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カテゴリ:人形遣い
彼の名は、三八九 聖(さばく きよし)。20代後半の独身。職業はオカルト作家という微妙な人であるが、評判は悪い訳でもなく、性格も悪くない。剣吾達にもいろいろと世話をしてくれる優しい人だ。
「普通、マリオネットに刃なんか仕込んでないし、テグスもこのマリオネットから放出されたものだろう。誰かに操られている訳でもなく、機械的に動かされていたわけでもない・・・・・・。」 ふと葵が恐々マリオネットの部品を拾うと、あることに気付いた。 「あれ・・・・・・マリオネットに、指輪・・・・・・?」 蝶番(ちょうつがい)が仕込まれた左太股の部品と見られる所から、小指にはめるものなのだろうか、小さめの指輪が出現した。 「それをはめると、人形が操れる・・・・・・なんてね!」 和希が冗談半分で言っている間に、葵がその指輪を小指にはめていた。 するとどうだろう。葵が持っている指輪の入っていた太股の部品が手から離れ、バラバラになっているマリオネットの部品が掻き集められている所から十数個の部品が宙を舞い、やがて1体のマリオネットが元の姿に戻った。 「あら、これ私が使ってたマリオネット。すっかり元通りになっちゃった。」 その姿を見た聖は奇声を上げながら部屋を出て行った。オカルトのネタが思いついたらしい。聖はこういうことに敏感で、性格がガラッと変わる。 「コンニチハ・・・・・・。」 「わっ!喋った?!」 剣吾が驚く様子を見ると、そのマリオネットは話し始める。 「イキナリ壊スナンテ、ナカナカ人間モヒドイ事スルンデスネ。アタシノ名前ハ蔀(しとみ)。人形種ハ偵察人形。マタノ名ヲ『スパイドール』ッテイウンヨ。」 葵がヒクヒクしながら聞いてると、その茜とか言うマリオネットは、他のバラバラになった2体のマリオネットを見てびっくり。 「ナ、ナンテコトスルノヨ!オトコ2人ガバラバラジャナイ!ホラ、アタシト同ジヨウニシテ、アノ2人モ元ニ戻シテヨ!」 その言葉に剣吾と和希は驚き、辺りに蝶番の付いた部品がないか探した。 「おっ、あったあった。これだな。」 和希がその部品を開けると、やはり指輪が。この指輪は中指に付けるのが良さそうだった為、和希は中指に装着した。 すると前と同様部品が集められ、また1体のマリオネットが元の姿に戻った。 「フウ・・・・・・ヤレヤレダナ。・・・・・・ン?オ前ガ俺ノゴ主人様ッテ訳カ?マァイイダロウ。俺ノ名ハ命狩(めいが)。人形種は殺戮人形。マタノ名ヲ『キラードール』トイウ。」 そう説明してる間に、剣吾も指輪を発見し、薬指に装着。残りの部品が宙を舞い、3体目のマリオネットが完成した。 「オヤ、ハジメマシテ!僕ノ名ハ陽炎(かげろう)。アナタガ新シイゴ主人様デスネ?ヨロシクデス!」 どうやら、持ち主と人形の性格がよく似るようだ。 「チナミニ、自分ノ人形種ハ暗殺人形。『アサシンドール』デス。」 3体の人形をよく見ると、繋ぎ目が消えている。見た目は人間そっくりで、口調がおかしい所以外は、普通の人間と瓜二つであった。 「サテ、アタシラヲ覚マシテクレタコトニハ礼ヲ言イマスワ。ホンマ、アリガトサン。ホヤケド、アンタラニハチョイトシタ『シケン』ッテノヲ受ケテモラワナ、アカンノヤ。『人形遣いとして』ノナ。」 蔀の言葉を聞いて、和希が反応した。 「ちょ、ちょっと待てよ。・・・・・・何?『人形遣い』としての試験って。」 その一言を聞いた3体は動揺し、陽炎が答えた。 「エッ、貴方達ハ『人形遣い』ニナリタクテ僕達ヲ覚マシタンジャナイノデスカ?」 こちらにとってはよく分からない発言に、あたふたするばかり。 「マァ、俺達ヲ覚マシテシマッタコトハ、ショウガナイ。『人形遣い』ニナッテモラッタ方ガ話ガ早ソウダ。既ニオ前達ハ俺達ヲ操ル為ノ『リパルリング』ヲ装備シテシマッテイル。ソノ指輪ハ、「死ぬまで」外ス事ハ出来ナイダロウ。コレカラ、スグ近クノ駅ノプラットホームニ来テモラオウ。ソコデ、『午後5時23分に3番線から来る【葬謁知高鋼車(そうえつちだかこうしゃ)】』トイウモノニ乗ッテモラウ。一般ノ人間ハ、ソノ電車ハ見エナイ。一応無料デ通過デキルヨウニシテオイテヤロウ。」 命狩はそう言い伝えると、その場に座った。 「一ツ聞クガ、オ前達本当ニ何モ知ラナインダナ?」 剣吾たちが頷くと、命狩や蔀、陽炎が自分の持ち主の前に立った。 「ンジャァ、5時23分ガクルマデ、僕達ノコトヲ少シ学ンデオイタ方ガイイネ。チョット練習シニ行コウカ!」 3体のマリオネットは、それぞれの主の体に装備された。命狩は和希の左肩、蔀は右膝、陽炎は左手に。 (ソレデハ、イツモ行ッテイル学校ヘ!) 剣吾達は自転車に跨(またが)り、学校へと足を運んだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.04.07 23:46:45
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