カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、小島正樹さんの「
武家屋敷の殺人」です。 ●あらすじ 孤児院に捨てられていた静内瑞希が、弁護士である川路弘太郎に自分の家を探したいと依頼する。妹が人を殺したという内容を含む、瑞希の伯父と思われる人物の日記を手がかりに、友人の那珂邦彦と共に奔走しはじめた。 ●簡単な感想 江戸時代、二十年前、現在とそれぞれの事件の謎が順に解けていきます。 家を見つけるまでも、それ以降の事件も丁寧に書かれているのでわかりやすかったです。 他の作品も読んでみたいと思いました。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 人物紹介の才藤さんが正直すぎです。「どこが困窮者なんだろう」とはじめは不思議でしたが、あまり深く考えませんでした。 貴親さんが、ほとんど対面していない妹に惹かれる理由が弱かったように思います。何かきっかけがあれば納得もいったのですが。ただの一目ぼれかもしれないですが、人が苦手な貴親さんが変装までしてバー通いをするというのもいつの間にそんなに、と思いますし。 才藤さん=貴親さんは思いもしなかったです。妹が自分を陥れようとした時点で見限っても良さそうなものですが。妹の計略に乗るメリットも貴親さんにはあまりないと思いますし。 本物の才藤さんからの電話を日記に書いたのも謎です。貴親さんには電話の理由もわかっていたわけで、わざわざ書く必要はなかったと思いますし。 怜子ははじめは遠慮深かったのに、どんどん調子に乗っていくキャラで残念でした。怜子も被害者かのように書かれていましたが、しっかり加害者だと思います。赤貧暮らしからお金持ちになったからといって、みんながみんな散財するわけではないですし。あげくに自分が殺しておいて貴親さんのせいにするとか、兄も恋人もあっさり捨てられるとか、いくら心が壊れたとはいえ登場時にはちゃんと話してましたし、那珂さんの実の母親に比べればずっとしっかりしていそうです。それで過去の罪がなかったかのように幸せになります、というのは納得がいきがたいです。貴親さんが瑞希さんたちのためを思って命を絶ったことに比べると甘すぎるというか。いろんな作品を読んでみると、女性と子供には基本甘い人が多いのかなと思います。法的に裁けない年齢の子供はともかく、それ以外は区別するのもおかしな話だと思います。 岸積さんは友達は普通にいるのですから、友達に頼れば良かったと思います。言いにくい話でしょうけど、早い段階で相談していればそれほど怜子が傷つくような話でもないですし。もっときちんと手紙を書くとか。それをすると話が成り立たないですが、それならそれで友達もいない設定にすれば良かったように思います。いい人だけど裏目に出たレベルの話ではなかったので。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.06.11 22:07:54
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