カテゴリ:ミステリー
本日ご紹介するミステリーは、貫井徳郎さんの「
追憶のかけら」です。 ●あらすじ 大学で講義をしている国文学者の松嶋は妻を事故で失い、一人娘は不本意ながら妻の実家に預けていた。なんとかして娘を取り戻したいと思っていた松嶋の前に、戦後に短編を数本発表した後に自殺をした佐脇依彦の手記があると持ちかける人物が現れた。 ●簡単な感想 佐脇さんの手記が良かったです。とても面白くて引き込まれました。 長い話ですが苦にならずに読めました。お勧めです。 以下はネタバレを含む感想です。 読まれた方のみ反転してご覧ください。 騙している相手が誰なのか、最後の方まで緊張感が持続して楽しめました。山崎さんさえ疑いましたが、真犯人は疑いませんでした。 松嶋さんの落ち込みぶりが真に迫っていて読んでいて辛いくらいでした。楽観的なところもあるので重くなりすぎないのも良かったです。 春子さんの最期は可哀想でしたが、あれほどの嫌がらせをする理由には弱いと思いました。子供のことで嘘をついていたのは春子さん自身なわけですから。その家のお手伝いをしていたというだけであんな目に遭うことになった扶実子さんが特に悲惨でした。 手を下した本人はのうのうとしているのは残念です。癌でも家族に惜しまれながら亡くなるのでしょうし。 松嶋さんにとっていかに咲都子さんが大事なのか、咲都子さんにとっても松嶋さんがとても大事だとわかっただけに青木さんの件は蛇足に思いました。亡き妻を想い続ける必要はないわけですし、新しい出会いがあってもいいとは思いますが、それは未来に期待で十分だった気がするので。 以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.07.19 21:19:53
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