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カテゴリ:地図・位置情報サービス
株式会社ダイヤモンド社より毎週月曜日に発売されている、経済・金融・企業情報をタイムリーに伝えるビジネス誌、『週刊ダイヤモンド』。
11月12日に発売される11/17号の特集は『カネを生む地図』10兆円市場の全貌 アップルも参入「地図」を制するものがビジネスを制す! 特集の読みどころは下記のとおり。 グーグルの地図サービス「グーグルマップ」には「交通状況」という渋滞情報の表示機能がある。 道路が「低速」から「高速」までの4色に塗り分けられ、その時点の交通の流れを示す。曜日や時刻を設定すれば、その時間帯の典型的な交通状況も教えてくれる。 このリアルタイムの渋滞情報はどうやって収集されているか、ご存じだろうか。 実は、街を移動しているアンドロイド(グーグルの携帯電話向けプラットフォーム)のスマートフォンを使っているユーザーの位置情報と速度データを、グーグルは常に収集している。 その大量のデータを計算処理することで、リアルタイムの交通状況を表示しているのだ。 ただし、アンドロイドユーザー全員ではない。 「マイ・ロケーション(現在地)」の機能を有効にしている人のみだ。 当然ながら、ユーザーの数が増えれば増えるほど、情報の精度は高まる──。 アップルは9月21日に新型スマートフォン、iPhone5を発売した。 アップルはこれまで、iPhone用の標準の地図アプリ「マップ」では、グーグルマップの地図データを使用していたが、このiPhone5から、独自開発の地図に切り替えた。 ところが、この新マップの出来は散々で、地名や道路の情報が少なく見た目にもスカスカな上、表示されている地名の位置や表記が間違っているケースが相次いだ。 「お客さまにご迷惑をおかけしていることに対し、心よりおわび申し上げます」 アップルのティム・クックCEOは自社製マップの発表から9日後、異例の謝罪メッセージを発表した。 改良に取り組む間の代用品として他社の地図アプリを名指しで推奨するなど、いつもの自信満々な態度はどこへやら。地図責任者の上級副社長の退任も決めた。 「最高の体験を届ける、世界で最高レベルの製品を作ること」を標榜するアップルが、なぜこんな・出来損ない・を世に出したのか。何より、なぜグーグルマップとたもとを分かったのか。 その答えは、冒頭のアンドロイドの事例から読み取れる。 いまやスマートフォンには必ず、GPSやWi-Fiなど、位置情報を検知する機能が付いている。 スマートフォンのユーザーが今、どこで何をしているかは容易にわかるのだ。 そして、スマートフォンのユーザーが増えれば増えるほど、生活者の位置情報は蓄積され、ビッグデータという宝の山と化す。 ただし、GPSのログなどの位置情報は数字の羅列にすぎず、それ自体には何の意味もない。 ところがこれを地図というプラットフォームに落とし込んだとき、急にデータは視覚化され、意味を帯びてくるのだ。まさに、グーグルが道路を4色に塗り分けたように、である。 ユーザーの位置情報を取得できるスマートフォンという装置を握っているアップルだからこそ、同じ立場のグーグルに地図というカネを生む舞台を牛耳られるわけにはいかなかったのだろう。 同じく、ウィンドウズ8という新OS(基本ソフト)を引っ提げ、パソコン、タブレット端末、スマートフォンでアップルを追撃しようと目論むマイクロソフトもまた、地図というプラットフォームに興味を示している。 マイクロソフトの検索エンジン「Bing」で展開する地図サービスは、包括的な戦略提携関係にあるフィンランドのノキアがパートナーだ。 ノキアは2007年にデジタル地図データの米ナブテックを買収し、世界有数のデジタル地図製作会社となっているだけに、このマイクロソフト陣営も、世界の「デジタル地図戦争」の有力プレーヤーの一角といえる。 振り返ればグーグルは、04年10月に買収したオーストラリアのWhere2テクノロジーズという会社の技術をベースにグーグルマップをかたちにし、05年にサービスを開始した。 世界中の衛星写真を閲覧できる「グーグルアース」の基となる技術を持った米キーホールを買収したのも同じく04年10月である。 そしてやはり1年後にサービスを開始した。 あれからわずか数年で、グーグルが今の地位を獲得したことを考えれば、この世界は技術のタネを見つけ、それをいかに早く自らのものにするかというスピードの勝負であることがよくわかる。 地図を制する者が、デジタル世界の覇権を握る──。そういっても過言ではないくらい、これからしばらくは、この分野で激しい戦いが繰り広げられそうだ。 (財形新聞より) ---------------------- こうして俯瞰すると地図が非常に希望に満ちたビジネスに見える。 実際にAppleのiOS6地図騒動のおかげで地図に対する関心の高まりも見られる。 しかし実際のところ、地図ビジネスにおける主役の座はもはや一部企業の独占状態にある。 地図業界全体が希望に満ちているのかといえば、残念ながらそうではない。 時代の流れは位置情報をトレンドへと押し上げた。 現在の地図はそのプラットフォームという位置づけにある。 ここで紹介されている各陣営もそのあたりを意識していることは間違いない。 地図は地図のようで、もはやこれまでの地図とは違う。 世の中のビッグデータ指向が強まれば強まるほどに、プラットフォームとしての地図は意味を持つことになる。 (個人的には(現状のような)ビッグデータが本当の意味でどれだけの価値を生むかは未知数で、結局のところ使い方次第だと思っているのだが) データの精度についての考え方も、これまでとは変わって来るだろう。 これまで以上に時間精度が重視され、位置精度そのものは用途に応じてどちらかといえば現在より緩くなり、異なる位置精度を持つ情報を交換するためのマッチングツールを使用するのが主流になるのではないか。 空間系でいえば現在検討されている場所情報コードなど、ネットワーク系であれば道路区間IDなどがそれに該当する。 また、今後はIMESなどの屋内測位の進化に伴い、地下空間や屋内空間のプラットフォーム需要が高まることになるだろう。 整備が進めばマーケティングや防災にも使える重要なインフラになることだけは間違いないだろう。 可能性は限りない。 問題はむしろビジネスモデルで、位置情報を席巻する巨人たちに割って入るとすれば新しい発想が出てくる必要がありそう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.13 00:58:11
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