大人のための美健塾

新年あけましておめでとうございます。
更新が滞りがちですが、本年もフィトテラピーを中心に大人世代のための「キレイ」と「健やか」に関わる発信を地道に行っていきます。
どうぞ変わらずお付き合いくださいませ。

新年早々から昨年のこととなってしまいますが、先月、新しい形でのお教室「大人のためのフィト美健塾」を開始いたしました。
一回目の座学のテーマは「風邪とフィトテラピー」。
予防とごく初期の症状改善に役立つ精油とハーブの使い方をご紹介。
また後半の実習テーマである「チンキ剤を使ったしっとりローション」の導入としてチンキ剤をご紹介。
皆さんにも実際にエキナセアのチンキを作成していただきました。

チンキ剤は度数35度以上のアルコールにハーブや生薬を漬け込んで成分を抽出したもの。
英語名の tinctureはもともと染色・着色を表す言葉だそう。
その原義の通り、溶液に溶け出す草花の色が楽しめるのも特徴ではありますが、何と言っても両親媒性であるアルコールに漬け込むことで親水性・親油性どちらの成分も得ることができるのが魅力と言えるでしょう。

この時期に用意しておくと安心なのが何と言ってもエキナセアのチンキでしょう。
キク科の植物であるエキナセアは免疫力向上効果が古くから知られているハーブ。
風邪予防にはティに10滴ほどたらして飲んだり、薄めてうがい液などで使うのがお薦めです。
また、セージやタイムのチンキもうがい薬に向いていると言えましょう。
お料理でおなじみのタイムですが古くから去痰作用が知られています。
またチモール・カルバクロールと呼ばれる精油成分には高い殺菌力があることも知られており、予防目的としての使用もお薦めです。

今回は化粧品の基剤としてもハーブや生薬のチンキ剤を８種類用意しました。
参加してくださった皆さんに好きなチンキ剤・精油・芳香蒸留水を選んでいただきオリジナルのローションを作っていただきました。
それぞれ個性的な機能と香りのローションが出来上がりましたが、中でもユキノシタとフランキンセンスのチンキ剤のは個人的に是非、試してみたい組み合わせでした。


チンキ剤の基本は10％濃度での仕上げになります。
【作り方】
密封性のあるガラス瓶を用意し、煮沸後、完全に乾燥させます。
お好みの生薬やハーブ10gを準備した瓶に投入。その上からウオッカや無水エタノールなど35度以上のアルコールを100ml注ぎます。
ハーブや生薬がしっかりと溶液に浸っていることを確認したら、しっかりと蓋をして冷暗所に。
一日一回フリフリし、２週間ほどたったらガーゼやコーヒフィルターなどで漬け込んだハーブや生薬を漉したら出来上がり。
濃度を考えない場合は、瓶の６割ぐらいまでハーブや生薬を加え、ひたひたに浸るまでアルコール液を加える方法でも良いでしょう。
いずれにしても、しっかりと溶液に浸っていることが大切です。
また、水分が混ざると腐敗してしまいますので必ず瓶は完全に乾燥させましょう。

飲料ができるウォッカで作るのがお薦めですが、ローズマリーは化粧品の基剤にする場合、無水エタノールの方が良いでしょう。
ローズマリーに含まれるウルソール酸はシワにアプローチできる成分と言われていますが、無水エタノールでないと抽出ができないと言われているためです。
またフランキンセンスなどレジン類で作る場合は２週間待つ必要はありませんが、上澄みをすくって使うようにしましょう。
フランキンセンスの精油はエキゾチックでちょっとよそ行きな感じの香りですが、チンキ剤は生姜糖を思わせるちょっと懐かしい香りがします。

高価でちょっと手が出ないレアバリュー精油、たとえばローズもドライローズや生のお花でチンキ剤を作ることで代用することもできます。

ハーブはティとして飲むだけではなく、いろいろな応用ができますね。
今後もいろいろな活用をさがし、ご紹介していきたいと思います。