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カテゴリ:きいろいとり と しろいとり
前回までのおはなし レースがスタートして3日目の朝を迎えました 1日目 2日目ととても良いお天気で しろいとりは順調に飛行距離を伸ばしていました この頃になると スタートの時に一緒に飛び立ったあんなにたくさんの鳥達は いったい何処に消えてしまったのかと思うほど 辺りには数えるほどの鳥しかいませんでした そして今日はいよいよ「いやしの実」が生っている「いやしの森」へ 近づこうというところでした 皆さんは覚えていらっしゃいますか? 「いやしの森」のあたりはとてもお天気が変わりやすく 急に雨が降ったり風が吹いたり時には大きな嵐になったりすることを... しろいとりのお母さんがとても心配していましたよね やはりお母さんの心配は現実となり さっきまであんなに良いお天気だったのに 「いやしの森」に近づくにつれて なんだか雲行きがとても怪しくなってきました 黒い渦巻きの雲がどんどん流れてきます しろいとりはここまで一緒に飛んで来た 前回のレースの優勝者である だいだいいろのとり と 小枝で休憩しながら「いやしの森」の方のお天気を心配そうに見つめていました すると 『私はしばらく「いやしの森」へは近づかない事にして 天気が良くなるまでここで羽を休めることにします』 と だいだいいろのとりがしろいとりに言いました しろいとりも 『それが良いですね それでは私も...』 と言いかけて少し考えました この分だと「いやしの森」に着く頃には嵐になるかも知れない でも だいだいいろのとりさんは 自分よりも身体が大きくて力強い大きな翼と長い尾羽を持っているから 一緒に休んでいたのではきっと今回も自分は優勝することは出来ない 頑張るなら今しかないんだ! よ~し! 『私はもう少し先まで飛んでみることにします』 としろいとりは言いました だいだいいろのとりはとても驚いた様子でしたが 『それでは くれぐれも 無理をしないでくださいね 本当にお気をつけてくださいね』 としろいとりを見送りました ~第7羽へつづく~ 『きいろいとり と しろいとり』 第7羽 だいだいいろのとりとわかれて 「いやしの森」を目指し飛んでいくと あんなに暗かった空はだんだんと晴れて お日様がにっこりと顔を出し うそのような青空になりました やっぱり あそこで休憩しなくて良かった良かった しろいとりはあの時の自分の勇気ある決断に満足し 今年こそ優勝してみせる! と自信を持ちました 「いやしの森」に入ると案の定 しろいとりは一番のりのようでした 森はひんやりと冷たい空気でしろいとりを迎えました... しろいとりは森の奥深くに進み そこにたった一本だけある青い木から 「いやしの実」をひとつとって背中のリュックに入れました これでよし! さて 後はゴールを目指して頑張るだけ と思いながら ふと しろいとりは少し欲張りなことを思いつきました この「いやしの実」はハピハピ病院に預けるとしても もうひとつ あの小さな「いやしの実」を内緒で持って帰ったら 最近、少し疲れているお母さんへの良いお土産になるかも... 勿論、持って帰った「いやしの実」は全てハピハピ病院に 預けるのがレースのルールですし そんなルール違反をして持って帰った「いやしの実」を お母さんが喜ぶはずはないのに なんと しろいとりはもうひとつ小さな「いやしの実」を リュックに入れてしまいました しろいとりがお母さんの喜ぶ顔を想像し 青空の下でお気に入りの歌を口ずさみながら 気持ち良くどんどん速度をあげたその時 急にしろいとりの目の前の景色が真っ逆さまになり そしてぐるぐる回り始めました それは一瞬の出来事でした 予測できない大きな激しい突風がしろいとりを襲ったのです そして 小さな実とはいえもともと小柄なしろいとりには 「いやしの実」をふたつも背中にのせて運ぶのは とても無理がありました しろいとりは完全にバランスを崩し ものすごい風の力でくるくると木の葉のように吹き飛ばされました 想像していたお母さんの喜ぶ顔は みるみる心配そうな顔に変わり 何かしろいとりに一生懸命話しかけているようでしたが それもだんだんと小さくなり いつしかしろいとりは気を失っていました ~第8羽へつづく~ ランキングに参加しています 時々ポチッとクリックして頂けるととても嬉しいです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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