カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、貫井徳郎さんの「
迷宮遡行」です。 「烙印」を改稿した作品になります。 ●あらすじ 妻に置手紙を残して失踪された夫である迫水。彼は妻を見つけるためにわずかな手がかりを元に人を訪ね歩く。なぜかヤクザに後をつけられていることに気が付いた迫水は警視庁捜査四課の兄に相談に行く。 ●簡単な感想 「情けない」と評される主人公ですが、楽天家で明るい人なのでうじうじすることはありません。 はじめは普通の人探しだったはずが、日本最大勢力のヤクザが絡んできて、主人公も大変な目にあったりします。 脅されても屈しない精神と奥さんへの情熱はすごいと思います。 以下はネタバレを含む感想です。 「烙印」についても触れています。 読まれた方は反転してご覧ください。 後東さんの出来事を境に非常に重い話になってしまいました。 奥さんの判断はそこまでおかしいとは思いませんが(主人公や主人公の兄に迷惑がかかるのは事実だと思うので)結果的には残念なことになってしまいました。あれだけ探していた奥さんの自殺を止められなかったことで、主人公の深い悲しみがわかります。主人公の未来も明るくはない、というよりはすぐに自殺してもおかしくはないと思います。誰も幸せになれなかった話でしたが、過程は楽しく読めました。 「烙印」も読みました。奥さんが冒頭で自殺していたところ、主人公の職業、性格が違うところ、主人公の兄が登場しないなどの違いがありました。主人公の性格は「迷宮遡行」の方が良かったです。「烙印」の主人公は「迷宮遡行」の主人公の兄のような性格でした。 悲劇性は「迷宮遡行」の方が上でした。後東さんを自分から巻き込んだか、後東さんが自分から参加したかの違いは結構大きいと思うので。奥さんを殺すよりも自殺する奥さんを止めなかった方が辛そうですし。ただ、烙印の展開をなぞるのであれば主人公は「迷宮遡行」でも自殺しなさそうです。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.10.04 22:59:07
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