけないと思います。 この作品において、翔太郎やフィリップをはじめとする面々の正義は、自分の愛する街である風都を泣かせるような事をする奴は許さない!これに尽きるでしょう。 私はローカルな人間ですので、こういう自分の住んでいる街を愛するという態度はストライクど真ん中になります。 また、これを架空の街にした事によって、日本全国どこに住んでいる人も、特定の街についてのものではないという事で、素直に感情移入が出来たのではないでしょうか? しかし、街を愛する心があれば何をしてもいいのかというのが、一方にはあります。 他人を犠牲にしても街を思う心があれば、それで良いのではないかと突っ走ってしまった存在が、園咲家に婿入りした霧彦という存在になると思います。 彼は小学生時代にふうと君のデザインに応募し、採用され、それを誇りに思うくらい街を愛していた存在であり、おそらくその気持ちは翔太郎と同じくらいの大きさを持っていたはずです。 しかし、ガイアメモリによって風都の街は進化をするという言葉を額面通りにうけとめ、そのためには多くの犠牲を出そうとも仕方がないという所にまでいってしまった、ある意味正義を履き違えたために、実は愛するはずの風都という街を泣かせていたと。 霧彦というキャラクターの早すぎる退場は、早い段階で風都という舞台を強く印象つけましたし、翔太郎が戦う理由として強く刻まれたのではないかと。 また、入れ替わるように風都という街を憎んで登場した、2人目の仮面ライダーの照井も風都という街にこだわりがあるからこそ、生きていたと思います。 家族を惨殺されつらい思いがあるからこそ、その街を憎んでいたのは、愛する街だったから、そこに愛する家族がいたからこその裏返しであり、家族に対する復讐心が収まった後、街を愛する気持ちに戻れたという事は、1つのハッピーエンドであるとも思えます。 園咲家は街を泣かせる形の諸悪の根源とも言える存在ではありましたが、ガイアインパクトというものに取りつかれたがための悲劇だったと。 元々は仲の良い家族であったのが、選ばれた家族という選民思想のようなものになってしまいましたが、これもまた風都という街に対する歪んだ愛情であったと、決して悪事そのものが目的ではなかったのが、結果として悪事以外の何物でもないところにまで突き進んでしまったものだったと。 細かくすると個別エピソードにまで関わってしまって、いつまでも尽きない感じになりますが、物語も力技もちょくちょくありましたが、むしろそれがいいという所にまでなっていましたし、シリアスも単にシリアスだけではない、コメディもただ笑っておしまいだけではい(それだけのエピソードもありますけどもね)本当に楽しませてもらいました。 探偵事務所の3人翔太郎、フィリップ、亜樹子は全員がボケとツッコミ両方が出来るというか場合によって入れ替わるのが全く違和感なく出来上がったチームでしたし、途中参加の照井もいつのまにかなじんでいるという格好になったのが、非常にはまっていて良かったですね。 結局、総括と言いながらとっちらかったものにしかならなかったですね、褒めるべき書く事が多すぎるという事はそれはそれで困ります、嬉しい悲鳴というのはこういう事なんですね。 しかし、こういった形で総括するようなものは大歓迎ですので、続編を本気で作ってくれないかなぁと1年間楽しませてもらいましたが、もう1年この作品で楽しませてもらいたいと本気で思っていますから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年08月29日 16時17分17秒
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